カオルとハルカ
カオルとハルカ
カオルとハルカは老人の話の途中から涙を流して聞いていた。二人のエルフのことが自分たちのことのように感じられてしまったからだ。老人が話を終えても彼女らは何も言えなかった。
老人は彼女らの様子を優しい目で見つめて再び語り始めた。
「この守石がここに安置されてから、この村が妖獣に襲われたことはない。モトはその言葉を守り続けているんじゃ。ワシにはこの三人が死んでいるようには思えんでの。何か満足そうに笑っているように見える時があるんじゃ。
ところでお二人とも泣いておるようじゃが、何か感じることでもあったかな? あなた方は違う種族なのに顔がそっくりじゃ。何か曰くがあるようじゃの。
もしワシの話を聞いて何か思ったところがあるなら、よく考えてみることじゃな。身動きが取れないような状況であっても、見る角度を変えれば、それまで見えなかったことが見えてくることもある。一つの見方に縛られて、自分を追い詰めないようにすることが大切じゃ。
アッハハハハ! どうも説教じみてしもうたかの? じゃが、たまにはワシのような老いぼれの話を聞くのも一興じゃよ。さて、ワシはそろそろ行くとするかの」
虎族の老人はそう言って、四足になると町の方へと駆けて行った。
カオルとハルカは並んで再び三人の石像を上げた。気のせいか三人が満足そうに笑っているような気がした。




