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第6節「すれ違い 上」

 一方その頃。


 シャーロット達は、森沿いの街道をのんびり歩いていた。


「いい天気だねぇ」


 シャーロットが空を見上げる。


 木々の隙間から差し込む陽射しは柔らかい。


 風も涼しく、歩きやすい日だった。


「完全に森の中になってきた」


 フレアが辺りを見回す。


 もう周囲に村も町も見えない。


 聞こえるのは、風と葉の音ばかり。


「静か」


 ルナがぽつりと呟く。


 その表情はどこか落ち着いていた。


 こういう自然の多い場所は、ルナに合っている。


「でもなんか落ち着くね」


 シャーロットも小さく笑う。


 見られている感覚は、まだ続いていた。


 でも今は、最初ほど警戒の空気を感じない。


 むしろ。


 遠くから様子を見られているような感じだった。


「絶対観察されてるよね」


 フレアが普通に言う。


「多分」


 ルナも否定しない。


「嫌な感じはしないけど」


「うん」


 シャーロットも頷く。


 本当に不思議だった。


 怖くはない。


 でも確かに、森の中に“誰か”が居る。


 そんな感覚だけは消えない。


 その時。


 ふわり。


 風が吹き抜けた。


 同時に。


 からん。


 小さな音が落ちる。


「あれ?」


 シャーロットが足を止める。


 木の枝に、小さな木札が掛かっていた。


 今まで無かったはずなのに。


「いつの間に……」


 フレアが目を丸くする。


 木札には、見慣れない文字が刻まれていた。


「読めない」


 ルナが静かに言う。


「んー……」


 シャーロットが木札を覗き込む。


 その瞬間。


 ふわり。


 淡い光が木札を包んだ。


「えっ」


 文字が変わる。


 いや、正確には。


 読める形へ変わっていった。


『この先、森』


「……」


 三人が同時に黙る。


「いや森なのは知ってる」


 フレアが真顔で言った。


 シャーロットが思わず吹き出す。


「えへへ……」


 でも。


 たぶんこれは警告だ。


 境界。


 ここから先は、違う場所。


 そういう意味なのだろう。


「どうする?」


 ルナが静かに聞く。


 シャーロットは少しだけ森の奥を見る。


 静かな木々。


 揺れる葉。


 見えない視線。


 そして。


 少しだけ感じる、不思議な空気。


「……もうちょっとだけ、行ってみたいかも」


 その答えは、自然に口から出ていた。

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