第33話 爽快バトルテニス①
「これから爽快バトルテニスの配信をするけどさ」
『どうかしましたか?』
「あんたはゲーム出来ないのにどうして練習配信をしたがるの?」
この前のアイドルカラーズでは結局プレイは私のみで葵はサポートだった。
『ご安心を。実は今回、私もプレイ出来るのですよ』
「そうなの?」
『対戦プレイ可なので量子通信実用研究所から通信対戦です』
「なるほど」
◯
「はいはーい、皆さーん、こんにちはー。赤羽メメ・オルタでーす」
『サポートAIの葵でーす』
「今日は爽快バトルテニスをやっていこうと思いまーす」
『わー!』
青髪女の子の葵がパチパチと手を叩く。
「これで練習配信も最後。やっと明日から休みに! 最後の練習配信がんばるぞ!」
『そうですね。頑張りましょう。ちなみに明日はクリスマス・イブですね。皆さんはどんなクリパするんでしょうか?』
「やめろ! 流れで私がクリスマスにも配信になるだろ!」
『アハッ』
葵が左目を閉じて、舌を出す。
リスナーには独身男性でユニコーンのリスナーが大勢いる。
ユニコーン。またの名を処女厨。それはライバーに純潔を求めるリスナー。
私もその存在を知った時は驚いた。テメェが童貞だからってこっちに処女性を求めるなと。
けれど事務所はなるべく彼らを尊重し、ライバーに異性との繋がりや匂わせがないように口酸っぱく注意させている。
そしてそれらはライバーだけでなくアイドルや声優、はてにはグラビアアイドルにまで蔓延っている。
結果として調子に乗ったユニコーンはライバーにクリスマスにも配信をしろと求めてくるのだ。
正直好きなるのは構わないが、だからといってライバーが彼女になったわけではないのだ。そこを勘違いしないでもらいたい。
「とにかく配信は休むの! やーすーむー!」
『残念ですね。でも、これで皆さんも配信とかを気にせずにクリスマスを楽しんでください。あったかいチキンとクリスマスケーキを食べてくださいね』
「はい。クリスマスの話は終わり。爽快バトルテニスを始めるよ」
私はパソコン画面を爽快バトルテニスのトップ画面に映し変える。
「それじゃあ! スタート!」
スタートボタンを押して、次に1人プレイを選択。
「えっと、1ゲームと1セットがあるけど。どんな内容だっけ?」
『7ポイントを取るのが1ゲームです。そして4ポイント制のゲームを6ゲームを取るのが1セットです』
「1セットの方が長いってこと?」
『そうです』
「でも今、1セットは4ポイントって言わなかった?」
1ゲームが7ポイントで1セットが4ポイントっておかしくない?
『1セットは15-0とか30-40とかの数字を使う試合です。0から始まり、15、30、40、そして次でのポイントを取って1ゲーム終了です』
「ああ! 0がラブって言うやつね」
『ええ。その1ゲームを6つ先に取った方が勝ちなのが1セットゲームです』
1ゲームを6回勝って1セット。6回とするのか……長いな。
「それじゃあ、7ポイントは?」
『文字通り0から7の数字を使ったゲームです。先に7ポイントを取った人が勝ちです』
「つまり長い方の1セットゲームはテニスの公式試合ルールね」
『違いますね』
「え? 違うの?」
『例えばプロの大会では1セットを3つ先に取れば勝ちなんです』
「1セットを3つ? 長くない?」
3つで終わりでなく、3つ先に取った方が勝ち。
『長いです。ですので爽快バトルテニスでは1セットゲームまでとなっております』
「なるほどね」
『それでは1ゲームと1セットどちらにします?』
「もちろん、まずはゲームに慣れるために1ゲームからするわ」
1ゲームを選ぶと画面はキャラ選択画面に変わった。
弁天堂のゲームキャラがたくさん選択可能だった。
「やはりハリオもいるね」
ハリオに選択枠を向けるとステータスが表示された。
「HPに攻撃力? それに防御力にスピード、スタミナ、必殺技のゲージ増加率?」
『バトルですからね』
「まさかラケットで殴るとか?」
『いやいや、違いますよ。攻撃力は打ったボールの威力ですよ。スピードはコート内でのキャラのスピード、スタミナは体力です。動きすぎるとスタミナが減り、どんどん鈍重化します』
「HPと防御力は?」
『必殺技には電流や火球などといったものもありダメージが発生します。それでHPがなくなるとポイントは相手側に入ります。防御力は必殺技やスマッシュに対するもので防御力が高いとHPの減りも低くなり、ボールの返しも上手くいきます』
「へえ……初心者はハリオかな?」
ハリオのステータスはどれも平均的だった。
必殺技はファイヤーボール。文字通り火の玉ボール。
『いえいえ、初心者は操作に慣れるためにスッポンキャラのポンポン君ですよ。スピードとスタミナが高く、必殺技の殻に籠るは一時的に無敵化します』
「ふうん。それならまずはそのポンポン君を使ってみようか」




