凱旋のソルジャー
凱旋のソルジャー
マモルたちは白仙城に凱旋した。マモルたち『ソール』隊の凱旋の報は既に城中に伝わっていた。居住区の城門は開け放たれ、山頂に向かう大通りの両側は人々で埋め尽くされていた。恐らくそれは『東森砦』からマモルたちの戦闘記録が届けられていたためだろうと思われた。
彼らはその道の真ん中を隊長のマモルを先頭にして誇らしげに堂々と歩いて行った。城塞区の城門の前で長老が待っていて彼らを一人一人掻き抱くという異例の歓迎振りだった。
城塞都市は近年にない朗報に沸き、どの家でも食卓に豪華な料理を並べ美酒に酔いしれた。
しかし噂が独り歩きしていた。
「マモル様は新しい『ソルジャー』になったらしいな」
「いや、そうじゃない。『ソルジャー』はステラ様だけだ。マモル様は彼の次に強いんじゃ」
「でも幻霊を持ってるって話だから『テネレ』の称号を戴いてる筈だ。同じくらい強いんじゃないのか?」
「違う違う! マモル様がステラ様なんだ!」
「じゃあ、何でわざわざ違う名前を名乗ってるんだ?」
そんな噂が人々の間に横行して、どれが真実なのかを誰も知る者はいなかった。
城塞区では凱旋式典が行われ、大尖塔でパーティーが開かれた。そしてマモルは長老の陪席に預かるという名誉を頂いた。パーティーは深夜にまで及んだ。
マモルの名は城中に知れ渡り彼の名を知らない者はいなくなった。
そして長老は隣りの席に座る彼にこう耳打ちした。
「後一月もすればカオルが帰って来る筈じゃ。そうしたらそなたたちも再会できるのう」
ファルはマモルと融合し、彼の身体の中で意識体として存在できる。そしてそのままの状態でも彼に話し掛けられた。また自由に外に出ることもでき、小さな幻霊型にも人型にもなれる。
しかしその夜ファルはマモルの前に姿も見せず、話し掛けることもしなかった。それは今の彼がカオルのことで頭が一杯なのが彼女には分かっていたからだ。
「カオルが帰って来た時、私はどうすればいいんだろう? ここに帰って来たら、けじめを付けられると思っていた。でも今はその自信も揺らぎ始めてる」
ファルはそんな事を考えて悲しくなり形のない涙を流した。




