3ウホ目:ゴリラはいろいろ想像する
自分が書くお話では、できるだけ、景色が浮かび上がるような描写を心がけているゴリラ。
お話を読むときにも、いろんなことを想像しながら読む。
妄想癖がある、と言われればそれまでである。
けれど、その世界にどんな色の風が吹いているのか。
どんな色や、香りの花が咲くのか。
どんな家に住み、踏みしめる大地はどんな質感か。
皆、何を食べて生きているのか。
朝は何時に目が覚めて、何時ごろ眠るのか。
登場人物の、食べ物の好き嫌い。
どんな言葉で話して、どんな願いを持って進むのか。
ゴリラはそうしたものが、とても気になる。
そして、それらを書いてくれているお話は、大喜びでドラミングをしながら読む。
登場人物が朝食を食べていたら、昼食と夕食の献立まで気になってしまう。
一度しか登場しない料理でも、その土地の特産品なのか、特別な日だけのごちそうなのか知りたい。
一軒の家が出てきたら、窓から何が見えるのか考える。
間取りも気になる。
寝室はどこなのか、台所はどこなのか、風呂はあるのか。
トイレは水洗なのか。薪はどこに保管しているのか。
気づけばゴリラは、物語を読んでいるのではなく、生活環境調査を始めている。
もはや物語を読んでいるのか、不動産の内見をしているのか。
どこを読んでいるのか、自分でもよくわからない。
もしかしたらゴリラは、気に入ったお話では、その世界に住みたいのかもしれない。
その世界で暮らす人たちの日常を覗きたいのかもしれない。
つまりゴリラは、勝手に移住計画を立てているのだ。
住民票を移せるなら移したい。
空き家があるなら紹介してほしい。
ゴリラは、お話を読み終えたあとも、延々と妄想を続ける。
彼らのその後や、休日の過ごし方を考える。
冷蔵庫の中身を考える。
寝室の家具の配置を考える。
迷惑な読者である。
作者の知らないところで、ゴリラが勝手に移住している。
あなたのキャラクターの暮らす家の隣から、元気のよいドラミングが響く日が来るかもしれない。




