カオルの使命
カオルの使命
人族の本拠である『白仙城』では長老と導師たちが円卓を囲んで会議を開いていた。そこにカオルも長老の要請を受けて列席していた。
「魔道士カオルの報告で妖獣王『バンロウ』従える群れが『煮炎の洞窟』に集結して総攻撃の準備をしているらしいと分かった。今日お集まり頂いたのはそのことで皆さんと対策を練りたいと思ったからなのです」
長老は導師たちを見回しながら言った。
「それが本当だとすれば由々しき事態ですぞ! 今この城の戦士と魔道士を集めたとしても、とてもあの集団を倒せるものではいない」
導師マオが意見を述べた。
「これはエルフ族と仙獣族に応援を頼まなければいけませんな」
導師テオが提案した。
「そのためには誰か使者に立つ者が必要です」
導師マオが言った。
「使者には誰がいいと思われますか?」
長老が導師たちに訊ねた。
「長老は既に決められているようですが?」
カオルを見ながら導師テオが言った。
「あはは、これは参りましたな」
長老は笑いながら言った。
「では皆さんのご意見をお聞きしたいのですが、この使者の役目をカオルに頼みたいと思っておるのですが如何ですかな?」
長老は一同を見渡した。
「異存はありませんな。私も同意見です」
導師マオが言った。他の導師たちにも異論を申し立てる者はいなかった。
「それではカオルを使者に立てることにしましょう」
長老はカオルを見ながら言った。
「はい、謹んでお受け致します」
カオルは答えた。
「では諸族への書状ができ上がったら、カオルはそれを持って使者に立って貰いたい」
「承知致しました」
カオルはそう言うと席から立ち上がった。
「厳しい旅になると思うが無事に戻って来てくれ。同行者を何人か連れて行くことを許可する。人選はお主に任せる。旅に必要な物は申請してくれれば何でも揃えよう。では早速準備に取り掛かって欲しい」
長老はカオルにそう命じた。彼女は列席者たちに向かって一礼すると、騎士の間を後にした。
「早く帰って来て、マモル。あなたに早く会いたい」
カオルはそう祈りつつ自分の邸へと帰って行った。




