表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
糸束  作者: ぬじゃわきし
PR
7/9

「我々回路人間は、コンピューターと接続できる力がある。」

小見郎は言った。

「と言うことはコンピューター兵器を自在に扱う力がある。つまり、普通の人間達より幾分早く行動ができる…ネットワークにおいては我々の方が勝っている!これで勝てるぞ!」



結局自分に対する忠誠心は不安によるものに過ぎなかったのか、と龍子は思った。以前は大多数が「ポインセチア」で自分をリーダーだと慕っていたのは、その方が安心できたからであり、リーダーが事実上崩壊した今は、新たな小見郎というリーダーを求めるようになったのだろう…

だが、これは、真田としての自分の思考だ。一方で、かつてはごく普通に学校生活を歩んだ瑠田龍子という自分がいる。二人の意識が融合した今、龍子は自分が分からなくなった。恐らく、自分は龍子でも真田でもない、新たな存在となりつつあるのだろう。おそらくあの融合をきっかけに自分は変わってしまった。


そして今。

“龍子様…”

“リーダー…”

数少ない支持者と龍子は体を“回路”にして、接続して、心の交流をしていた。

龍子は言った。

“今は耐え忍ぶ時です。もうすぐ彼らは攻撃を仕掛けるでしょう。そうすれば普通の人間から迫害を受けます。それでも私達は耐え抜きましょう”

“いいえ、もう駄目でしょう…”

支持者の一人が言った。龍子は訊ねた。

“何故?”

“人間は初めから我々を見捨てていました。我々と彼らは見た目が同じでもあまりにも生物が違います。彼らと分かち合う事はもうないでしょう。”

“そんな事は言わないで…”

“私は最後の希望にすがりたいと思います。”

“希望…?”

“あなたです。”

“私?”

“あなたに委ね、真田リーダーと同じようにあなたを方舟にして生きます”

そして支持者全員が言った。

“あなたを、方舟に。”

龍子は周りの異変に気づいた。皆が自分に依拠し、結合し始めたのだ。どんどん皆の意思が滑り込んでくるので龍子は恐怖で悲鳴を上げ、叫んだ。

“やめなさい!自我が壊れる!自分を大事にして!”

“いいのです…我々はあなたがいるのですから。”

支持者の骨から糸束の肉体が剥がれていった。もう龍子はそれを放す事はできない。ただ、自動的に自分の身体に取り込むのみだ。様々な人生が自分の脳内に侵入した。拒絶も否定もできない。

気がつけばそこには瑠田龍子しか人はいない。周りは支持者の白骨のみだ。彼らの“回路”はもう自分の物となってしまい、彼らの骨に戻すことはできない。龍子はふと、窓にうつる自分の体を見つめた。姿はいつもと変わらない。だが自分はまた変わってしまった。



「回路抹殺の会」のトラックは今日も、人々を煽動し続けていた。

「我々はあのようなグロテスクな化け物の存在を許していいものか!否!決して許してはならぬ!奴等を殺し、殺し、殺しに殺して、殺して、殺して、殺しまくるのじゃあああ!」

だがその時、聞いたこともない足音が聞こえた。金属的なかっかっかっという足音。見ると、細い鎧を着た集団である。手は無く、代わりに銃器になっていた。

先頭が叫んだ。

「我々、“回路人間”はお前らに殺された復讐をする!覚悟しろ!」



辺りは悲鳴に満ち、トラックは一気に逃げ出した。軽く銃で威嚇するだけで、人々はあえなく敗走した。回路人間らは勝利の叫びを上げた。神は我々に味方をした!彼らは後を追いかけた。


トラックで逃げながら、運転手でもあり、「回路抹殺の会」のリーダー奈谷落夫は狂気の笑みを浮かべながらしきりに呟いた。

「計画通りじゃ計画通りじゃ計画通りじゃぁぁぁぁ!」

そして電話を掛けた。

「もしもし?奈谷だが。そうだ!虫どもは計画通り復讐に来た!あの単細胞めが。これで奴等を法的に始末できる。鎧かぶって襲うような危険な化け物に情けは無用!あとは君の力で我が国の軍隊に始末してもらうだけじゃ!ぐははははははは!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ