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ゴリラの皮を被って  作者: 彩羽やよい


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6ウホ目:ゴリラはホラーが怖い

 ゴリラはホラーが苦手である。だっておばけ怖いから。

 夜眠れなくなってしまうから。

 お風呂で頭を洗うのが怖くなり、トイレにもうかうか行けなくなってしまうから。


 お風呂で頭を洗うときは目を閉じられなくなるし、トイレに行くときは廊下の角が怖い。

 ゴリラは自宅という安全圏にいるはずなのに、急に難易度が上がる。


 でも、恐る恐るホラー小説は読んだりもする。

 そして想像しては布団の中で震える。

 けれどほんとにダメなのは映画だ。


 そんなゴリラは、ものによってはホラーゲームをプレイすることがある。

 ただし条件がひとつ。

 敵に攻撃ができることだ。

 怖いけど戦えるならやる。ゴリラの謎の武士道である。


 ゴリラはとにかく、敵が出てくるならやっつけたい。過激派である。

 逃げたり隠れたりは、結局怖いので苦手だ。

 見つかったら怖い。見つからなくても怖い。だったらもう、ゴリラは戦いたい。


 ゾンビが出てきても、銃があればまだいい。

 化け物が出てきても、剣があればいい。

 なんならゴリラパワーで殴りかかっていいなら、かなり安心できる。


 というかゴリラはゲームでのステルスミッション、とでもいうのだろうか?

 「隠れて尾行しろ!」みたいなやつ。あるでしょ。

 あれが、すこぶるヘタクソだ。


 せっかく物陰に隠れているのに、自分から覗きに行って見つかったり。

 なぜか焦って走り出しては見つかったり。

 だいたいすぐ見つかって失敗して、何度もやり直すことになる。


 もうちょっとで尾行完了、くらいでやり直しになるともう、コントローラーを投げたくなる、というやつである。

 もちろんコントローラーを投げてはいけないし、ゴリラの力で投げるのは、もっといけない。


 そういうのが中心ではないゲームをしていたのに、突然尾行しろとか言われると、嫌になるくらいにはヘタクソだ。

 だから多分、隠れるホラーゲームをやってもすぐに見つかると思う。


 つまりゴリラによってホラー映画は、反撃ができないから怖いのだろうか。

「うわー! やめろー!」と思っても、やり返せないから怖いのかもしれない。


 だからゴリラは、ホラー映画を見るより、ホラーゲームをするほうがまだマシだ。

 自分で殴れるから。

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