57.20人見つけよう
2025年12月は福島で開かれた『みちのくコミティア』に参加し、暮れはイベントの準備をしつつ、静かに店番をして過ごした。
もちろん年末ということで、クリスマス用のディスプレイをしたり、年越し特集の本を選んだり、書店でもそれなりに季節感をだすよう心がける。
11月に始まったコミカライズの連載はまだ2話目。『3話無料』という決まりだから、3話分が丸々読める1月まで集中的に宣伝するつもりだった。
翌年1月に開催される文学フリマ京都と関西コミティアにも申し込んでいる。
「えー、1週間ぐらい関西に滞在するの?いいなぁ」
友人には言われたけれど、そんなことはない。文学フリマ京都に参加したその日に、新幹線で東京にトンボ帰りし、また1週間したら大阪へでかける。
本を入れるためのデカいスーツケースも買い、ゴロゴロ運んでの移動だ。おかげで書店の店番をする際も、ディスプレイも持ち運びが楽になった。
荷造りをしていると、それでもたまに不安になる。
(1冊も売れなかったらどうしよう……)
出版社の人は応援してくれるけれど、ひとりで書店にも並ばない本を運んで見知らぬ土地に行き、イベントで紹介するのは大変だ。
読者さんとは約束があるわけではない。誰が来るかもわからず、孤独を感じることもある。
そのたびに気持ちを奮い立たせた。
作品を知らない人にも『魔術師の杖』を知ってもらうことが目的。
それにメインの電子書籍市場ではちゃんと売れており、本を買ってもらわなくても困らない。
表紙を見てもらえばそれでいい。まずは作品を知ってもらうこと。あとは現地でおいしいものを食べる!
イベントの準備は手作り名刺の作成とか、配布するイラストやショートーストーリーの準備とかそんなところだ。
けっこうやることがあるためで、店番しながら忙しく手を動かす。合間にお店の本を読んでいて、あるフレーズが目に飛びこんできた。
『熱心なファンを20人見つけよう』
それはアメリカで業績不振だったデパートを、V字回復させた話というか経営哲学について綴った本だった。
私が常々感じていることに『本が持ち主を選ぶ』というものがある。
それともうひとつ、『本は必要な時に、必要とする人の所にやってくる』というのがあって。
とにかくその時は、たまたま手に取った本に書かれていた一文に、「これだ!」とひらめいたのだった。











