星野真司
星野真司
「護、今日も図書館に行くのか?」
真司は護の所に駆け寄って来て訊ねた。
「ああ」
護は真司に微笑んだ。
「お前さぁ、あんまり本ばかり読んでると精神が腐るぞ!」
真司は護の肩を軽く二度叩いた。
「ふふ、もう手遅れかもな」
護はそう言って空を仰いだ。
「そんなに本ばかり読んで何か調べてることでもあるのか?」
「まあ、そんなところさ」
「分かった! 女のことだな、このスケベ!」
真司は護の頬を突いた。
「まあ当たらずとも遠からずだな。女にも関わることだしな」
護はそう言って真司に笑顔を向けた。
「どういう意味だ?」
真司はキョトンとして訊ねた。
「世界についてさ」
「おいおい、何だそりゃ? そんな柄じゃないだろう」
真司は呆れたような顔をした。
「時間がないからな。世界を知っておきたいだけだ」
護は再び空を見上げた。
「時間がないって、どういう意味だ?」
「さあな。俺にもよく分からないんだ」
護は戯けた口調で答えた。
「何だそりゃあ!? 俺でも時々お前が分からなくなる時があるぞ」
真司は弱った顔で護を見つめた。
高校三年生になった護はこの星野真司を本当の親友だと思っていた。二人が知り合ってからまだ数ヶ月しか経ってないが、知り合ったその日から彼に何か惹かれるものを感じていた。きっかけも高校三年のクラス替えで、出席番号が一つ違いのため真司の席が護の前になったことからだった。彼と真司は何となく話しをするようになって次第に打ち解け合うようになっていた。
彼らは一年の時からお互いに顔を見知ってはいた。だがそれまで話したことはなくその時に交わした会話が初めてだった。しかし話し始めると何か共感するものをお互いに感じ始めた。彼らは価値観も共通点も多かった。同じ物を見て、同じことを考えていたり、同じ物に興味を覚えたりした。行きたい所や、やりたい事も同じになることが多かった。そんな二人だから、一緒に行動をすることが多くなり、学校から帰る時も家が離れているにも拘らず、毎日道が別れるまでの短い距離を一緒に帰ったりしていた。そして、学校が休みの日にはお互いに彼女がいないことから一緒に遊んだりしていた。
「まあ、いずれ俺の言ったことが分かるようになるさ」
護は苦笑して真司の顔を見つめるとこう思った。
『たぶん……夏休みに……』
「まあ、それなら待つしかないのか……」
真司もそれ以上追求はしなかった。
「これだけはその時が来ないと何とも言えないんだ」
護はしんみりと呟いた。




