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『追放29回からの最強宣言!』~ギルドで便利屋と呼ばれている私。嫌われ者同士パーティーを組んだら、なぜか最強無敵になれました~  作者: 夕姫
第3章 第三皇女の秘密 ~約束のアクアマリン~

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11. 【無条件の信頼】皇女でも関係ない。私が信じた大切な仲間だから

11. 【無条件の信頼】皇女でも関係ない。私が信じた大切な仲間だから




 強力な魔法の斬撃がアルザスを襲い、大きく後ろに吹き飛ばした。


 私はギリギリで間に合った。薄暗い洞窟の中で、血を流して倒れるミーユと、彼女を庇うように抱きしめる銀糸の女性の前に立ち塞がる。


「うーん、『魔法装具(マジックウェポン)』で剣を形成しても、やっぱりあのグラッドくらいの力はでないか……。私自身がもっと強くならないと。あっ、ミーユ!今すぐ回復するから!」


 私は慌ててミーユに駆け寄り、急いで2人に回復魔法を使う。


 ふふん、私は万能だから!何でもできる最強美少女だからね。


「うっ……エルン、どうしてここに?」


「ミーユを助けに来たに決まってるでしょ?」


「どうして?私は皆のこと……信じてなかったのに。しかも勝手に単独で行動して迷惑かけて……自分が皇女だって、嘘までついてたのに……」


 ミーユは痛みに顔を歪めながら、泣きそうな顔で私を見た。


 何を言ってるの。入り口から全部聞こえてたよ。でも、そんなの理由なんて一つしかない。


「皇女様でも何でも関係ないよ。私はミーユの事を『仲間』として信じてるから。ミーユが私たちを信じていなくても、私は信じてる。だから助ける。理由はそれだけで十分でしょ?」


 そう、それだけでいい。


 私にはずっと本当の仲間がいなかった。都合よく『便利屋』として使われてばかりだった私を、最初に助けてくれたのはミーユなんだよ?私が初めて自分の意志で仲間に誘ったんだから。


「おもしれぇ。感動の再会劇のところ悪いが、新たな獲物か?オレはアルザス、『黒蠍』の頭だ」


「私はエルン=アクセルロッド。最強無敵のギルド冒険者の美少女よ!」


「ほう。自分の事を最強と言うか。面白れぇ女だな」


 『壊し屋』なんて不本意な呼び名は私にふさわしくないから、もう自分で美少女だと言っていくスタイルにする。間違ってないから問題ない。


 アルザスの武器は槍か。なら私もリーチの長い同じ槍で戦ったほうがいいよね。私はマードックさんからもらった『魔法装具(マジックウェポン)』にイメージを込めて、銀色に輝く「槍」を造り出す。槍を使うのは初めてだけど、問題はないはず。


 私には最強の『相殺の調停(キャンセラー)』のスキルがあるから。


「どこからその槍を出したんだ?ずいぶん面白い武器を持ってるな?」


「これは私の最強の相棒だからね。言っておくけど、私は絶対倒せないよ。今なら見逃してあげるけど?」


「ありがとよ。その気遣いはいらねぇぜ!」


 アルザスの無数の連続突きが来る。私は咄嗟に魔法装具の槍を構え、同じく連続突きを放つ。


 ガキンッ!ギィンッ! と、鉄と鉄がぶつかる激しい音が辺りに響きわたる。


「まだまだぁ!」


 アルザスが激昂し、槍を大きく振りかぶって豪雨のような連撃を繰り出してきた。上段からの重い叩きつけ、足元を刈るような鋭い薙ぎ払い、そして心臓を穿つ必殺の刺突。


 私はそのすべてを、銀色の槍で寸分違わず同じ軌道、同じ威力で弾き返す。激しい火花が散り、洞窟の岩壁に衝撃波が木霊する。まるで鏡の中の自分と殺し合っているかのような錯覚。


 私の『相殺の調停(キャンセラー)』は、相手が本気を出せば出すほど『絶対に破れない完璧な壁』となって立ちはだかり、相手の心をゴリゴリと削り、絶望させていく。


「おいおい……オレの全力の槍を、ことごとく同じ威力で受けとめるだと!?お前、何者だよ!?そんな針の穴を通すような芸当……ありえねぇ。本当に人間か?」


「どこからどうみても超絶美少女でしょ?失礼ね」


 私はその後も、アルザスの猛攻を涼しい顔で防ぎ続ける。しかし時間が経つだけで、あいつを倒す決定打は持ち合わせていない。このままじゃジリ貧だ。いくら『相殺の調停(キャンセラー)』があっても、私の魔力と体力は無敵ではないから。


「はぁ……はぁ……なんだよこいつ、化け物か!?」


「ギルド冒険者の美少女って言ってるでしょ!!」


 ついには化け物呼ばわりか。それはそれで心にグサッと来るんですけど。


 そんな私とアルザスの死闘を背後で見ていた銀髪の女性――サリアさんが、ボロボロの体でミーユに寄り添い、優しく話しかけたのが聞こえた。


「ミーフィルユ様。動けますか?」


「えっ?」


「あの盗賊を倒すには、ミーフィルユ様の力が必要だと思います。怪我で上がらない腕くらい、私が下から支えますよ。ご自分の力で、自由を掴んでください。……出来ますよね?」


 チラリと視界の端に映ったのは、血のにじむ手で、震えるミーユの両腕をそっと包み込むように下から支えるサリアさんの姿だった。


「昔から、あなたは誰よりもお優しい方でした。だからこそ、自分の鳥籠を壊すのをためらっていた。でも今は違います。あなたには、背中を任せられる本物の仲間がいるじゃありませんか」


「サリア……」


「さぁ、外の世界へ飛び立ちましょう。あの忌まわしい過去ごと、あなたの手で撃ち抜いてください」


「……うん。私、やるよ!」


 サリアさんの言葉に強く頷いたミーユの銃身に、かつてないほどの眩い魔力が収束していく。


 その力強い輝きはまるで、ミーユを縛り付けていた見えない鳥籠を打ち砕く、決別の光のように私には見えた。


「エル---ン!!!しゃがんで!!!!」


「へ?」


 私が、サリアさんに支えられて魔導銃を構えたミーユを視界に捉えた瞬間。ミーユの魔導銃から、ズドォーンッ!という鼓膜が破れそうな轟音と共に、一筋の極太の魔力砲撃が放たれた。


「ええっ!?」


 私は間一髪、泥だらけの地面に向かって全力のヘッドスライディングを決め込み、ギリギリで射線から伏せて避ける。アルザスがその圧倒的な光の奔流に気づいた時にはすでに遅く、極太の魔力砲撃が彼の胴体に容赦なく直撃した。


「ぐわあああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」


 古い洞窟を揺るがすほどの強烈な轟音と共に、アルザスは奥深くまで吹き飛ばされ、岩壁に激突して完全に沈黙した。


「い、痛ぁい……」


 私は命がけのヘッドスライディングで全力回避した代償として、顔と顎を思い切り擦りむいていた。この絶世の美少女の、何よりも大切な顔なのに!


「『炸裂の魔導砲(バーストストライク)』……ふぅ……」


「やりましたね、ミーフィルユ様」


「……うん。サリアと、エルンのおかげだよ」


 無事『黒蠍』のアルザスを倒した私とミーユとサリアさんは安堵の息をつき、ブレイドさんたちが待つゴーバーン村に戻ることにする。


 こうして、波乱に満ちたライゼンバッハ第三皇女探しの依頼は幕を閉じるのであった。

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