決着
決着
マモルは一瞬にして『ソルジャー』に変貌した。
「早い! 何か『ソルジャー』になるの段々早くなってないか?」
ウヌスが言った。
「ええ、きっと力の使い方が分かってきてるんじゃないですか!」
クインクが嬉しそうに言った。
「『ソルジャー』……あれが…」
カオルは驚いていた。彼女はまさかマモルのあの光る姿が『ソルジャー』だとは思ってなかった。
「あんたが羨ましいよ。あんな彼が恋人なんてさ。彼、あんたのことずっと心配して必死になって探してたんだ。いい彼氏を持ててよかったね、あんた」
カトルはマモルを見つめながら言った。
「そうだったの……ありがとう、マモル! でも本当に…凄いわ…」
カオルは涙を浮かべて、うっとりとしていた。だが彼女は一つだけ心に掛かることがあった。
「でも、あの小人の女性は一体何なのかしら? 凄く綺麗な人だったけど……マモルとも凄く仲良さそうだったし……マモルの鎧に入り込んだり…いつも一緒なのかしら? ……」
バンロウはマモルの変貌を見て薄笑いを浮かべていた。
「フフフ! そんな変身したくらいで俺が驚くと思っているのか? そんなのはただのこけおどしだ。言っておくが俺の身体はブルキングなど比べ物にならないくらい硬いんだ。そんな剣くらいでは傷一つ付けられんぞ!」
「そうか、じゃあ少し試させて貰おうか!」
マモルは笑みを浮かべて言った。そして彼は地面を蹴って宙を舞いバンロウに突撃して行った。彼はバンロウの背中に乗り、両手で剣を逆手に持つとをそれを上に挙げてから力を込めて突き下ろした。しかしバンロウの言った通り、剣は背中に刺さらず打つかっただけだった。
「アッハハハ!! これで分かったか? 俺様には剣など通用せんのだ!」
バンロウは高らかに笑った。
「フフッ! どうやらそうらしいな。だったらこれはどうだ!?」
マモルはほくそ笑みを浮かべた。すると剣身を包んでいた炎が激しさを増し、炎の渦がバンロウの背中に広がった。
「ギャアアアア!!!!」
バンロウの背中は炎に焼かれて黒い体毛を焼失させ地肌が赤黒くなって火傷を負っていた。マモルはそのまま飛び上がり身体を回転させると、バンロウの苦痛に歪んだその顔の前方に着地した。
「流石だな、バンロウ。この攻撃で火傷程度で済んだのはお前が初めてだ!」
マモルは笑みを浮かべた。
「クッ! 巫山戯やがって。これでも喰らえ!!」
バンロウは大きな口を開けて真っ黒な液体を彼に向けて吐き出した。彼はそれを待っていたかのように素早く剣先をバンロウの口に向けてそこから炎の柱を発射した。炎の柱は太くなりながらその黒い液体を蒸発させ、そのままその口の中に伸びて行った。バンロウの口の中に炎の柱が突入し身体の中へ入り込んだ。
「グッツ……ンッ……」
バンロウは口と喉を焼かれて呻くこともできなかった。バンロウはもはや立っていることもできず巨体をよろめかせると、そのまま大きな地響きとともに地面に倒れた。
「もう大きな口を叩くこともできまい。息をすることもな」
マモルはほくそ笑みを浮かべた。
「カオルを苦しめた罰だ。彼女が苦しんだ分、お前も苦しむんだ。どうだ、苦しいだろう」
マモルはグラディウスの剣先をバンロウの顔に向けた。
戦場にいた連合軍の兵士たちはこの戦いを呆然と立ち尽くして眺めていた。誰も圧倒的なソルジャーの強さに驚きを隠せなかった。特にカオルはうっとりとした顔でマモルを見つめていた。
「信じられない…こんな戦い方、初めて見た…これが本当に私のマモルなの…? 素敵…カッコ良すぎるよ…」
「もうそろそろいいんじゃない、マモル。このままじゃ、いくら敵でも可哀想だわ」
ファルが言った。
「ああ、このままじゃ窒息してしまうな。せめてもの情けだ。今、楽にしてやる。『バゼラード』!!」
マモルは腕を振り上げてグラディウスの剣先を天に向けた。するとバンロウの身体に空中から無数の光の剣が降り注ぎバンロウの身体にそれらが突き刺さった。そしてバンロウの身体はその光の剣とともに消え去った。
戦場にはバンロウがそこにいたという痕跡はどこにもなくなっていた。
『夢幻の台地』に立っているのは連合軍の兵士たちとカオルだけだった。




