表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】最強捜査官イーサン ――完全犯罪を暴く行動分析チーム《オラクル》  作者: 久茉莉himari


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/41

【17】信頼という侵入経路。〜オラクルへ向けられた挑戦状〜

そして犯人のテリー・パーカーは、呆気なく逮捕された。


自宅のガレージに停めてあった黒いピックアップトラックの運転席で、眠っていたのだ。


それに、凶器に使われたナイフや証拠品も、全て荒れ放題のピックアップトラックから発見された。


オラクルは、その日の内にセレニス州のS.A.G.E.に戻った。





オラクル本部に戻ると、ベックが安堵した顔になる。


「やったな!

酷い事件だったが、スピード解決だ!

これもチャーリーが"超有能"なお陰だな!」


ベックに向かって、ヴィヴィアンが感動した表情で応える。


「それはそうだけど、やっぱりセシルは凄いわよ!


行きの飛行機の中でのプロファイリング、覚えてる?

エレノアが『住民の殆どが定職に就いている』って言ったけど、それなら定職に就いていない人間を探せば良いってやつ!


そのプロファイリングが無かったら、チャーリーのレーダーのヒントにはならなかったもの」


ベックがウンウンと頷く。


「そうだな〜!

でも、それなら俺も褒めてくれよ?


俺のプロファイリング通り、テリーは手袋をして犯行を行っていたし、帽子こそ被っていなかったが、スキンヘッドで逮捕された!」


ヴィヴィアンがフフッと笑う。


「でもセシルは、『玄関の鍵を一人で開けて家に入る子供』がターゲットだって事も見抜いてたのよ!?

セシルの勝ち!」


その時、クスクスと笑い声がした。


カリスタだ。


カリスタは、美しい笑みを浮かべて言った。


「もう……二人共、プロファイルは勝ち負けじゃ無いのよ?

それに、セシルは"超有能"どころか天才よ」


ベックが大きな手で、つるりと顔を撫でる。


「そりゃあそうだ!

それより、セシルは何処だ?

それにエレノアは?」


「エレノアはチャーリーに呼ばれてるわ。

セシルは、丁官に呼ばれてる。

そのまま帰るらしいわ」


カリスタの答えに、ヴィヴィアンが腕を組むと、しみじみと言った。


「初めて現場に出て、立て続けに二件事件があったから、丁官も心配してるだろうしね」


ベックもカリスタも、大きく頷いた。





セシルが自宅に戻り、部屋の照明を点けた途端、スマホが鳴った。


画面を見ると、トラヴィス・アルマンからだ。


セシルが慌てて電話に出る。


「はい! セシル・アシュリーです」


トラヴィスはスマホの向こうで、ホッとしたような声を出した。


「アシュリー捜査官!

良かった!

テレビで観ましたよ。

リッチモンドの事件、お疲れ様でした。

それに、今夜中にセレニス州に戻られて本当に助かりました」


セシルがハッとする。


「ハリウッドの件ですか?」


「ええ、ロス市警察から書類を届けて欲しいと頼まれまして。

郵送するには、目立ち過ぎるからと。


私も前々から、セレニス州の友人の学術出版について助言を頼まれていたので、引き受けたんです。


ロス市警察は一刻も早くアシュリー捜査官に見て欲しいと言っていたので、今朝ハリウッドを発ちました」


「どういった書類ですか?」


セシルの問いに、トラヴィスが小さく笑った。


「私は見ていません。

立場上、見られませんし」


セシルが慌てて答える。


「そ、そうですよね!

失礼しました。

目立つというのは、どういった点で?」


トラヴィスが落ち着き払った声音で言った。


「頼まれた資料は二つです。

一つはかなり分厚い封筒ですね。

もう一つは円筒に入っています」


「円筒か……地図かもしれませんね。

緊急なんですよね?」


「ええ、勿論。

でなければ、私をセレニスまで向かわせないでしょう」


すると、またセシルが慌てて言う。


「そ、そうでした!

ホテルはどちらですか?

受け取りに伺います」


だが、トラヴィスが一気に慎重な声になる。


「ホテルは人目が多いですよね?

私達が会うことは内密にしないと。


オラクルのアシュリー捜査官にこんなことを言うなんて、おこがましいかもしれませんが……」


セシルが早口で答える。


「いいえ!

その通りです!

僕が浅はかでした。


でしたら、僕のアパートに来て頂けますか?

交通費は精算しますので」


「交通費なんて!」


トラヴィスが鷹揚に語り出す。


「こちらでレンタカーを借りてあります。

私用にです。

ですから、何の問題もありません。


ただ、ロス市警察から重要な指示がありまして」


「何でしょう?」


「アシュリー捜査官は、一度見たものは記憶出来るので、あなたが資料を見たら持って帰るように言われているんです。

あちらでも大切な証拠品だからだと。

大丈夫でしょうか?」


セシルが明るく答える。


「はい!

大丈夫です!

それに僕、1分間に三万語読めるので、そんなにお待たせしません」


トラヴィスが感嘆の声を上げる。


「それは素晴らしい才能ですね!

では、ご住所を教えて下さい」





翌朝、セシルが目覚めると、ベッドの上だった。


昨夜の事を思い出す。


トラヴィス・アルマンは、電話の後に直ぐにやって来て、0と1が並ぶ書類の束……あれは暗号だ……と、カリフォルニア州の地図を僕に見せたっけ……


――それから?


そうだ……僕は全部に目を通したら眠くなってしまって、それをトラヴィスに察せられて、トラヴィスは帰って行った……


書類と地図を持って……


それから?


何とかシャワーを浴びて寝たんだ……


書類と地図は……ちゃんと頭に入ってる!


セシルはそこまで思い出すと、気分良くベッドから出て、出勤の支度を始めた。





イーサンのオフィスのブラインドは全て下げられ、ドアも閉められている。


その中で――

イーサンがチャールズのスマホを見ながら、低く鋭い声で訊く。


「これで全部だな?

一枚も削除していないな?」


チャールズは涙を堪えながら、「していません」と震える声で答える。


そして、「セシルは何をされたんですか……?」と呟く。


イーサンはチャールズに目をやると、静かに話し出す。


「ハーパー、この画像をよく見ろ」


「見られません!

そんな……そんな……」


頭を左右に振るチャールズに、イーサンは厳しく告げる。


「見るんだ。


この12枚の画像を撮った人物は、相当頭が切れる。

セシルの裸体を撮ってはいるが、肝心な部分を上手く避けて撮っている。


そして、発信元はセシルのスマホだ。

セシルが、君にセクハラで訴えられた時の事まで計算しているんだ。


確かに際どい画像だ。

ベッドの上で足を立てて開いていたり、尻を突き出しているようなアングルだったり、シャワーを浴びながら誘うように片足を上げたり……」


「もう止めて下さい!」


チャールズの悲痛な叫びにも、イーサンは冷徹なまでに譲らない。


「ハーパー、セシルをこんな目に遭わせた犯人を逮捕する為には、なぜ"君"に、この画像が送られてきたのか、その意味を理解しなくてはならない。


良く見れば分かる。

これはヤラセだ」


「ヤ、ヤラセ……?」と、チャールズがポツリと言う。


イーサンが低く告げる。


「そうだ。


全ての画像でセシルは目を閉じている。

身体に力が全く入っていないし、必ず何かに寄り掛かっている。


尻を突き出している画像も、クッションを使用している。

シャワールームでは床に寝ている。


このセシルの"状態"で何が分かるか?」


イーサンのアイスブルーの瞳がギラリと光る。


「セシルは意識の無い状態で、この画像を撮られた。


君から報告があって直ぐに、セシルに連絡を取ったが、セシルに変わった様子は無い。

つまり、セシルはこの画像の件を知らない。


きっと犯人は、セシルのスマホから、画像も君へのメールも削除したんだ。


セシルは今、抜き打ちの薬物検査ということにして、医務室で血液検査と尿検査を行っている」


チャールズがホッとした表情になると、イーサンが厳しい声で言った。


「問題は、この画像が撮られたのがセシルの自宅だという事だ。

そして、セシルは犯人を自ら家に招き入れている。


セシルが出勤した後に、セレニス・ベイ署の鑑識に頼んで、侵入者がいないか調べて貰ったが、何処にも強引に侵入した形跡は無いそうだ。

客をもてなした形跡も無い。

きっと犯人が証拠を消したんだろう。


そうなると、答えは一つしかない。

犯人は、セシルの顔見知りで、信頼している人物だ。


その犯人が、君にセシルの裸体の画像を送った。

何故か?


君はうちの天才テクニカルアナリストだ。

だが君でも、セシルのスマホを調べても何も出ないという自信があるんだ。


そして君に画像を送れば、まずチームリーダーの俺に報告すると分かっている。

それは、オラクルへの挑戦だ。


セシルは無能なオラクルにいるよりも、有能な自分といる方が正しいというメッセージなんだ。


犯人はセシルを手に入れるまで、セシルを利用するだろう」


チャールズが目をゴシゴシ擦ると、すっくと立ち上がる。


「セシルのスマホを調べる許可を下さい。

絶対に犯人を見つけてみせます」


イーサンが頷く。


「分かった。

手配しよう。


だがハーパー、これだけは約束してくれ。

この調査は、君と俺の二人で行う。


セシルは信頼している人間に、裸を撮られた事も画像の存在も知らない。

知れば傷つく。


セシル本人は勿論、チームの皆にも他言無用だ。

出来るか?」


チャールズがしっかりとイーサンの目を見て答える。


「出来ます!

セシルをこんな目に遭わせた犯人を、絶対に捕まえてやります!」


「良し。

いいか、この手の犯人逮捕の為には、手続きに落ち度は許されない。


君は今ここで、俺のパソコンにその画像を全て転送しろ。

その次に、俺のスマホに転送するんだ。


君が理性を持って俺に報告をし、俺が証拠を受け取ったと立証出来る。


そして君は不快だろうが、セシルの画像を削除するな。

証拠の為だ」


チャールズが迷いなく「はい!」と答える。


「それから週末は、俺がセシルと一緒に過ごす。

犯人には絶対に見つからない場所だ。


今日は金曜日。

今夜は君の家でセシルを預かって貰いたい。


犯人はセシルをストーキングしている筈だから、君がセシルを預かれば、君はセシルの画像に屈しておらず、しかもセシルの力になっていると犯人にアピール出来る。


そうすれば、犯人はまた君に接触してくるかもしれない。

回数を重ねれば、それだけ犯人がミスを犯す可能性が高くなり、そうなれば犯人逮捕の近道になる。


セシルには俺から了承させる。

君の家の前のパトロールも増やす。


危険だと察知したら、直ぐに911に通報しろ」


「了解です!

まず、セシルのスマホを早急に渡して下さい」


イーサンが即答する。


「分かっている。

頼んだぞ」


「おまかせ下さい!」


チャールズがイーサンのオフィスを足早に出て行く。


扉が閉まると、イーサンはデスクを思い切り拳で殴った。

こまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

次回も読んで下さると嬉しいです☆

毎日17時更新☆


Xはこちら→ https://x.com/himari61290

自作のキービジュアルやキャラクターカード貼ってます♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ