15ウホ目:ゴリラは魔女が好き
ゴリラは、魔女が好きだ。
『魔法使い』も好きだが、魔女というものがやけに好きだ。
黒い服を着ていて、怪しい薬を煮ていて、森の奥に住んでいて、他人には容赦なく「帰れ」とか言ってくる。
まぁでも、ちょっと聞いて欲しい。
ゴリラが本当に好きなのは、そういう表面的な魔女らしさではないのだ。
『力を持っている孤高の女性』というものに惹かれているのかもしれない。
だからゴリラは、魔女が出てくるお話を書いたりもしている。
深い孤独を抱えている魔女。
人とは違う力を持っているがゆえに、誰からも理解されない。
そうした中でも矜持を捨てずに、前を向いている。
誇り高く、譲れぬ美意識や自分のルールを持ち、簡単には誰にも心を許さない。
そんな魔女が大好きだ。
実はゴリラは、魔女には「愛」が良く似合うと思っている。
一般的に魔女に似合うとされているのは、そんな甘っちょろいものではないのかもしれない。
魔女といえば孤独。魔女といえば禁忌。魔女といえば怪しい薬。あと黒猫。
そんなイメージもあるだろう。
しかしゴリラは言いたい。
愛だっていいじゃないか。
私は、魔女の孤独を救うのは、誰かと共に生きることであってほしい。
誇りを持っていて、自立していて。
どこか孤独で、それでも誰かを大切にする女性に、ゴリラは強く惹かれる。
普段は人を寄せつけない魔女が、たった一人にだけ「あなたはここにいていい」とか言っちゃうのが最高なのである。
ゴリラが好きなのは、魔女が誰かに守られて別人になる話ではない。
「あなたがいないと何もできないの~」ということではないのだ。
ひとりでも立てるし、自分の力で生きていける。
それでも、その人の差し出した手を取る。
ゴリラが好きな魔女は、誰かに「守ってあげる」と言われて素直に守られるタイプではない。
そんなことを言われたら「結構よ」「必要ないわ」と言う。
でも本当はちょっとだけ嬉しくて、その手を振り払わない。
ここ。そういうこと。
守られるだけのヒロインには、あまり興味がない。
いや、ほとんど興味がないと言っていい。
主人公をワーすごいですーと褒めたたえるだけの舞台装置に感じるからだ。
弱いから支えられているわけじゃない。
相手を信じて、その手を受け入れている。
一人でも立てる人が、誰かを愛することを選ぶ瞬間に、ゴリラの心は強く動かされる。
ひとりでも生きていけるけど「あなたがいるなら悪くない」と思える。
ゴリラはそういうのが大好きだ。
ゴリラは、魔女が好きだ。
黒い服を着て、怪しい薬を煮て、森の奥に住んでいて、他人には容赦なく「帰れ」と言う魔女が。
そして、その「帰れ」を言わなくてもいい相手を、たった一人だけでも見つけた魔女が。
魔女に必要なのは力を持つことでもなく、美しさでもなく、孤高であり続けることでもない。
それでも、愛を知った魔女が、いちばん強くて優しく、美しい。
ゴリラは、そんなお話を書いていたい。




