決戦へ
決戦へ
カオルは一瞬耳を疑った。
「えっ!?」
カオルはその声に聞き覚えがあった。だが頭がボウッとしてすぐに断定ができなかった。
「まさか俺を忘れちゃったのか? いくら長いこと会ってなかったからって…ずっと探してたんだぜ」
「ま、まさか……マ、マモルなの!?」
カオルは疲れ切っていることさえ忘れてしまった。
「ああ、ずっと会いたかった、カオル」
マモルを包んでいた光が少し弱くなり、彼女にもはっきりとその顔が分かるようになった。
「マモル!! マモルぅ!!」
カオルの目から涙が溢れ出していた。彼女は立とうとしたが足に力が入らなかった。
「大分弱っているみたいだな。ファル、彼女を浄化してやってくれないか。このままじゃ可哀想だ」
マモルはそう言ったが、カオルはファルというのが何なのか分からなかった。
「分かったわ!」
ファルがそう言って、彼の炎者鎧から出て来た。カオルは彼の鎧から翼を持った小人の女性が出てきたのを見て驚いていた。ファルはカオルに近づくと何かを念じた。そして次の瞬間カオルの頭上から光の粒が降り注ぎ、彼女は嘘のように体力が回復し忽ち元気になった。そして汚れていた身体が綺麗になっていた。
「ウ、ウソ!! こんなことって……」
カオルは自分の身体を見回した。
ファルは元のマモルの鎧に戻り顔だけを出していた。マモルはカオルの手足を縛っていた拘束を解いた。そして彼は彼らの様子をずっとほくそ笑みを浮かべて窺っていた妖獣王バンロウに向き直った。
戦場は既に勝敗が決していた。妖獣族は連合軍によって殆ど討ち取られたか逃走してしまっていた。僅かに所々で逃げ遅れた妖獣族の残党が、連合軍に包囲されながら最後の抵抗を試みていた。いつの間にかソール隊がマモルの少し後ろに控えていた。更にその後ろにはマモルと一緒に側面攻撃に加わっていた精霊と魔道士の部隊が隊列を整えていた。
「カオル、もう少し待っていてくれ。俺はこいつをやっつけなくちゃならない」
マモルはそう言って、カオルをソール隊に預けた。
「大丈夫なの、マモル? こんな大きな敵、どうやってやっつけるの?」
カオルは心配そうに訊ねた。
「まあ、見ていてくれ」
カオルは後ろを振り向いて彼女に笑みを向けた。彼女は心配そうに彼を見つめていたが、彼の指示に従った。
連合軍は既に妖獣族の残党を片付けていた。彼らは隊列を整え武器を構えて妖獣王バンロウに対峙した。
「待たせたな、バンロウ! よくもカオルを酷い目に合わせてくれたな。お前だけはこの俺が倒す!!」
マモルはそう言ってグラディウスを構えた。




