再会の二人
再会の二人
ここはどこ……? あ、ここはあの場所……あの日の夜だ……そう、そいつらは突然襲って来た。私たちはキャンプの準備をして、ご飯の用意をしていたんだ。武器を取る暇もなかった。気が付いたらブルキングの群れが目前に迫っていた。私たちのキャンプ地に襲い掛かろうとしていた。だから逃げるしかなかった。
身を隠そうと近くにある森を目指した。一人二人と仲間が敵の餌食になっていった。そして僅かの時間の間に全員殺されてしまった。助けることもできなかった。武器もなく、私にはまだ奴らに対抗できるだけの力がなかったから。必死に走った。でも私の足では奴らを振り切れないと思った。
森の中に入ると真っ暗だった。視界が利かず手探りで木に打つからないようにして歩いた。でもブルキングは夜行性で暗闇でも目が見える。見つかったらもう終わりだと思った。その時だった。窪地に足を取られて転がり落ちてしまった。かなり下まで転がって行った。木の枝や石が身体に当たって痛かったのを覚えている。でも覚えているのはそこまでだった。
そして気が付いたら洞窟の中で両手と両足を縛られていた。目の前には妖獣王バンロウがトピズ族、魔狼族、そしてブルキング族たちを前にして宴会を開いていた。でも私は空腹と疲労で再び気を失ってしまった。
そして気が付いたらここにいた。ここは戦場。人族と妖獣族が戦っている。そして私は手足を縛られている。動く力もない……目を開ける気力もない……
カオルは再び気を失いそうになった。
何か騒がしい。何が起こってるの? 近くで戦いが行われているんだわ。きっと人族が近くまで攻めて来てるんだ。でも私はきっと殺されるだろう。いざとなったら、私は人質にされて脅しに使われるのかもしれない。でも人族は私一人のために進撃を止めはしないだろう。だって沢山の命が懸かってるんだもの。でもそれでいいんだ。私はそんなことに利用されたくない。もう楽になりたい。苦しいだけだもの。
心残りはマモルに会えずに死んでしまうこと。彼に会いたい。私の『ソルジャー』を一目見たかった。あなただけ。あなたは私の全て…
ああ、近くに干戈の音がする。もうすぐ死ぬのね。マモル……
力を振り絞ってカオルが虚ろな目を開けて音がする方に視線を向けると、ブルキングの大軍の中で真っ赤な光が見えた。時々その光から激しい炎が上がっていた。
私はあの炎にきっと焼かれるのね。どんどんこっちに向かっている。もうすぐだ。もうすぐ死ねる。マモル……
カオルは再び目を閉じた。目を開ける力も残っていなかった。だがいつの間にか音がしなくなっていた。風の音だけが聞こえてきた。彼女は最後の力を振り絞って再び目を開けた。そして彼女は目を見張った。目の前に真っ赤な光に包まれた人らしきものが立っていた。その光の人が彼女を見つめているように見えた。そして彼女の耳に声が聞こえてきた。
『助けに来たぞ、カオル!』




