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【完結】最強捜査官イーサン ――完全犯罪を暴く行動分析チーム《オラクル》  作者: 久茉莉himari


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39/41

【39】最も優秀な怪物が泣いた夜。〜薔薇園の炎が告げる終幕〜

そして、ロサンゼルスから車で約2〜3時間の場所にある、パームスプリングスのアルマン家の別荘では――


静かに、そして確かに――


イーサンの命令通り、SWATとスナイパーが配置され、S.A.G.E.ロサンゼルス支局員も持ち場に付いた。


壮麗な門にある防犯機器も、S.A.G.E.の電子機器専門分野の職員が解除した。


イーサンは、ベックとヴィヴィアンだけを乗せた黒いSUVで正面玄関に車を着けると、一人、マイクを手にした。


「トラヴィス・アルマン!」


イーサンの鋭い声が暗闇を切り裂く。


そして、イーサンは静かに言った。


「こちらS.A.G.E.オラクル、イーサン・クロフォード。

我々はアルマン家の里子の母親の依頼を受けて、やって来た。

彼が亡くなっているのは知っている。

母親が彼の墓を知りたいそうだ」


静寂。


イーサンは淀み無く、続ける。


「アルマン家の人間は、誰も彼の墓を知らない。

君はシャーロットが自殺したのを知っているか?

その知らせを君に取ろうとしたが、君だけは連絡が付かなかった。


そして、我々は君がこの別荘にいることを突き止めた。

一言でいい。

里子の墓の場所を言ってくれ」


その時、イーサンのスマホが鳴った。


ヴィヴィアンがイーサンのスマホを、即座にボンネットに置かれたパソコンに繋ぐ。


ベックが熱探知を見ながら、素早くイーサンに告げる。


「家の中は二人だけだ!」


イーサンが通話をフリックする。


「誰だ?」


イーサンの短い問いに、激昂を隠そうともしない声が、スピーカーから響き渡る。


「私に決まってるだろう!

クロフォード!

トラヴィス・アルマンだ!」


「やあ、トラヴィス。

里子の墓を教えてくれるのか?」


「俺を馬鹿だと思ってるのか!?

お前は、アシュリー捜査官を探して、ここまで来た!

違うか!?」


絶叫するトラヴィスに、イーサンは冷笑して答える。


「アシュリー博士は、もう、S.A.G.E.の職員では無い。

それに――

私も彼をクビにしようとしていたところだったのでね。

丁度良く、辞職してくれたよ」


一拍置いて、トラヴィスが驚きに満ちた声で言った。


「クビ……!?

あの天才で完璧なアシュリー捜査官を!?

なぜ……!?」


イーサンがフフッと笑う。


「天才ねえ……。

しかし、私には、上司を誘惑するような人材は必要無いのでね」


「……誘惑……!?

どういう事だ!」


上ずったトラヴィスの声に、イーサンが冷たく告げる。


「先週の週末だよ。

アシュリー博士が、まだ捜査官だった時だ。


悩みを聞いて欲しいと余りにしつこく言うので、わざわざ郊外の別荘に連れて行ってやって、話を聞いてやろうとしたのに……。


彼は別荘に着いた途端、俺を"満足"させようとした。


君が必死に、何度も何度もアシュリー博士の母親の為に電話を掛け続けている間中、アシュリー博士は、俺を"満足させること"に夢中だった。


そして、別荘に一泊する羽目になったんだ。


正直に言うと、俺も――楽しんだよ。


彼はただのIQ180の天才じゃない。

完璧な美貌を持つ青年だけでもない。

"男を楽しませることが出来る、美貌の天才"だ」


トラヴィスが再び絶叫する。


「嘘だ!嘘だ!俺は騙されないぞ!

アシュリー捜査官は天使のような人間だ……!

証拠はあるのか!?」


イーサンの口元が僅かに上がり――

電話に向かって低く言った。


「君はもう、アシュリー博士と"良い仲"なんだろう?

スマホの写真を見せて貰え。


例え、スマホを捨てさせたとしても、君はアルマン家で最も優秀な人間だ。

データは残してある、だろ?


見てみろ。

湖上に映る満月の写真がある。

もちろん、そのバルコニーでも俺たちは――いや、アシュリー博士は俺を"満足"させてくれたよ。


さあ、アシュリー博士の話は終わりだ。

それよりも――里子の墓の場所はどこだ?」


少しの間を置いて、トラヴィスが吐き捨てる様に叫ぶ。


「クソっ!クソっ!クソっ!

こいつこそ、セリアの生まれ変わりだと思ったのに……!!

淫売だったとは……!!


俺の……俺の大切な、清らかで美しく、やさしいセリアはな……!

この別荘の奥の、薔薇園にちゃんとした墓がある!


セリアの母親だと!?

あの女はセリアを捨てたんだ!


教えてやるよ!クロフォード!

あの母親がなぜ、セリアを捨てたと思う!?

セリアの耳が聞こえないからだ!

あんな女に、セリアの墓参りなんて絶対にさせないぞ!」


イーサンが静かに答える。


「そうだな。

だが、母親は捨てた子供が、耳が不自由だったとは一言も言っていないぞ?」


トラヴィスが絶叫する。


「不自由じゃない!

全く聞こえなかったんだよ!!」


イーサンが淡々と続ける。


「不自由?

だから、聴覚障害の第一人者の、一流の耳鼻科医たちを"シャトー"に呼んでまで、治療させようとしたのか?」


すると、トラヴィスが勝ち誇ったように答えた。


「俺が治って欲しかったとでも思ってるのか!?

大したプロファイルだな!

オラクルのクロフォード捜査官!


マーサの手前、呼ぶしか無かったんだ!

だが、あいつらのお陰で、セリアの耳は絶対に治らないと証明された!


人工内耳の手術でも無理!


でもな、セリアは俺を喜ばせようと……効きもしない補聴器を付けて……!」


トラヴィスがすすり泣く。


「だか、らっ……だかだから……お、俺は……セセセリアのま、前だ、だけ、はっ……吃音がっ……でで出てもっ……じじゆ、う、に、息がっ……でで出来たっ……!


あのっあの子だけ、がっ、お、俺を……わかわかってくれったっ……!


シャッ、シャーロットが、じ自殺!?

ととと、当然だ、ろっ!


あいつ、のっ、せいでっ……セセセリアは、死んだん、だっ……!!」


イーサンが一言告げる。


「君は吃音なのか?」


そして、スマホの通話を切ると、トランシーバーを掴み、素早く指示を出す。


「チームC!薔薇園に火を放て!」


その炎こそ――


アメリカの富裕層上位5%にいるだけではなく、四代続く"名家アルマン家"の次世代を担うトラヴィス・アルマンの、終わりの合図だった。

こまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

次回も読んで下さると嬉しいです☆

毎日17時更新☆


Xはこちら→ https://x.com/himari61290

自作のキービジュアルやキャラクターカード貼ってます♪

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