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16話

みじけえくせに、中途半端です。


事態が終息し(3分を要した)、ようやくまともに会話をできるようになった二人と向かい合う。

「わりぃわりぃ、時間とらせちまったな」

「本当です。あなたが適当なことを言うから……」

「へいへい。……で、家だったよな。一応聞いとくが、予算はどの程度だ?」

そう聞いてきたガイルに対して、トーマは一つのウィンドウを突きつける。それをシノノメも覗き込んで確認する。

「うほっ……」「これは……」

思わず二人は驚きの声を漏らす。

「それ、お前の全財産ほとんどなんじゃないか? そんだけ金かけて、買えねえモンなんかねえよ」

「そうです。もっと自分の為に使っても……。これだけあれば、全キャンプの名物食べ歩きくらい簡単にできてしまいますよ? 自分の趣味を持ってみれば……」

「え、と、トーマさん!? いったいどれくらいのお金を!?」

なんかすごい話が膨らみ始めていたので、リンが泡を食ってトーマに問いかける。

 トーマは何食わぬ顔だ。

「……気にするな。俺には、いらない」

「で、ですが……!」

「……使わない金は、無駄。だったら、誰かの為に使う」

「う、うう」

「……素直に、受け取って」

するとトーマ、一瞬何かを逡巡するような様子を見せる。そして、トーマにしては珍しく、おずおずと口を開いた。

「……なんなら、出世払いでいい」

瞬間、空気が凍った。ガイルとシノノメの二人は言葉の意味そのものがわからなかった為。リンは意味こそわからなかったものの、トーマが何を言いたいのかが分からなかった為。

要するに、三人ともトーマの発したジョークを、その真面目なイメージから読み取ることができなかったのである。

「……ごめん。忘れて」

受けなかったのが恥ずかしかったのか、トーマが黒ローブのフード部分を引っ張って顔を隠した。

「「「……」」」

三人はしばらく呆然としていたが、誰からともなく吹き出し、アストロンキャンプ統括事務所のカウンター一角は大笑いに包まれた。

腹を抱えて笑う三人に囲まれた黒ローブを目深にかぶった少年は、しばらく震えて動かなかったという。


そんなこんなあって。

リンとトーマは、紹介された部屋に来ていた。

「す、すいませんって! トーマさん!」

「……」

フードは目深にされたまま、歩くペースはただでさえ早いというのにさらに早く、リンが必死になって言葉をかけても反応しない。

 さすがにやりすぎた、というのが、仕方ないとはいえ、笑い転げた三人の共通意識であった。

「はっ、はぁっ……!」

トーマの早歩きは異常に早い。歩幅は自分にできる、不自然でない最大の歩幅。前記の通りトーマはペースも早いため、リンでは付いていくのでギリギリであった。

 息切れでヒィヒィ言いながらもなんとかトーマに付いていき、リンはガイルに指定された座標に辿りついた。

 その頃にはもう息切れでリンは膝に手を付く程に。ちなみにトーマは全く顔を歪めていない。

「はっ、はっ……お、おぉ~、これは、いい、ですね……」

言葉を不規則に途切れさせながら、リンは目の前の建物、これから自分の家になろうとしている物に賞賛の声をあげた。

 今回購入したのは、小さな一戸建ての家である。トーマはもっと大きな物を買おうとしていたようだが、恥ずかしがっている内にリンは自分の要求を押し通すことに成功。大豪邸ではなく、ごく一般的な大きさの、ごく一般的な広さの、ごく一般的な機能を持った、ごく一般的な家である。何故一般的な機能を欲したのかは秘密である。おそらく、のちのち明かされることになるだろう。

 しかしながら、以前に住んでいたボロ家とは段違いに綺麗な家に変わった。

「……入る」

「あ、はい。じゃ、じゃあ……」

トーマに言われて、リンは合鍵を取り出す。それを家宝を扱うかのようにおっかなびっくり鍵穴に差込み……

左にひねった。

「……リン。逆」

「…………あぁっ!? す、すいませんすぐ開けるので!」

とんでもない、常識を疑われかねない重大なミスに、リンは慌てて鍵を右に捻りなおす。その後猛スピードで頭を下げた。

「ど、どうぞ! ほんとすいません!」

対したトーマは、首を振った。

「……いい。初めに入るのは、リン」

「で、ですが……」

「……部屋の主は、リン。だから、先」

リンはもう一度遠慮しようとするが、トーマが無言でこちらを見てきていたのでそれをやめた。

少し遠慮しすぎなのかもしれない。謙遜は美徳とは言うが、相手が言ってきてくれていることまで遠慮するのは、むしろ相手の意思に背いているとも言える。

言ってきてくれたなら甘えてみよう、とリンは思い、それではと言って頭を下げて、中に入った。


小ネタ


「うほっ……いいオトコ♂」

「!?」

「トーマ逃げて、超逃げて」


その2

頭を下げて、中に入った。


なんということでしょう! そこには匠の細やかな気配りが云々!


ごめんなさい。もっと真面目に執筆すればよかったww


※鍵のエピソード、実は家族に聞いた結果右回し左回し意見が割れちゃって軽い家族会議と化しましたww  少し面白かったので、なんとなく入れてみました。

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