66.2月と3月のコミティア
2月は東京ビッグサイトでコミティアがあり、3月は名古屋コミティアがあって、どちらも参加した。
結論から言うと、東京は不発だった。そもそも商業出版が同人誌即売会に交じる方がおかしい。浮きまくりだった。
東京会場はベテランのセミプロ作家さんが固定客を獲得している。華やかなのぼりにグッズ類、本だけ置いても埋もれてしまう。
あとは規模が大きすぎて、お客さんは目当てのサークルに一直線に向かう。ぶらぶらと歩く人も、他では買えない珍しい本に吸い寄せられる。
ライトノベルとはいえ、10冊もあるシリーズなんて荷物にもなるし、買うのに勇気がいる。素通りするお客さんが多かった。
とはいえ、これがふつうの書店なら、店先に置かれた本に数人が足を留めるなら、じゅうぶん合格ラインだ。
現実の書店だってそんなものだ。
ヒット作や書店員さんの推し本が綺麗にディスプレイされる一方で、新刊はいっしょくたにただ並べられる。そこから1冊、また1冊と本は売れていく。
私がやりたいのは『魔術師の杖』の宣伝とコミカライズのアピールで、同人活動をする気はあまりない。
目指すのは私が書店の店頭に立たなくても、自然と売れていく本だ。あまりお客さんが来ないなら、会場を見て回ってもよかったな……と後から思った。
不発とはいえ出版社さんとの名刺交換も多く、いろいろな話ができたので、それはそれでいい経験になった。
キャラクターを売るコミティアと、文章に触れる文学フリマ。
東京の会場はどちらもビッグサイトだったけれど、これだけ規模が大きくなると漫画家さん本人ではない私が出店するなら、文学フリマがよさそうだと感じた。
3月の名古屋は逆に充実していた。
東京よりも規模が小さいからか、会場にきたお客さんが熱心に本を眺め、説明もしっかり聞いてくれる。
渋谷〇〇書店まで本を買いに来られた方ともお会いしてお手紙をいただいたし、全巻をポンと買って下さる方もいらした。
地方の文学フリマは郷土色が強くなる。ラノベ勢は地方で参加するとしたらコミティア、東京のような大都市なら文学フリマがいいかもしれない。
とはいえ、地方遠征は旅費や出展料を考えると、どうしたって赤字になる。本だって出版社から買い取って運ぶ。3月は慣れない道をスーツケースで歩き、腰を痛めた。会社員なら労災だろうけど、治療費は自腹だ。しょぼん。
それでも、そこでしか出会えない人がいる。ツテもなく知り合いもいない、誰も作品を知らない場所へとでかけて本を紹介する。
著者が直接本を売ることを『手売り』というのだけれど、私にとっても買う人にとっても特別な体験になった。
売れることは最初から期待していない。けれど幸い、どの会場でも初見で買って下さる方がいらして、本が1冊も売れないということはなかった。
本を手にする人の目の輝き、実際に目の前で本が売れていくその瞬間を見られるというのは、作家にとって本当に得難い経験になる。
せっかくなので、おいしいものはしっかり食べたし、お土産もがっつり買った。もともと旅は好きなのだ。今まで時間がなくてできなかったことを、楽しんでやっている。











