表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
137/153

第4節「未来の命 中」

「さらに北?」


 レオンが静かに聞き返す。


「は、はい」


 報告役の兵士が少し緊張した様子で頷く。


「街道沿いを巡回しながら移動しているとの事で……」


「現在位置は」


「この辺りかと」


 広げられた地図。


 兵士が指した場所を見て、側近の表情が少し引き攣る。


「……かなり近いですね」


「あぁ」


 そこは、使節団が目指している北部地域にかなり近かった。


 レオンは小さく息を吐く。


「報告頻度は」


「二日に一度です」


「増やせ」


「はっ!」


 兵士が慌てて頭を下げる。


 そのまま去っていった後、側近が小声で呟いた。


「嫌な予感しかしませんね」


「同感だ」


 否定出来ない。


 よりによって北部。


 しかも森側へ近づいている。


 偶然にしては出来すぎていた。


「王妃殿下、昔から妙に巻き込み体質ありますからね……」


「巻き込まれているのか、突っ込んでいるのか分からん」


「それもそうですね」


 二人とも頭が痛そうだった。


 その時。


 積み荷確認をしていた薬師担当が、こちらへ近づいてくる。


「殿下、北部薬草ですが」


「どうした」


「やはり現地品種は特殊です」


 差し出された資料には、北部特有の薬草情報が並んでいた。


「栽培環境もかなり限定的かと」


「……森寄りか」


「はい」


 薬師は頷く。


「特に湿度管理と土壌が独特です」


 普通の土地では育ちにくい。


 だからこそ貴重。


 そして、代用品も少ない。


「もし技術交流が成立すれば、地方医療は大きく変わります」


「分かっている」


 レオンもその重要性は理解していた。


 薬草そのものだけではない。


 育て方。


 保存法。


 使い方。


 知識そのものが価値になる。


「……だからこそ難しいんですが」


 薬師が苦笑する。


「長年守ってきた技術でしょうから」


 簡単に外へ出すとは思えない。


 むしろ警戒される方が自然だ。


「だから急がない」


 レオンが静かに言う。


「最初から全てを求めるつもりはない」


 まずは接触。


 そして信頼。


 時間は掛かるだろう。


 それでも進める価値はある。


 その時。


 側近がぽつりと呟いた。


「……王妃殿下、普通に仲良くなってたりしませんよね」


「やめろ」


 レオンが即答した。


 だが。


 二人とも、完全には否定出来なかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ