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アルビトリウム  作者: 新条満留
第八章 冥塔の三王
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記憶

記憶


 シンジとハルカはアイル、ティグリス、そしてプエルの樹海城見学の案内役を務めていた。だが途中でアイルがお腹が空いたと言うので食堂に寄った。すると、彼女が仙獣族とは全く違うエルフ族の料理を珍しがり、食べ歩きが始まってしまったため、後は三人の自由行動にさせて、シンジとハルカだけ自宅に戻って戦いの準備を整えることにした。

 シンジは戦いを前にして思った。

 「マモル、やっとお前と一緒に戦える日が来たな。俺は白仙城で戦った時とは違うぜ。ちゃんと戦力になる力を取り戻したんだ。記憶と一緒にな。お前がステラだった時に俺はどうやって戦っていたか大分思い出したんだ。

 お前の方が早くここに戻ったのに、何故俺の方が早く記憶を取り戻したのか、俺は自分なりにこんな解釈をしてる。現在の記憶が邪魔して過去の記憶が戻り難くなるというのは周知の事実だ。お前の場合は恐らく現状を壊したくないと何処かで思っているんじゃないか? それで現在の記憶を失くしたくないと無意識に思っているのかもしれない。しくは過去に何か思い出したくないことがあったからかもしれない。

 俺の場合は現在へのこだわりも、過去に嫌悪することもなかっただけだ。だから早く記憶が戻ったと思うんだ。

 お前の記憶が戻った方がいいのかどうか俺には判断が付かない。戻ったことで現状が壊れることもあるかもしれない。だから自分で気づいて判断するしかないんだ。このことを教えないのは俺のお前に対する友情だ。自分の力で進むんだ、マモル! 誰でもそうするしかないんだからな。

 ただ一つだけ俺の記憶が戻ったことでお前に譲れないものがある。ハルカはお前に渡さない。俺がマテリアに落ちたのはハルカを追って行ったからなんだからな。

 いつかお前の心を俺の方に向けさせてみせるぞ、ハルカ……いや、ルキオラ……俺の愛する『ロセウム・ルキオラ・アエスタース』よ!

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