プエル
プエル
虎の子はマモルの腕から飛び降りると彼らを睨んだ。
「お前、言葉話せるのか?」
マモルは驚いた。
「当たり前じゃ! オラを誰だと思っとる! 仙獣族のプエル様じゃ!」
プエルと名乗った虎の子は二本足で立つと腰に両手を当てて得意げに言った。
「へえ、ますます可愛い! ねえ、プエルちゃん、どうして妖獣族に捕まってたの?」
カオルは膝を屈めて訪ねた
「プ、プエルちゃんじゃねえ、プエルと呼べ! オラを子供扱いするとぶん殴るぞ!」
プエルはそう言って両腕を構えた。
「おい、お前、カオルを殴ったら崖から突き落とすぞ」
マモルは呆れ顔で言った。
「面白い、やれるもんなら、やってみろ!」
プエルは捲し立てた。マモルはプエルの首を摘み上げると崖の方へ歩いて行った。
「コ、コラッあ! 何するんじゃ!」
プエルはもがいた。
「だから崖から落とすんじゃないか」
マモルは笑顔で言った。
「お、お前、本気なのか! やっぱり人族は碌でなしじゃ! コラッ、放せっ!」
プエルは焦燥に駆られて叫んだ。
「ああ、分かった」
マモルは崖の縁に立つと手を放そうとした。
「オ、オラが悪かった! だから放すな。元に戻してくれ!」
プエルは降参した。
「分かりゃいいんだ。最初から、素直になってればこんな目には合わないで済むんだ」
マモルは自分の目の前にプエルを持ち上げて諭した。
「う、うるさいわい…」
プエルはしょぼくれて言った。マモルはカオルの所に戻り彼を地面に置いた。
「それでどうして妖獣族に捕まってたんだ?」
マモルは訊ねた。
「城が襲われたんじゃ。皆殺されてしまって、オラは城から逃げて森の中を歩いてたらあいつらに見つかって捕まってしまったんじゃ…」
プエルは涙目になって答えた。
「ご両親はどうなったの?」
カオルは気の毒そうに訊ねた。
「二人とも妖獣族に殺されちまった…」
プエルは俯いて涙を流した。
「そう…可哀想に…ねえ、私たちこれから安獣城に行くんだけど、私たちと一緒に行かない? 仲間の所に帰れるわよ」
カオルは優しく言った。
「…別に…一緒に行ってやっても…いいぞ…」
プエルは少し嬉しそうに言った。
「おい、お前、違うだろ! お願いします、連れて行って下さい、だ!」
マモルは呆れ顔で言った。
「何じゃと! そんなこと口が裂けても言うか!」
プエルはそう言うとマモルの足首を思いっ切り噛んで何処かに走って行った。
「イッテぇええええ!!! こ、こいつぅ、待てぇ!」
マモルは足首を抱えた。
「あーあ、行っちゃったわ。大丈夫かしら、あの子…」
カオルは心配そうに言った。
「放っておけ。そのうち怖くなって戻って来るだろ。それより偵察を続けるぞ。どうもまだ何か嫌な予感がする」
マモルは真剣な目をして周囲を見回した。




