第10話「囲むもの」
≪前回のあらすじ≫
「庭」から出たハルは建物内の散策をする。その時に、トイレと風呂、そして井戸を見つけるが、半年使われていなかった井戸は水が乾ききっていて使えなかった。
けれど、マルダが連れてきた職人トルヴァンにより建物内にあった井戸が使えるようになる。
時刻は昼を迎える頃になり、先に食事をとマルダと共にマルダの家へと向かった。
「ほら、冷める前に食べな」
気付けば、朝や夕食の時に食事をしたキッチン横のダイニングではなく、隣の部屋にあった大きいテーブルに、ヴォルクさんの工房の人たちと食卓を囲んでいた。
1時間程前――
ポンプ井戸職人のトルヴァンさんが帰った後、俺たちもすぐにマルダさんの家に戻った。
「さて、急いで用意をしようかね」
家に着くと、マルダさんが真っ先にかまどに火を入れ、手洗いを済ませた後、あらかじめ用意していた食材で調理を始めた。
俺もマルダさんの後に続いて、手洗いをして昼食の用意を手伝う。
「今日の昼ごはんは、塩漬けした豚肉焼きと、スープと黒パンだよ」
昨晩のうちに水に浸けて、塩抜きしておいたやつだよ。と教えてくれながら、肉の塊を切り始めるマルダさん。
1cmくらいの厚みがあって、なかなか食べ応えがありそう。
……それにしても、かなりの量があるぞ?
昼は工房の人達もここで食べるって言ってたし、それでかな。
「ハルヤ、ティア球を縦に4分割して、繊維を断ち切るように薄切りにしてくれるかい?」
「はい」
俺はマルダさんの指示に従って、玉ねぎに似た大振りの雫型の野菜……ティア球を切っていく。
玉ねぎを薄く切るようにしたらいいのかな。
「ティア球が終わったら、そこの籠に入れてるアクアレルとクリタニアを全部切ってくれるかい?」
マルダさんの視線の先には、クレソンと三つ葉に似ている野菜が、持ち手付きの籠にどっさりと入っている。
「えっと…これ全部?」
「そうだよ。量にびっくりするだろうけど、火が通ると嵩が減るからね、10人分くらいだと、それくらいいるんだよ。さ、それを今朝のセリナールと同じように切っとくれ」
セリナール……えーと、確か、イタリアンパセリに似たやつだったよな…。
朝のメニューを思い出しつつ、「庭」でエルに聞いた内容と一致させて、ザクザクと大量に切っていく。
俺がせっせと、大量の香草を切っている間に、マルダさんは、あっという間に沸いた湯の中に切った肉を入れてサッと湯通ししている。
それを次々と、かまどの台の端にある鉄で出来た網台に並べていく。
凄く手際がいい。
「ハルヤ、それを切り終わったら、今度はそこの空の水瓶に水を汲んできておくれ」
「分かりました」
俺に次の指示を出す間も、マルダさんの手は止まることはなかった。
大量の肉の湯通しをする傍ら、マルダさんは湯通しに使っている鍋よりも大きい、ずんぐりとした鍋を隣のかまどに置いて、鍋を温めだす。
香草を切り終わった俺は、2つ並ぶ持ち手付きの水瓶の中を覗き、空の方を抱えて水場へと向かう。
この世界なのか、それともこの国だからなのかはわからないけれど、家の中に手押しポンプ井戸がある。
それと、バスタブと湯を沸かすかまどと洗い物をするためのスペースがある。
その一室をマルダさん達は『水場』と呼んでいる。
風呂場と呼ぶわけじゃないらしい。
それと、この家では外に出ることなく、水場へ行ける。
風呂を借りた時や、こうして手伝いをする間に何度も行った水場に迷うことなくたどり着く。
ポンプ井戸の吐水口の下に水瓶を置き、井戸のハンドルを動かして水を出す。
さっき漕いだばかりの、酒場の方の井戸のハンドルの時とは大違いで、呼び水もいらなければ、一度に出る水の量すら段違い。
あっちのポンプも毎日使ってたらこうなるのかな。
そう思うと、なんだかうれしくなる。
あっという間にいっぱいになった水瓶を持ち上げ、キッチンへと持って行く。
15kgはありそうだけど、これをマルダさんは毎回軽々と片手で持ち上げて鍋に水を入れるからスゴイよな。
「ありがとね、ハルヤ」
キッチンに戻ると、マルダさんは大きい方の鍋で切ったティア球を炒めていた。
ティア球が少し色づき始めたところで、さっき汲んだ水を鍋の7分目辺りまで注ぐ。
今回もマルダさんは片手で水瓶を持つ。
スープ用の湯が湧くのを待つ間に、マルダさんは肉の湯通しをしていたかまどで、今度は肉を焼き始めるようだ。
これから焼く豚肉に合わせるためなのか、さっきからローズマリーの香りが立っている。
ローズマリーには抗菌作用もあるし、肉の臭み消しにもなる。ほんと、万能だよな。
ちらりとマルダさんを見ると、フライパンに入れる直前に、湯通し後で肉の周りにある余分な水分を、かまどの火で飛ばしているのか、時々パチッと水の弾ける音がする。
ミートフォークで突き刺した肉を火にかざすその様は、男の俺から見てもカッコイイ。
マルダさんに人数の確認をした後、俺は人数分の黒パンの用意とテーブルセッティング。
今日は工房の人、7人と、マルダさんと俺を合わせて9人らしい。
ヴォルクさんの工房の人たちと初めての顔合わせになるから、正直緊張している。
9人分の皿をかまど横の台に置き、木製ジョッキを棚から取り出す。
その時に、棚の奥にタンブラーに似た陶器を見つけた。
「これって……?」
手に取ってみると、愛用していたステンレス製のタンブラーより重いけど、大きさも形もよく似てる。
持ち手はないからタンブラーで間違いない。
このくらいの大きさなら、400~500mlくらい入るはず。
もしかしたら、ヴォルクさんのお気に入りか何かかな?
同じものがないかとさっきの棚を見てみるが、これ一つだけだったようで、他には見当たらない。
落としたら大変だ。
棚に戻そうとしたところで、マルダさんから声がかかる。
「ハルヤ、どうかしたのかい?……ああ、懐かしいね、それ」
「え?これ、ですか??」
聞くと、マルダさんは頷き、何年も前に酒場に卸す試作として、エール用のタンブラー――こっちでは、筒杯と言うらしい――をヴォルクさんが作ったけれど、豪快な職人ばかりが集まってすぐに割ってしまって、商品にするのをやめた作品らしい。
で、これはその時の試作した時の残りなんだと。
職人ばかりで仕方ないとはいえ、なんだかもったいないな。
少しだけ眺めて、落としてしまう前に、安全な棚の奥へと筒杯を戻し、昼食の準備に戻ることにした。
「ジョッキはテーブルに運んでたらいいですか?」
ジョッキを抱えてマルダさんに聞く。
マルダさんは、焼き上がった肉を皿に載せた後、フライパンに残った油をスープの中に移していた。
コクを出すためかな?
「ああ、向こうの部屋に広いテーブルがあるだろう?そっちに頼むね」
「はい」
アーチ状の垂れ壁を通った先にある部屋には広めのテーブルが2台つなげて置かれている。
抱えているジョッキをテーブルに置いたところで、水場のある方側が騒がしくなってきた。
「おや、もうそんな時間かい」
かまどの方で、マルダさんの声がした。
工房の人たちがやってきたのかな。
食事の支度をなるべく早く終わらせるために、マルダさんの手伝いに向かう。
メインの肉が乗った皿をテーブルへと運んだ後、重ねた状態だった空の皿を、焼き上がった肉を乗せやすいように数枚広げる。
「ハルヤ、さっきジョッキを出した下の棚から、蓋付きの空の小壺を出してくれるかい?」
蓋付きの小壺…
棚へ向かい、蓋付きの小壺を手に取り、中が空なのを確認してマルダさんに見せる。
「この小壺でいいんですか?」
「ああ、それでいいよ。すまないね。その壺をここに置いてくれるかい?」
マルダさんは、焼き上がった肉を広げた皿に乗せながら、かまどのある台の少しあるスペースを顎で指す。
蓋を開けた状態で、マルダさんの指した場所に小壺を置くと、マルダさんは、脂だけになったフライパンを小壺の上で傾け、加熱されたドライローズマリーごと小壺に移した。
もう一つのかまどでは、ぐらぐらと沸騰している湯に白っぽい茶色の灰汁が浮いている。
それに気づいて、お玉で灰汁を掬って捨てていく。
そのおかげで気付いたが、この鍋の中にさいの目状に切られた肉が入っていた。
いつの間に……。
「ありがとね。ついでに、アクアレルとクリタニアを入れてひと煮立ちさせて、それから塩と魚醤で味を整えてみるかい」
アクアレルとクリタニアを入れてひと煮立ち……って、
「えっ!俺が味付けしていいんですかっ!?」
野菜を切ったり、焼くのを手伝ったりはしたけど、まさか味付けを頼まれるとは思わなかった……。
戸惑いながらも、切った香草――アクアレルとクリタニアを入れているカゴに手を伸ばすと、背後から話しかけられた。
「――あたしが味付けしよっか?」
「へ?」
「おっ、はじめましてだな。お前がハルヤだろ?」
後ろを振り向くと、マルダさんと同じ赤茶色の髪の女性が立っていた。
その彼女のすぐ後ろに、オレンジがかった茶色の髪の男性がいる。
2人とも背が高い。
女性の方は、俺よりは低そうだけど、それでもあまり大差ない。
……この国の人達ってみんな体格いいのかな……。
ここの人たちをヨーロッパの人たちと考えるなら、そうかも知れない……。
ちょっと凹む。
って、凹んでる場合じゃない……
「えっと、そうです、はじめまして、ハルヤです。えーと……」
なんと呼ぶべきか迷うと、二人が教えてくれる。
「俺はラグス。こっちは妹の――」
「カルナだよ。よろしく、ハルヤ」
2人と言葉を交わすと、かまどのところからマルダさんが伝えてきた。
「2人ともあたしの孫だよ。ラグスとは年も近いし、仲良くしとくれ」
「へー、そうなんだ?ハルヤ、年いくつ?俺は23」
「26だよ」
「えっ!? 」
「あたしより6つも上!?兄ちゃんの方が年が近いっていうだけでもびっくりだったのに!」
2人が驚く中、マルダさんから声がかかる。
「ほら、おしゃべりは後にしな。いつまでたってもスープが出来ないよ」
「はっ、はいっ、すみません!」
「はーい」
「じゃ、俺はあっちでスモール・ビア注いどくわ」
ラグスがキッチンを離れ、カルナは調味料棚に近づき、俺は香草を鍋の中に入れる。
ラグスの言った「スモール・ビア」はここで水代わりに飲んでいる飲み物だ。
最初に食事と一緒に出されて飲んだ時に、少し酸っぱい麦の香りと、水っぽいのに少し炭酸があって、後味にどことなく『パンを水で薄めて濾したような』独特の重みが残る。
正直、美味しいかと聞かれれば、美味しくはない。
現代の美味しい飲み物を知っている分、普通の水の方が良い。
けれど、この世界ではそれが当たり前だった。
初めて飲んだ時に「お水は飲まないんですか?」と聞いたら、「島では水を飲んでたのかい?」と逆に驚かれた。
そのまま飲むなんてことは「よほど良い湧き水」でないとこの国の人たちはしないらしい。
そのままの水を飲むのは「命を捨てるのと同義」だと。
だから「良い湧き水があったんだね」と言われてしまった。
こういうところで、本当に現代日本は恵まれていたんだと実感する。
「さあ、肉は全部焼けたよ、スープはどうだい?」
「ばっちりよ」
カルナが味を調えてくれたスープは美味しく仕上がっていた。
「だいたい、いつもこのくらい…」と塩と魚醤の分量を教えてくれて、最後に味見もさせてもらった。
次は俺も出来るように、しっかり覚えておこう。
出来上がった料理をみんなが集まる食卓へと運ぶ。
熱々のスープもみんなに行き渡ると、全員が座っていることを確認した後、マルダさんが声を掛け食事が始まった。
みんなが和気あいあいと食べだす中、一人唖然としていると、マルダさんが「冷める前に食べな」と声を掛けてきたのだ。
そうだ、みんなの勢いに圧倒されてる場合じゃない。
――いただきます。
こっそり手を合わせ、心の中で言う。
マルダさんの言う通り、冷めてしまう前に……まずは肉から食べよう。
ナイフを入れると、湯通しで適度に緩んだ身が、驚くほど素直に断たれた。
一切れ口に運べば、まずは直火であぶった香ばしさが鼻を抜けた。
噛みしめるたび、熟成された豚の脂が溶け出し、濃厚な旨味を感じる。
弾力もあって、なかなか飲み込めず、苦手なスモール・ビアで肉を流し込むと今までになく衝撃を受けた。
「!?……おいしい……」
待って、あんなに邪魔だった酸味が、肉の脂をさらっと流して口の中をリセットして……肉もスモール・ビアも、どっちも美味い!
「?……ハルヤ、どうかしたか?」
じーっとジョッキの中身を見ていると、隣に座っていたラグスが不思議そうに話しかけてきた。
「……いや、その……スモール・ビアが、おいしくて……」
驚いたなんて言っていいのか躊躇っていると、ラグスが声を上げて笑った。
それにどこか嬉しそうだ。
「わかるか!?いつもはイマイチなスモール・ビアも、この肉と一緒だと驚くほど美味いだろ!?」
だからついつい、食い過ぎちまうし飲み過ぎちまうんだけどな!とラグスが笑う。
言われて見れば、みんなすごい勢いで肉とスモール・ビアを消費していく。
工房の皆さんは何度か席を立ち、スモール・ビアを注ぎに行っていた。
すぐ飲めるように、スモール・ビアが入った小ぶりな木樽がこの部屋にある理由が分かった気がした。
配膳した皿には一人二枚ずつ肉があったが、残りの肉はテーブルの中央に二皿に分けて盛られていた。
でも、その肉すら残り僅かになっている。
みんなすごい食べっぷりだな……。
俺は、最初の二枚だけで十分だよ。
今度は黒パンに手を伸ばし、一口食べる。
が、これまた日本で食べていたような、小麦で作られた白いパンと違いなかなか飲み込めない。
今度はスープと一緒に飲み下す。
肉の旨味は感じるけど、重くない、ほっとする温かさと味に、もう一口スープを口に含む。
クレソンや三つ葉……じゃなかった、アクアレルとクリタニアも青臭さも特になく、クリタニアの清々しい香りと、アクアレルのほろ苦さが、肉の脂で重い感じのする口の中をさっぱりとしてくれる。
……そういえば、クレソンって、消化促進作用がなかったか…?
三つ葉は、胃腸の調整と、あとは食欲増進の作用もあったはず……。
……エルに調べてもらわないと同じかは分からないけど、同じなら夏バテとかで食欲が落ちている時には、最強のメニューかな。
みんなは夏バテとかしなさそうだけど……。
自分のペースで、最初に配膳された分を食べている間に、余分の肉も、鍋に残っていたスープも見事に空になってたよ。
みんな、よく食うな。
ラグスやカルナには「それだけで足りんの!?」と驚かれたり、心配されたりしたけど、十分だよ。
今日のマルダさんのお昼ごはんも美味しかった。
ごちそうさまでした。
全員が席を立ち各々動き出した時に、食器を片づけ始めると、同じように食器を片づけていた人から話しかけられた。
「あんたは片付けしなくていいぜ」
「え?」
不思議に思って、首をかしげてしまう。
確かに片付けをせずに行ってしまった人もいるけど……
理由はすぐに教えてくれた。
「ここで昼飯を食った奴らは当番制で片付けをしてるのさ。で、今日は俺と、さっき水場の方に行った金髪の坊っちゃんな。当日当番の奴が水場で洗って、前日当番だった奴が洗い物を運ぶのを手伝ったり…っていう親方のルールな」
まぁ、ここで食ったり食わなかったりもするから、当番が変わったりもするけどな。と教えてくれる。
「そうなんですね、ありがとうございます……えーと…」
「ベルンだ。よろしくな」
「ハルヤです、よろしくお願いします」
会話が終わるとベルンさんは大量の洗い物を一度に運んで行ってしまった。
力持ちだな…。
ベルンさんは、見た感じ30代前半くらいで、面倒見が良さそうな印象だった。
と言うか、ここの人たちは面倒見の良い人が多い気がする。
それからは、家ですることは特になく、またフードを被ってマルダさんと一緒に店に戻る。
そう言えば、工房の人たちは俺の髪の色を見ても何も聞いてこなかったな。
ヴォルクさんが事前に何かしら伝えてたんだろうか――。
店に着いたらすぐに片付けに取り掛かった。
水も出るようになったから、カウンター内の収納棚の中にあった物を水場で一つ一つ丁寧に洗い……
カウンター内にあるかまどや暖炉の中の灰をかき出して、火も使えるように整える。
俺の手が止まったり、戸惑っている気配を感じ取るのか分からないけど、エルが一つ一つやり方を教えてくれる。
マルダさんが同じカウンター内で掃除を手伝ってくれているけど、その声がマルダさんに聞こえている様子はない。
最初、マルダさんが隣りにいる時に、エルに話しかけられたときはドキリとしたけど、 杞憂だったみたいだ。
灰を入れた金属製の蓋つきのバケツを、元あった場所に戻すために一度裏に出る。
水場に行くために通る場所だけど、そこには薪置き場にしてあって、木製の棚に薪が半分くらい積み上げられている。
その薪置き場の横に、この灰バケツがあったわけだけど……
薪を見て、かまどの横にあった薪ラックの中を思い出す。
少しはあったけど、マルダさんとキッチンにいた時の印象だと、料理するには一回はできるけど、二回目は難しそうな……そんな量しかなかった。
「……なあ、エル、ここにある薪って使えるんだよな…?かまどの所にあった薪と比べると随分太いけど…」
マルダさんが建物の中にいることを良いことに、エルに聞いてみた。
『そうですね。暖炉用の太さのため、かまどで使用するには薪割りをする必要があります。かまどの場合や火起こしをする際には細く割った薪が必要です』
……薪割り……
「薪割り、どうやったらいいんだ…?」
やっぱり、斧…?
――それからはエルのレクチャーにより、安全に薪割りをすることが出来た。
斧は、薪置き場の横にあった農具入れの中に入っていた手斧を借りたよ。
「……おや、なかなか戻って来ないと思ったら、薪割りしてたんだね」
太い薪を二本ほど割り終えた頃 、マルダさんがやってきた。
「はい、かまどの薪の量が少なかったので……」
慣れないことをやったせいか、ちょっと手が痛くなってしまったから、ちょうどよかったかもしれない。
手斧を農具入れに片付けて、割った薪を拾ってマルダさんと中へと戻る。
薪ラックの前にしゃがみ込み、細いのは上段に、太めのは下段に……残っていた薪に合わせて入れていく。
「確かに、この量だと、すぐに薪がなくなっちまうね」
薪ラックに薪を入れる様子を見て、マルダさんが言った。
確かに、工房の人たちの分のごはんも作っているマルダさんからしたら、あっという間に使ってしまう量だろう。
マルダさんの方を向いて頷く。
その時にふと、のどが渇いているのに気が付いた。
ここには、スモール・ビアのような飲み物はない。
でも、水は出るようになった。
かまどもきれいになって、薪も少しだけど追加したし。
カウンターの上には、ハーブの入った買い物袋。
……よし。
「マルダさん、のど乾きませんか?よかったら――
お茶でも淹れましょうか?」
すみません…来週はお休みさせていただきます。
代わりに、本編から外した一幕を『短編集』という形で別の作品を作って投稿する予定です(´∀`)
次回:第11話「はじまりの一杯」 5月7日(木)20:30公開です|´-`)




