65.チラシ作戦を思いつく
11月の文学フリマ東京と1月の文学フリマ京都に参加して、『無配』と呼ばれる無料配布物の存在を知る。
本は手に取って読んでもらうまでが難しい。文学フリマの来場者に渡し、どんな活動をしているかを知ってもらうための小冊子やチラシを、出店者の皆さんは用意されていた。
通路をちょっと歩くだけでいっぱいもらってしまうのだけど、家に持って帰って眺めれば、ひとつひとつ工夫されている。
そのときは、こういうのあるんだぁ……としか思わなかったけれど、文学フリマ京都の1週間後、1月の関西コミティアに参加したときに考えた。
『魔術師の杖』にもそういうのがあった方がいいかもしれない。
限られた時間でブースを回る来場者たちは、足早に歩き呼び止めることも難しい。
表紙のイラストだけだと、どんな話かつかみづらいし、興味をひくような文章をつけた方がいいと思ったのだ。
実はこのとき幸運にも、宣伝用に持って行った漫画のキービジュアルを、大阪日本橋のアニメ街にある、ジーストア大阪店の店頭置かせてもらえた。
いきなり持って行って店長さんに直接交渉するという、アポなし飛びこみ営業である。
「ウチのチラシをコミティアで配ってくれるなら、同じ数だけ置いていいですよ」
びっくりなことに許可が下りた。
このときは写真用紙に印刷したもの数枚だった。
(チラシ風に両面印刷をして、裏は漫画家さんへのインタビュー記事とか載せたらどうだろう)
ふつうはこんなことまでする作家はいない。
ただ私、共同書店に棚を持った時もそうだけど、やれそうだと思ったらやっちゃうのである。
報告・連絡・相談は大切なので、編集部にも情報共有すると驚かれた。
帰宅してドキドキしながらチラシを作り、ひと月後の2月に大阪へ行く家族に託し、ふたたびジーストア様に持って行ってもらった。
「置いてきた。前回のやつはなくなってたよ」
わー。
渋谷○○書店でアピールしていて、身に染みたことがある。
『興味のない人には本は見えない』
どんなに目立つところに置いてあっても、興味を持てない本ならば、その人にとっては存在しないのと同じこと。まったく目に入らない。
日本橋のアニメ街は『オタロード』とも呼ばれていて、外国からの観光客も多い、東京でいうと秋葉原みたいな場所だ。
そこに置いてあるチラシを手に取る人は、少なくとも作品に興味を持ったということでは?
アニメやゲームのフィギュアやグッズが並ぶ世界は、漫画になってアニメになるような作品が行きつく川下だとすると。
対してなろうで小説をちまちま書いている私は川上、むしろ源流といってもいい。
それにオタク気質というものは、世に知られた有名作品だから、それを選ぶというわけでもない。
むしろ、知られていないものを自分だけが知っている、そういうことに価値を見出す人種だ。流行ってしまえば逆に興味が失せる。
……エンドユーザーに直接訴えかけてもいいのでは?
源流の存在を教えて、見つけてくれた冒険者とともに、川の流れの行きつく先へと進む。
……それって浪漫なのでは?
誰が拾うかわからない、ボトルメールを流すようなものだ。
小説書けよ!……って感じだけど、やりたくなったらやってみないと気が済まない。そんなわけで2月のコミティアでは、手作りチラシを持参することにした。











