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ゴリラの皮を被って  作者: 彩羽やよい


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11/20

11ウホ目:ゴリラと妹

 ゴリラには、大好きな妹がいる。

 ゴリラと妹は、わりと仲がよかった。

 いや、かなり仲がよかったと思う。たぶん妹側にも異論はないはずだ。聞いてないけど。


 あまり喧嘩もしなかったし、たとえ喧嘩したとしても、気づけば仲直りしていた。

 というか、ゴリラは喧嘩をしてしまったときに何日も口をきかない、といったことが苦手である。


 だって、好きな相手とおしゃべりできないなんて寂しいし。

 ゴリラは、黙っているくらいなら、だいたい先に喋ってしまう。

 だから、ゴリラの方から何もなかったかのように話しかけて、仲直りしていた。

 学校で友達が「兄弟と喧嘩して何日も口きいてない」などと言っていると、器用なことするもんだな、と感じたものだ。


 よく一緒にゲームをしたし、ゴリラがゲームをしているのを、妹は後ろから見ていることも多かった。

 ゴリラはゲーム中わりとやかましいので、よく耐えたものである。

「だから今でも実況動画とか好きなのかも。ゲームしてるの見るのが好きなんだ」

 と、思えば彼女は、ゴリラに言ったことがあった。


 妹は、ゴリラのことをよくわかってくれている。

 彼女がくれるプレゼントはいつも嬉しいものばかりだし、選んでくれる化粧品は、ゴリラの肌によく馴染む。

 ゴリラ本人より、ゴリラに似合う色や、肌のことを理解している可能性がある。


 妹は、イライラしているのを隠せないタイプだ。全部、顔と態度に出る。

 母はそうしたところが気に食わないようで、今更あーだこーだ、「そういうとこがお父さんにそっくりで」などと文句を言う。

 ゴリラは、「そういう言われて嫌な言い方をするからこじれるんだよな」と思いつつ、まぁまぁ。ととりなす。

 ゴリラはそうして、仲裁をがんばってみたりもする。


 けれど妹は、寂しいときには寂しいと言わない。

 できるだけ涙を見せないようにして、隠れて泣こうとする。

 ゴリラはそうした彼女の性質をよく知っている。ゴリラにはなんでもお見通しだ。


 今は、ゴリラは妹と離れて暮らしている。

 妹が辛いと思ったとき、寂しいと思ったとき、ゴリラは、すぐに駆け付けてあげられるようなところには住んでいない。

 それがゴリラには、ひどく歯がゆいときがある。


 それでも今はいい時代なので、離れていても一緒にゲームができる。

 直接会えなくても、話は聞けるし、ゴリラの話も聞いてもらえる。

 だからまぁ、今のところは大丈夫だろう。たぶん。

 ちょっとぐらい楽観的にならないと、ゴリラとお姉ちゃんの両立はやってられない。

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