表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】最強捜査官イーサン ――完全犯罪を暴く行動分析チーム《オラクル》  作者: 久茉莉himari


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/41

【6】守るべき天才、使うべき天才。〜最強捜査官の冷徹な判断〜

その静寂を破ったのは――

ベックだった。


「そうだよ!

つまり、『理想の外見』がセシルそっくりってことだ。

それなのに、セシルを一人歩きさせていいのか!?


犯人はこのハリウッドで次の獲物を探してるんだぞ!?」


セシルはキョトンとすると、輝くような笑顔で言った。


「僕なら大丈夫!

シャーロット・アルマンの家で食事して、ランディの話を聞くだけだし」


ベックがため息を一つ吐くと、イーサンに向かう。


「イーサン!

本気でセシルを一人で行かせるつもりか!?」


イーサンが静かに答える。


「落ち着け、ベック。

相手は一般人だ。


それに、ランディは一番最近の被害者で、被害者の中で失踪期間も一番長い。


ランディが犯人に『選ばれた』理由が分かれば、犯人のプロファイリングを早期に完成する手掛かりになる。


それには、その時、一番身近に居たであろうシャーロットから話を聞くのが最善だ。


幸い、シャーロットはセシルの外見のせいもあるかもしれないが、セシルには心を開いている。

話している内に、忘れていた記憶を思い出すかもしれない」


ヴィヴィアンが頷く。


「そうね。

今は、ほんの少しでも良いから手掛かりが欲しい。

私はチーフの判断に賛成よ」


すると、ベックが続けた。


「俺だって、それが最短ルートだって分かってるさ。


但し、セシルの送り迎えは俺がやる。

食事会とやらが終わるまで、家の近くで張ってるからな!」


セシルが可笑しそうに「ベックの心配性」とボソッと言う。


ベックがセシルの細い肩を、ぐいっと引き寄せる。


セシルがベックの太い腕の中でジタバタしだす。


「ベック!何するの!?」


「あのな!

お前やチャールズみたいなのを守るのが、俺の仕事なんだよ!」


「僕、チャーリーと同じなの!?」


「違うと思ってたのか?天才児!」


「エレノア〜!ベックが苛めるよ!」


エレノアが巻き髪を揺らし、二人の元にやって来る。


「はいはい、セシル。

コーヒーでも飲んだら?

ここ、エスプレッソマシンがあるから」


「やったあ!

ベック、コーヒー飲もっ!」


「分かった、分かった!」


ベックが腕の力を緩めると、セシルと並んで本部を出て行く。


エレノアが肩を竦め、イーサンを見る。


「ベックの心配も分かります。

私も、その写真を見た時、ゾッとしましたから」


「私だってゾッとしたわ」と、ヴィヴィアンも苦笑いになる。


「だが今は、セシルに話を引き出させるしかない」


そう言い切るイーサンに、カリスタが静かに話しかける。


「でも、アルマン姉弟は経歴が立派過ぎるというか……。

少し違和感があるのよね」


イーサンがカリスタに向き直る。


「君だって名家のお嬢様だ。

こういう上流階級の人間との交流はあるだろう?」


「それは、あるわ。

でも、みんな大なり小なり家族や家系のプレッシャーを感じている。


でも、この二人からはそういう迷いが全然感じられないの」


ヴィヴィアンが、ポンッとカリスタの肩に手を置く。


「それは、コンピューター上の経歴がってことよ。


現にシャーロットは、あなたやイーサンには強気だったけど、ランディに似たセシルには本音を出した。


あの女王様が、メイクが崩れる程泣いたなんて、信じられないわ」


「それは、そうなのよね……」


カリスタは独り言のように呟いた。





そうして、ベックとセシルが戻って来た。


セシルはご機嫌で、事件の資料を速読している。


セシルは速読の達人で、特に習ったわけでもないのに、一時間あれば三万語読めるのだ。


ベックは、そっとエレノアに近づくと、こっそり訊いた。


「エレノア……!

セシルは大丈夫か!?」


「何がです?」


エレノアが不思議そうな顔になる。


ベックが声を潜める。


「実は……エスプレッソを飲む時に……信じられん程、大量の砂糖を入れてたんだ……!

ザーッとな……!


やっぱり緊張してるんじゃないか?」


エレノアがくすりと微笑む。


「セシルは甘党なんです」


すると、ベックが薄いブルーの目をぐりぐりと見開いた。


「甘党……!?

じゃあ何でエスプレッソを飲むんだよ!?」


「エスプレッソも大好きなので」


ベックは心底、(天才って分からん!!)と思ってしまった。


そしてまた、一段と声を潜めて、メモを差し出し言った。


「エレノア、これをどう思う?」


その後ろから、凄みのある声がする。


「ベック、俺に隠し事か?


チームで動くには、秘密があっては機能しない。

お前は軍でも、嫌と言うほど身に染みて分かっているだろう?」


そう、イーサンだ。


ベックがバツの悪い顔になる。


「いやあ……やっぱりセシルが心配で。

ホテルでちょっと集まって話そうと思っただけだ」


イーサンのアイスブルーの瞳がベックを射抜く。


「話す?

ならば、今、話せば良い」


ベックがつるりと顔を一撫ですると、口を開く。


「イーサンの理論は正しい。

それには、俺も異論は無い。


だが、やはりセシルを一人で送り込むのは心配だ。

彼は銃も撃てないんだぞ?」


すると、続いてカリスタも言った。


「私も心配よ。

セシルは余りにも被害者に似すぎている。


私はシャーロットの言動をこの目で見たし、シャーロットの経歴も、明日会う弟の経歴も、ボス猿タイプ丸出しだった。


そんな二人がセシルに会う理由は、たった一つしか考えられない。

ランディの思い出に浸りたいって欲求だけだわ。


こちらに協力する気なんて、全くないのよ」


ヴィヴィアンは複雑な目をして、二人とイーサンを交互に見ている。


セシルは書類に夢中で、全く話を聞いていない。


エレノアも、遠慮がちに、だがキッパリとイーサンに告げる。


「ベックは、セシルの送り迎えをして、家の前で食事会が終わるまで張ると言ってくれましたが、チーフは何も仰らなかった。


つまり、初めからセシルを一人で行かせて、一人で帰らせるつもりだったと言うことですよね?


もし、アルマン姉弟のモデルがまた狙われていて、アルマン姉弟が犯人に見張られていたら?


そこにセシルが現れるんです。

危険ではないでしょうか?」


イーサンは四人を見渡すと、静かに言った。


「まだ今日の仕事は終わっていない」


そして、一拍置くと、淡々と話し出す。


「いいか。

犯人を逮捕するにあたって、プロファイルするのに、今、必要なものは全て揃っているか?

答えはNOだ。


分かっていることと言えば、犯人は連続殺人犯であると言うこと。


典型的な秩序型で、ボス猿タイプのナルシスト。

自己愛性パーソナリティー障害のサディスト。


そして、被害者に自分の『理想』の外見、行動を求め、暴力ではなく、知性で被害者をコントロールしている、それだけだ」


会議室の空気が凍りつく中――

イーサンは淡々と話を続ける。


「セシル・アシュリー捜査官は、現場に出ることを許可されている捜査官。

銃の携帯の有無も問題ないとされている。


そこで聞くが――

君たちの心配は何だ?

アシュリーの身の危険か?

それを私が回避しないとでも?


それよりも、もっと俯瞰で物事を見ろ。

シャーロット・アルマンの言動、経歴、それに惑わされるな。

弟のトラヴィス・アルマンも同じだ。


完璧な人間など存在しないから、完璧な人間を見ると疑うのは、人間の本能だ。


だが、我々はその“本能”を暴き出すプロだ。


連続殺人犯の動機――

それは“本能”に基づく。


質問はあるか?

エレノア、君は質問するな。

君はプロファイラーではないからな」


すると――

セシルが「はーい!質問!」と声を上げた。

こまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

次回も読んで下さると嬉しいです☆

毎日17時更新☆


Xはこちら→ https://x.com/himari61290

自作のキービジュアルやキャラクターカード貼ってます♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ