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ゴリラの皮を被って  作者: 彩羽やよい


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16/20

16ウホ目:ゴリラは大型犬を愛してる

 大型犬。

 なんて、甘美な響き。


 お馬さんの回でも書いたが、ゴリラは力があるものが、それを振るわずに傍にいてくれるという状況が好きだ。

 大型犬たちは、本気を出せば普通に人間なんて、どうにでもできる力を持っている。

 体格も筋肉も違う。

 牙も爪もあって、走れば速いし、噛まれたら普通に痛い。

 痛いじゃすまないときもある。


 それなのに、そんな圧倒的な物量を持った生き物が、こちらに体を預けてくる。

 ただ隣に座って尻尾を振っている。

 ほれ撫でろ、と頭を押し付けてくる。

 撫でると嬉しそうな顔したりする。最高。


 こちらに「好き!」と全身でぶつかってくる。

 尻尾を振って顔を舐め、身体をくっつける。

 重さなんて関係なしに、人間に乗っかってくる。

 そして場合によっては、喜びのあまり人間を押し倒す。

 自分の大きさをわかっていないその勢いだ。でもそれがいい。


 おしりをふりふりしながらご機嫌に散歩したり、おうちに帰りたくなくて思いっきりそのでっかい体を地面に投げ出して抵抗したり。

 そういうところもたまらなくかわいい。


 あとゴリラは、大型犬の『ダブルコート』が大好きだ。

 ダブルコートというのはワンちゃんの被毛の分類なのだが、毛が二重構造になってるやつのことである。

 外側には、水や汚れ、紫外線なんかの刺激から体を守るための、ちょっとしっかりめの毛が生えている。

 その内側に、保温を目的としたふんわりした毛が生えている。

 たまらん。


 表面の毛をちょちょいとかき分けると、その下からみっちりつまった柔らかな毛があらわれる。

 ゴリラはそこに、思い切り手をつっこみたいのだ。

 もちろん犬からすれば「なにやってんの?」という話だろうが、ゴリラには必要なのだ。

 ダブルコートの、ふわふわの毛が。

 換毛期に大変な思いをするだって?

 構うものか。愛情を込めてブラッシングをさせていただくだけだ。


 でもあんまり毛が生えてなくて、すべすべしてるような子ももちろん好きだ。

 あれはあれで、皮膚の下にある体温を直接感じられる気がして、とっても良い。


 強くてでかくてあったかくて、そして優しい。

 大型犬、なんてすばらしい生き物なのだろう。

 ゴリラは、大型犬を愛してる。

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