オールランド王国の友好関係
私が城に戻ると、城はなんだか慌ただしかった。
「邪魔していますよ」
「邪魔しておるぞ」
と、オールランド王国の陛下と、ニホンの第一王子が仲良く茶を飲んでいた。え、なにこれ。何この状況? なんで二人仲良く茶を飲んでるの?
「実は二人パンドラを訪ねてきたのよ。不在だって告げたらいつ戻るか聞かれてすぐ戻るって答えてさ……」
「なんで面倒ごと残しておくんだよ」
「ごめん。言った後に気が付いて……」
はぁと私はため息をつく。
私は椅子に座り、それで話とはと話を聞くことにした。いや、まぁ、どうせろくでもないだろうけど。あのアバロン教の最高司祭が一番付き合いやすいんですけどねえ。
「まずは謝罪よの。勇者の親の件はすまなかった。計画していた王子は廃嫡し、ワシの親戚の元に送った。王位継承者はその弟になったわ」
「そ、そうなんですかー」
「それで話というのはじゃな……。友好関係を結ぶために来たんじゃよ」
「友好関係?」
まぁ、来るとは思っていた。こんなに早くとは思っていなかったけど。貴族の承認だのなんだのと必要だろうて。
だからもうちょい時間かかるもんだとは思っていた。
「周りの貴族反対していませんか?」
「それはもう……」
「力技なんですね……」
何この王ワイルドすぎるだろ。絶対百以上生きるよこの王。もうちょい作戦を考えようぜ。いや、でもこういう王のほうが私は好きなんだけど……。
なんでつっこんでるんだろう。
「ということは第一王子も?」
「そういうことになりますね。ですが、第二王子が未だに反対しているというか……。なので、表向きには結べません」
「あー……」
「私からは違う話題です。まずオールランド王と話をつけてください」
と、茶を啜り始めた。
なんか怒ってる?
「こほん。どうかの? 魔王軍としての評判は悪い。が、悪い話ではない」
「まぁ、いろいろ利がありますからね」
「しばらく国民からは反感を買うじゃろうけどな。でも、魔王軍は悪い奴らではない。きちんと接すればわが国民はすぐに理解しよう」
「そううまくいきますかね?」
「そういうと思ってアンケートとったわい」
と、羊皮紙を手渡してくる。
そこには友好関係を結ぶのを賛成という声がたくさんあった。魔の森の通過を許してほしいという声がある。商人だろう。
まぁ、こういう風に行ってくれるなら解放してもいいんだよ。無断で踏み荒らされるのが嫌なだけだし。
でもまぁ、そういうことはおいておいて。
「すごい用意周到ですね」
「国民の総意じゃ。我が国は既に友好関係を築く準備はしてあるぞ。というか、魔の森からの魔物被害がないだけでも助かっておるからの」
「あー」
「魔の森の魔物はどれも屈強でそちらにも管理費等々かかっておって。魔王様たちが魔の森の魔物を管理してくれているおかげでまるまる違うところに回せるんじゃ」
「それに関してはうちも感謝している」
「それも国民はわかっている。ワシはそのお金で平民も通える学校を立てようとも説明したのう」
それはすごい。
本にもあったが、この世界は基本貴族ぐらいしか学校に行けず、平民は文字の読み書きができないらしい。できるのは商人とか、好きで齧ってる人のみ。だからこそ本の需要がそこまでない。
じゃあなんであの街にはたくさんの本があったのかというと、単にモノ好きな貴族が平民が文字の読み書きができないことを知らずに平民のためだと図書館を作ったらしい。いい人なんだろうけどバカだ。
「だから、魔王軍に感謝している人もいる。あとは、夫婦が多いのぅ」
「あー」
「それはなんでなのかしらね」
「そりゃ、夫を無意味に失わないで済むからね。魔物との対峙は人が死ぬ。だからこそ、愛する人がいる人は魔の森の魔物討伐に夫を送り出したくないわけだよ」
「その通り。実際、毎年何十人かは魔物にやられて死ぬんじゃ」
だからそういうことがなくなったから嬉しいというわけだ。
私たちが魔物の統制をとっているのでそういった死を味わう必要もほとんどなくなり、平和となった。魔王になっての一番の人間側への功績がこれだろう。
「国民は魔王軍に感謝しておる。だから、心配はない。好きに遊びに来るがよい」
「わかりました」
私たちは握手を交わす。




