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アルビトリウム  作者: 新条満留
第八章 冥塔の三王
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カリバーンとプエル

カリバーンとプエル


 朝になると、マモルたちは小魔人の洞窟の出口と思われる大扉を開けた。広く勾配のきつい階段が上を目指して闇の中に伸びていた。彼らはハルカに再びクシアを掛けて貰い階段を登り始めた。

 「ねえ、エンシャソードはどうしたの?」

 カオルはマモルに訊ねた。

 「失くなっちゃったんだ。その代わり新しいカリバーンという剣を手に入れた。これさ。カリバーン!」

 マモルが呼ぶと、彼らの目の前にカリバーンが現れた。

 〘パパ!〙

 カリバーンは嬉しそうに言った。

 「えええっ!! 剣が喋った!」

 マモルの周りにいた隊員たちは驚いた。

 「宙に浮いてるし、喋るし、どうなってるの?」

 マモルの後ろを歩いていたアイルが彼の右側から顔を覗かせた。

 「何じゃ、声が子供ではないか? あんまり強くないんではないか?」

 マモルとカオルの間を歩いていたプエルが言った。すると、剣から一筋の稲妻が飛び出し、プエルの尻尾に当たった。

 「ギュエェエエ!!!」

 プエルは体がしびれてひっくり返った。

 〘おい、子虎の分際で無礼な奴め!〙

 カリバーンは文句を言った。

 「な、何を! よくもやりおったな、お前なんかこうしてくれる!」

 プエルはカリバーンに飛び掛かろうとしたが、今度は炎が飛び出し彼の背中を焼いた。

 「アッチぃいいい!!!」

 プエルは叫びながら慌てて水路に飛び込んだ。

 〘分かったか、坊主! これに懲りたら僕の悪口を二度と言うなよ。さもないと尻尾を斬り落とすぞ!」

 カリバーンは言った。プエルが水路で項垂うなだれている様子を見て皆が苦笑した。

 「カリバーン、もう止せ。プエルはまだ子供なんだ。勘弁してやれ」

 マモルは言った。

 〘でも、パパ、あいつが生意気なこというから〙

 「そのパパっていうのは何なの?」

 カオルが不思議そうに訊ねた。

 〘パパが僕を作ってくれたんだ。だからパパなのさ〙

 カリバーンは説明した。

 「へえぇ、それはステラだった時のことでしょ? 彼はどんな人だったの?」

 カオルが訊ねた。

 〘とにかく滅茶苦茶強かったんだ。そしてとても優しかった。自分のことよりも他人のことを大切にしていた。そんな人さ。勿論、ここにいる記憶を失くしたパパもさ〙

 「へぇ、流石さすがね!」

 その時、カリバーンが赤く光り始めた。

 「敵が近いのか、カリバーン?」

 マモルは剣の柄を握った。

 〘もう近くにいる。ほら、階段が終わるよ。先が廊下になってるみたいだ。たぶんその先にいる〙

 カリバーンがそう言うとマモルは剣を構えた。隊員たちもそれぞれ武器を手に持った。先頭を歩いていたティグリスの足から炎が生じた。

 階段が終わると廊下になり四、五十歩行った先に壁があり、行き止まりになっていた。その壁の中心部には両開きの扉があった。

 彼らの周囲に静けさが漂っていた。冷えた空気が張り詰め彼らの足音だけが薄暗い闇の中に木霊こだましていた。

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