再会と旅立ちと
再会と旅立ちと
マモルとカオルが王宮のバンライ王の前に行くと彼は早速用件を伝えた。
「態々(わざわざ)呼び出して、すまなかったな。実は貴君に会わせたい者たちがいるのだ」
「会わせたい者たち?」
マモルは不思議そうに訊ねた。
「実は今度の戦争で我々が要請していたエルフ族の救援軍が、先ほどこの城に到着しての。彼らの中にエルフ族の長エルフィナ殿から密命を受けてきた者たちがおるのだ。彼らの用向きは貴君らにも関わりのあることなので、呼び出したという訳だ。早速、彼らをお呼びしよう」
バンライ王はそう言って衛兵に目配せすると、彼は持っていた槍で二度床を叩いた。するとマモルたちの右側にあった扉が開き、そこからシンジとハルカが入って来た。
「シンジ! …ハルカさんも!」
「ハルカ!」
二人は同時に叫んだ。
「マモル!」
シンジとハルカも同時に叫んだ。
バンライは双方の様子を笑顔で見回した。そしてマモルに言った。
「実はエルフ族の救援軍は途中で妖獣族の奇襲を三度も受け、戦いには間に合わなかったが、こうして駆け付けて来てくれたのじゃ。彼らにもこの城で行軍の疲れを取るように言ってある」
バンライは説明した。
「そうだったんですか!」
マモルは嬉しそうに答えた。
「そこで彼ら二人が受けてきた密命の内容じゃ。
妖獣族は我々諸族にとって共通の脅威だ。そしてこれまでのような支族ごとの小競り合いのような争いではなく、妖獣王を中心にして支族が結集し、人族を襲い、我々を襲った。貴君の活躍によってそのどちらも阻止されたが、エルフ族は今度は自分たちに違いないと懸念しておるらしい。
そこでこの度の戦の戦勝が成就したら、エルフ族は妖獣族の襲来を待たず、その懸念を先に払拭してしまおうと考えておるということだ。つまりエルフ族に最も近い場所に本拠を構える『冥塔の三王』に奇襲を掛け一気に殲滅してしまおうというのだ」
バンライはシンジとハルカの密命の内容を説明した。
「そうでしたか。それは尤もな懸念だと思います」
マモルは同意した。
「うむ。そこでエルフ族は我々に援軍を求めてきたという訳じゃ。じゃが、貴君も存じておる通り、我軍は惨憺たる有様じゃ。戦力の大半を失ってしまい建て直すにも時間が掛かる。自国防衛のための戦力を考えると、とても他国の支援に手を差し伸べている場合ではない。
じゃが、エルフ族がこうして大変な被害を蒙りながらも駆け付けて来てくれた恩義にも応えねばならない。そこでワシは我軍の中でも選り抜きの者二人を援軍として派遣することにした。どちらも一騎当千の強者じゃ。きっと役に立つと思うておる。
そしてエルフ族は同様の援軍の派遣を人族にも求めておる。もちろんエルフィナ殿は貴君がここに来るだろうということも、見越した上でこの申し出を彼らに託したのじゃ。
貴君たちがどうするかは貴君たちで決めるしかない。じゃが、不甲斐ないワシの決断を考えれば、貴君たちには是非とも頑張って貰いたいと思うておる。身勝手な願いかもしれんが、ワシに言えることはこれくらいしかない」
バンライ王は苦悶の表情で言った。
「考えるまでもないことです。大東原で最も大きな勢力を誇るこの三族は同盟を結んでおり友好関係にあります。前のエルフ族の人族への援軍のことを鑑みれば、人族の長老は喜んでこれをお受けすることでしょう。
しかし私の独断で大軍を動かすことはできません。でも私は人族の長老修道会から『特別集兵権』という権限を与えられています。私が隊長を務めるソール隊だけは私の独断で動かすことができます。そこで私は中隊は一先ずこの安獣城に駐留させて、伝令鳥を放ち長老修道会の決定を待つことにさせたいと思います。その間、彼らにもこの安獣城の再建に協力させることができます。
私たちソール隊は早速、樹海城へ向けて行軍致します!」
「そうか…ありがとう! 貴君ならそう言うてくれると思っていた。では早速出発の準備を整えて我が精鋭二人とこの者たち共に旅立って欲しい。必要な物があったら何なりと言って欲しい。全て取り揃えよう」
仙獣王は嬉しそうにそう言った。




