シンジの力
シンジの力
マモル隊はマモルを先頭に部屋の左側へ向かった。彼はカオルとプエルの走る速度に合わせて進んだ。シンジは射型なので走るのは速かった。彼の物理や魔法攻撃に対する耐性は強いとも弱いとも言えないバランスの取れた防御力を持っている。
マモルはカオルをおんぶして、シンジと一緒に飛んで空から戦いたいところだったが、カオルをおんぶしたまま剣を振るって思うように戦える筈もなかった。それに部屋の上空では大きな魔鳥がアイルの火鳥と交戦していた。三人揃って地上で戦った方が安全だった。マモルは進路上に立ちはだかる魔人や走る魔鳥を、二振りのエンシャソードで薙ぎ払いながら進んだ。
エンシャソードはグラディウスとは全く違っていた。赤い光を放ちそれが炎のように揺らいでいた。マモルがソルジャーになると光は増し、まるでマモルと同化しているようだった。剣を振るったら無数の光の短剣が飛び出した。それらが突き刺さった敵は黒い気体に変貌して消滅してしまった。だが次に剣を振るった時には無数の炎弾が飛び出し敵を焼滅させた。
「この剣の特性が分からない。次に何が出て来るのか分からないんじゃ、怖くて剣を振るえない! 味方を巻き込むような攻撃が出てきたら大変なことになる」
マモルは遠距離攻撃をできるだけ控え、接近戦で敵を叩くことにした。それで彼が敵に斬り付けてみると、敵は一撃で黒い気体になって消滅してしまった。敵は矢を放ってきたが、それらは全て彼の身体の手前で弾かれてしまった。エンシャソードが彼の周りに障壁を作っていたのだ。
「凄い剣だ! でも剣の特性が読めない。今はそれが分かるまで接近戦で戦った方がいいだろう」
マモルはそう考えた。
「キャアアア!!!」
「ギャアアア、敵じゃ、敵じゃ、マモル、こっちを何とかしろ!」
カオルとプエルは時々、叫声を上げていた。
マモル隊が部屋のほぼ真ん中に到達した時、反対側を進んでいたティグリス隊も同位置に辿り着いたようだった。
「シンジ、カオルたちのことを頼む! 俺は敵を引き付けに行く!」
マモルは彼らの前方に立ち剣を構えた。
「任せてくれ!」
シンジは自分の愛弓『ミストルテイン』を構えた。
マモルは彼らに向かって来ていた敵の群れの中に突入した。瞬く間に十体ほどの敵が消滅した。彼は敵の走る速度より少し早めに走り敵を引き付けていた。そのお蔭でシンジたちの周りには敵がいなくなっていた。
シンジはマモルの援護射撃をしながら彼の戦いを観察した。マモルが右に向かって行くと、小魔人の群れが彼の後をゾロゾロと追い駆けていく。そしてある程度進んだ所で、彼は敵の頭上を飛び越えて誰もいない所に着地する。すると敵は慌てて一斉に方向を変え彼の所に向かって行く。
「まるで大勢の子供と鬼ごっこしてるみたいだな。上手いもんだな……アッハハハ!」
シンジは話していても物凄い速さで矢を放っていた。
「マモルを助けてあげて、シンジ! いくらエンシャソードが凄くても単体攻撃じゃ、時間が掛かってしまうわ」
カオルは恐怖で気絶してしまったプエルをおんぶしているので攻撃できなかった。
「ああ、そのつもりさ。マモルが敵を集めるのを待ってたんだ。あれだけ集めてくれれば大丈夫だろ。安心してくれ、カオル! 今一気に敵を殲滅してやるからな! 行け、『フレキンベル』!!」
シンジはそう叫んで愛弓『ミストルテイン』を部屋の天井の方に向けた。光の矢が出現し弦に番えられた。
「ちょっと、シンジ、魔鳥じゃなくてマモルの方を……」
カオルはそう呟いたが、シンジはそれに構わず弦を引っ張り矢を放った。矢は光のような速度で飛んで行った。そしてマモルの上空で花火のように炸裂した。小魔人とマモルの上に光の矢が雨のように降り注いだ。マモルの身体は障壁に守られ矢を弾いていた。だが小魔人たちは身体中に光の矢が突き刺さっていた。彼らが地面に倒れると、その身体は地面の中に沈んでいった。




