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アルビトリウム  作者: 新条満留
第八章 冥塔の三王
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難関

難関


 プエルを仲間に加えたマモルたちは、更に洞窟の奥へと進んで行った。洞窟は人の通れないような横穴が所々にあるだけの一本道でだった。かなりの距離を進み、時間も経っている筈だった。でもハルカの掛けてくれたクシアの効果は続き、マモルたちの身体を光で包み松明たいまつ代わりになっていた。

 彼らの前に光が見え始めた。遠く前方で左側から明かりが漏れていた。そこで道が左に折れているようだった。彼らはゆっくりと歩を進め、足音を立てないようにして歩いた。

 曲がり角に差し掛かると、ティグリスが壁に身を隠して道の先にあるものを覗き見た。彼は異様な光景を目の当たりにした。

 その道は三十歩ほど進んだ先で広い部屋へ繋がっていた。部屋の中央には円形の小高い丘があり、その頂には巨大な金属製の器が置かれていた。そこから激しい青い火柱が立ち上り、その周囲を何十人もの小魔人たちが取り囲み、何かを崇拝でもしているかのように土下座を繰り返していた。その丘のふもとの周りをが取り囲んでいる小魔人たちが、何かを口ずさんで踊りながらその周囲をグルグルと回っていた。薄暗い部屋の周囲には不気味な面立ちの鳥獣たちが闊歩かっぽしていた。よく見ると部屋の反対側にさらに奥へと向かう洞窟が続いていた。

 「一体、何だあれは……?」

 ティグリスは思わず呟いた。

 「どうしたんだ、ティグリス?」

 マモルが訊ねた。

 「いや…しかし参ったな。あそこを抜けるしかないのか…少しきついかも知れんぞ」

 ティグリスは困惑した顔で言った。

 「ちょっと見せてくれ」

 マモルはティグリスの背中越しに覗き見た。

 「どうだ?」

 ティグリスが苦笑しながら言った。

 「うーむ…別の意味できついってことだな。部屋が広くて全部見えないからはっきりしたことは言えないが、敵の数は恐らく二千体ほどだな」

 マモルが思案顔で言った。

 「どうしたの、マモル? 事情を説明してよ」

 カオルは不安そうに訊ねた。

 「多分このメンバーなら問題はない。さっきの敵の戦闘力から推察すると無事に抜けられる筈だ。問題は敵の姿だ。ちょっと女性にはきついんじゃないかな…」

 マモルはカオルを見つめて言った。

 「どういうことよ、勿体ぶらないで教えて!」

 カオルは抗議した。

 「簡単に言えば、お化け屋敷だ。あの小魔人たちがウヨウヨいる。そして気味悪い姿をした鳥獣たちもな。戦いに集中できるかどうかが勝敗の鍵だな。気持ち悪いということに気を取られたら恐らく負ける」

 マモルが説明した。

 「そんなに……私、そういうの駄目なの…」

 カオルが身震いして言った。ハルカも同意するように何度も頷いた。

 「どれ、アタイに見せてよ」

 アイルはマモルの両腕を掴んで身体を支えながら覗いた。

 「どうだ?」

 マモルは笑顔で訊ねた。

 「…………ま、まあ、何とかなるんじゃないの…アタイたちなら…」

 アイルの顔が真っ青になっていた。

 「でも、そこを抜けるしかないんだろ? だったらやるしかないさ!」

 シンジが言った。

 「オ、オラ、子供じゃから、そういうのはあんまり…」

 プエルが震えながら言った。

 「シンジの言う通り、ここを抜けなければ目的地に辿り着けない。敵は大軍だ。集中攻撃を避けるため部隊を二つに分ける。ティグリス、アイル、ハルカは右側だ。俺、シンジ、そしてカオルで左側だ」

 マモルは指示した。

 「オ、オラはどっちじゃ!?」

 プエルが困惑顔で訊ねた。

 「お前はカオルにおんぶでもして貰え! とにかく追撃されないように敵を殲滅しておく必要がある。一体も討ち漏らすんじゃないぞ!」

 マモルが命令を下した。

 「了解!」

 全員が姿勢を正して返事をした。

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