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アルビトリウム  作者: 新条満留
第七章 封印
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勇者モトの伝説 後編

勇者モトの伝説 後編


 

 モトは結局どちらのところにも現れなかった。ユリアとルキアは二人とも振られたものと思い込み、その真意を問うために彼を捜した。じゃが、遂に彼を見つけることはできなかった。彼女らは彼が村を出て行ったのだと思った。

 ユリアとルキアはその後、互いの失恋の痛みを慰め合い元の仲の良い姉妹に戻っていった。

 村人たちはモトが村を去ったことで再び妖獣族の襲来を心配したが、奴らはこの村に二度と現れなかった。村人は安心して生活が送れるようになり平和を謳歌した。

 村人はモトのことを語り継いでいたが、次第に誰の口にも上らなくなっていった。

 そしてある時、モトの住んでいた邸が取り壊されることになった。そして取り壊し作業中に床下からある物が発見された。それはモトの石像と一通の手紙だった。手紙にはこう書かれてあった――


 『村人の皆さん、私はあなた方のご厚誼こうぎに感謝致します。私はここを守って欲しいとあなた方に頼まれて以来、力を尽くし思いを尽くして戦ってきたつもりです。しかし今、町は滅ぶことになってしまい責任を感じております。

 そして私はこの新しく建設された村を今度こそ守り通したいと思っています。ですが、私の仲間はもう一人も残っておりません。私一人でこの村を守るにも私の力は不足しています。

 そこで私はこの村を守るため、私の剣の力を借りて自らの身体を『守石もりいし』と化してこの村に結界を張ることにしました。

 私の石化した身体を村のどこかに置いておけば私の残留思念により結界を張り続け、この村を妖獣たちの手から未来永劫お守り致します。

 皆さんに相談もなく勝手に決めてしまったことをお許し下さい。


 最後にユリアとルキアに一言だけ言わせて下さい。

 ユリア、ルキア、私はお前たちのどちらを選ぶこともできない。だが私はお前たち二人を愛している。どうか私がいなくなっても悲しまないで欲しい。私はお前たちをずっと守り続けるだろう。さらばだ!』


 村人はモトの英雄的精神に感謝し誰もが悲しんだ。そして村人は村の中心に位置するこの場所に広場を作りこの『守石』を安置することにしたのじゃ。

 この話を伝え聞いたユリアとルキアの悲しみは深かった。自分たちがモトを追い詰めてしまったのだと思っていたんじゃな。彼女たちは毎日泣き暮らし、外にも出なくなった。 

 そしてある日のこと、一人の村人がこの広場を散歩していた時に、ユリアとルキアがこうして寄り添うようにして石になっているのを発見したんじゃ。恐らくエルフ族の魔法を使って自らを石化したんだろうと噂された。

 これがこの石像にまつわる言い伝えじゃ。

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