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ゴリラの皮を被って  作者: 彩羽やよい


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15/20

15ウホ目:ゴリラは魔女が好き

 ゴリラは、魔女が好きだ。

 『魔法使い』も好きだが、魔女というものがやけに好きだ。


 黒い服を着ていて、怪しい薬を煮ていて、森の奥に住んでいて、他人には容赦なく「帰れ」とか言ってくる。

 まぁでも、ちょっと聞いて欲しい。

 ゴリラが本当に好きなのは、そういう表面的な魔女らしさではないのだ。


 『力を持っている孤高の女性』というものに惹かれているのかもしれない。

 だからゴリラは、魔女が出てくるお話を書いたりもしている。


 深い孤独を抱えている魔女。

 人とは違う力を持っているがゆえに、誰からも理解されない。

 そうした中でも矜持を捨てずに、前を向いている。


 誇り高く、譲れぬ美意識や自分のルールを持ち、簡単には誰にも心を許さない。

 そんな魔女が大好きだ。


 実はゴリラは、魔女には「愛」が良く似合うと思っている。

 一般的に魔女に似合うとされているのは、そんな甘っちょろいものではないのかもしれない。


 魔女といえば孤独。魔女といえば禁忌。魔女といえば怪しい薬。あと黒猫。

 そんなイメージもあるだろう。

 しかしゴリラは言いたい。

 愛だっていいじゃないか。


 私は、魔女の孤独を救うのは、誰かと共に生きることであってほしい。

 誇りを持っていて、自立していて。

 どこか孤独で、それでも誰かを大切にする女性に、ゴリラは強く惹かれる。

 普段は人を寄せつけない魔女が、たった一人にだけ「あなたはここにいていい」とか言っちゃうのが最高なのである。


 ゴリラが好きなのは、魔女が誰かに守られて別人になる話ではない。

「あなたがいないと何もできないの~」ということではないのだ。

 ひとりでも立てるし、自分の力で生きていける。

 それでも、その人の差し出した手を取る。


 ゴリラが好きな魔女は、誰かに「守ってあげる」と言われて素直に守られるタイプではない。

 そんなことを言われたら「結構よ」「必要ないわ」と言う。

 でも本当はちょっとだけ嬉しくて、その手を振り払わない。

 ここ。そういうこと。


 守られるだけのヒロインには、あまり興味がない。

 いや、ほとんど興味がないと言っていい。

 主人公をワーすごいですーと褒めたたえるだけの舞台装置に感じるからだ。


 弱いから支えられているわけじゃない。

 相手を信じて、その手を受け入れている。

 一人でも立てる人が、誰かを愛することを選ぶ瞬間に、ゴリラの心は強く動かされる。

 ひとりでも生きていけるけど「あなたがいるなら悪くない」と思える。

 ゴリラはそういうのが大好きだ。


 ゴリラは、魔女が好きだ。

 黒い服を着て、怪しい薬を煮て、森の奥に住んでいて、他人には容赦なく「帰れ」と言う魔女が。

 そして、その「帰れ」を言わなくてもいい相手を、たった一人だけでも見つけた魔女が。


 魔女に必要なのは力を持つことでもなく、美しさでもなく、孤高であり続けることでもない。

 それでも、愛を知った魔女が、いちばん強くて優しく、美しい。

 ゴリラは、そんなお話を書いていたい。

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