後日談2
それから1年後に「瓜子姫」と唱えて鏡界へやってきた。
天邪鬼のラロが笑みを浮かべる。
「な? 俺の言う通りだったろ?」
そう、みじめなオリンピックにデジタル化の遅れ。そして迫り来る日本の先進国転落の危機だった。なのに社会の大人どもと来たら「ネトウヨ」じみた愛国心を唱えるままだった。
「現実世界では口では言えないがまるで大人はネトウヨそのものだよ」
「もっと日本は『ネトウヨ』のせいでみじめになるよ。韓国に抜かれ、台湾に抜かれ、スペインに豊かさで抜かれ、バルト3国にも抜かれ……そうね、待ってるのはこの日本国勢図絵のようにみじめな小国に転落さ」
ここは社会科準備室だった。壁に貼ってるのは近未来の日本の国勢が載っていた。
「日本は巨大な自己矛盾の塊さ。俺には『殺してくれ』と懇願してるようにしか見えないけどね。残念ながら小鬼程度の俺じゃ日本国そのものを滅亡させることは出来ないし国津神の俺としてもそれは本意じゃない」
えっ?
そう言ってラロの周りが闇の渦で一瞬見えなくなる。姿を現したのは美青年の鬼だった。
「俺の本当の名は『天若彦』」
後ろに背負っている鎌は弓矢に替わった。
「ということはやっぱり……鬼ではなく神?」
「それは違うな。鬼にして神だよ。天に反逆して一旦は命を失い天邪鬼に転生したのさ」
神々しい鬼神の姿だった。これが天邪鬼の正体……。
「壁に貼ってある世界国勢図絵を見て見な。滑稽だぜ。このロボット大国中国を見なかったことにしてるのが君が大学生になった特に見る「日本」さ。日本人の本質が天邪鬼なんだよ」
窓側には世界国勢図絵が張ってあった。信じられないことに中国の欄に描かれているのは膨大なドローン、フィジカルAIロボ、空飛ぶクルマ、貨物新幹線、電気自動車の姿だった。
「この中国の姿を認めずに水道水飲める、日本には四季がある。日本の漫画がすごいと言いながら駆逐されて行く」
「じゃあ、どうすればいいのさ!」
その叫びに鬼神は口角を上げながら皮肉な笑みを浮かべ答えた。
「日本の心を大切にして観光大国、宗教大国になるんだな。ヨーロッパを見て見ろ。腐ってもフランス、腐ってもイタリアなんだよ」
はっとした。
「お前の行き先。俺が国津神だからかもしれんが教示してやる。神主か僧侶になれ」
僧侶……。神主……。




