エクリクスのこと
封印
封じられた力 秘された想い
隠された光 未知の過去
どこへ行くのか どこまで行けばいいのか
手の中にあるもの それは真実の愛だけ
エクリクスのこと
妖獣王ハイロウの死によって妖獣族は総崩れに陥った。人族の派遣軍の到着によって戦況は一変し、その日の夕方には勝敗は決してしまっていた。ハイロウが倒されて間もなく戦争は仙獣族による妖獣族の追撃戦に移行し、多くの妖獣族の兵士が討たれ、その残存兵はどこへともなく逃走して行った。
人族の派遣軍は戦争の大勢が決すると安獣城に入城を許された。マモルたちソール隊はバンライ王から目通りを求められ、王の準備が整うまで賓客用の大広間で寛ぎながら待っているように言われた。
「グラディウスが折れちゃったね。これからどうするの、マモル?」
カオルは心配そうに訊ねた。
「その内新しい剣を手に入れるさ。まあそれまではこれで頑張るしかないな」
マモルはそう言って右の二の腕を左手で叩いた。
「『エクリクス』を得られればいいんだけどね」
ファルがマモルの傍を飛びながら言った。
「そうだ。ハイロウが言っていたが、その『エクリクス』って何なんだ?」
マモルは訊ねた。
「あいつが言ってた通り、あなただけの剣。探しても見つからず、求めても得られない、究極の剣。それが『エクリクス』よ」
ファルが説明した。
「どういうことだ? 今もどこかにあるってことなのか?」
マモルは不思議そうに訊ねた。
「うん。どこかにね。あの剣はなくならい。あなたと共にあり、あなたと共に滅ぶ。私はステラからそう聞いていたわ。でも彼がどうやってそれを手に入れたのか、それは分からない。私が彼と出会った時には彼は既にそれを持っていた。
本当のことを言うと、彼には謎が多かったの。人族の出身だということだったけど、その時には家族もいなかったし、どこの生まれかということも分からなかった。彼も自分の過去についてあまり話したがらなかった。だから私も詳しく聞こうとは思わなかった」
ファルは遠い目をして言った。
「そうか…まあ、その内分かってくることもあるだろう」
マモルは思案顔で言った。
「バンライ王の準備が整いました。どうぞこちらへ」
王の侍従が告げに来た。
マモルはステラの過去についてあまり深く考えていなかった。だが彼はこの後それを知ることになっていく。ステラが悲しい過去を背負った英雄だったのだと。




