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アルビトリウム  作者: 新条満留
第三章 アルビトリウムの光
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マモルとケラスス

マモルとケラスス


 マモルは桜花村に帰る途中で妖虫たちに襲われることはなかった。たぶん首領がやられたことで妖虫たちも姿を隠してしまったのだろうとファルが言っていた。村に帰ったマモルは村人たちから感謝された。彼らは妖虫たちが姿を消したことで、安心して外出できるようになった。

 そして村長から村に伝わるという『炎者鎧えんしゃがい』という物を贈られた。それは服にも鎧にもなるらしい。身に着けてみるととても軽かった。胸の辺りに六角形の紅い金剛石がめ込まれていた。マモルは騎士になった気分だった。

 桜花村の案内人であるケラススはマモルを『白仙城』まで案内するため一緒に村を出発した。

 「私はこんなに早くあなたが力を取り戻すとは思ってなかったわ」

 ケラススは感心していた。

 「そうなんですか?」

 マモルは早いか遅いかという判断の基準が分からなかった。

 「ええ! あのラドクに苦戦すると思ってたたのに一撃で倒してしまった」

 「見てたんですか?」

 マモルは不思議そうに彼女の顔を見つめた。

 「ええ、私には二つの姿があるのよ。見てて!」

 マモルは驚いて口が半開きになった。彼女は白い鳩に似た鳥に変わってしまった。

 「驚かせてしまったわね。実は私は人族ではないの。私は仙獣族の者よ」

 ケラススは笑顔で説明した。

 「仙獣族?」

 「そう。この『アルビトリウム』には沢山の種族がいるのよ。あなたが属しているのは『人族』といい力や身体能力に優れた戦士型、魔力や不思議な力を駆使する魔道士型の二種類がいるわ。私が属しているのが『仙獣族』といって破壊力と防御力に優れた男たちだけの『獣型』と召喚術と妖術を持つ女たちだけの『人型』に分けられる。私たち『人型』は通常は人間の姿だけど、成人すると動物の姿に変身できるようになるのよ。

 そしてあなたが戦った『妖虫族』は『妖獣族』という種族の支族なの。『妖獣族』はこの世界で最も数の多い種族よ。『妖獣族』にはあなたが戦った『虫型』の他に『獣型』もいるの。

 ここは『大東原』と呼ばれてる地域で沢山の種族がいるわ。西の『骨片の砂漠』のさらに西にも海の向こうにも陸地が幾つもあるし沢山の種族がいるの。知られていない少数種族もね。

 この『アルビトリウム』はあなたが来た『マテリア』よりも広大で種族もまばらに存在しているので、『アルビトリウム』の全貌を知っている者は誰もいないの。あなたが住んでいた『マテリア』のように球形なのかどこまでも平らなのかさえね。

 ちなみに言葉はどこでも通じるから安心してね。私たちの言葉は『マテリア』のように相手の発音や文字を耳や目で理解するのとは違うの。耳、目、そして思念による複合言語で理解するの。だから相手がどんな音語を発してもどんな文字で書かれようと思念言語に変換されて相手に伝わるから問題ないわ」

 ケラススは歩きながら淡々と説明した。

 「ありがとう、ケラスス! 少しこの世界のことが理解できました」

 マモルは礼を言った。

 「でも私は変な感じよ。あなたはここの住人だったし、しかも『ソルジャー』だったのにその人に私がこの世界のことを教えてるなんてね」

 ケラススは複雑な表情をして言った。

 「そう…かもしれませんね……」

 マモルは彼女の言った意味を実感なしに理解した。

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