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いつも側にいてくれたね  作者: 摘美花-ツグミカ-
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遥生の誤解 **遥生**

文化祭で俺のクラスは仮装写真館という、なんとも集客できないような催しをしている。


案の定、朝から客なんて殆ど来なくて。


苦肉の策で何故か俺が衣装を着させられて外に放り出された。



何で俺がでかい看板持って広告塔やらなきゃならねーんだよ。


しかも、ホストみたいな服まで着させられて。


俺、頭おかしいヤツになってねえか。


とりあえず門の前に立っていれば目立つし客も来てくれるだろう。


でもな、こんなところ夏芽には見られたくないんだよな。



「あの、それに書いてある仮装写真館ってどこにあるんですか?」


おお、早速お客さんだ。


「教室棟の3階です。1年F組なんですけど、分かりますか?」


お客さんには丁寧に返事しろって言われたから、直生の真似して話してみた。


ははっ、この話し方するの夏芽のデート相手に嘘ついた時以来だな。


思い出しておかしくなった。


「きゃあ、その笑顔かっこいい」


「ね、一緒に写真撮ってもらえませんか?」


「写真撮るなら仮装写真館まで行きましょう。案内しますよ」


俺はこの5人の女子グループを引き連れて教室へ向かった。


教室に着くと客が1人もいなくて、俺のクラスの企画は惨敗らしかった。


「おい! 客連れてきたから撮影準備して」


5人も客を連れてきてやったんだぞ、感謝しろよお前ら。


「はい! いらっしゃいませ」


「どの衣装を着て撮影しますか」


衣装チームが5人の客を奥へ連れて行った。


「あの、私たちあの人と一緒に撮影したいんですけど」


客の女が俺を指している。


「もちろんOKですよ。ねー、湯川くん! お客さんたちが着替え終わるまでそこにいてね」


あー、面倒だな。


それにしても夏芽と直生は来るの遅くないか?


あいつら一緒に来るって言ってたよな。


俺は客の着替えを待つ間、廊下にある椅子に座ってスマホを取り出し時間を確認した。


あれ? 直生から何度も着信が入ってる。


あいつら迷子になったのか。


直生に掛け直そうとスマホを操作していると、撮影室になっている教室からクラスの女たちが出てきて俺の動作を止めさせた。


「えっと、あなたは湯川くんだよね?」


同じクラスのヤツに忘れられたのか、俺。


「は? お前何言ってんの?」


「あ、この話し方は湯川弟くんで間違いないね」


「大丈夫かよ、お前ら」


「ねーねー、湯川くん。湯川くんって双子だったの? 湯川くんのお兄さんってかっこいいね」


誰にも話したことないのに俺が双子だってなんで知ってるんだ。


「もしかして、ここに直生が来たのか?」


「うんうん、さっきまでいたんだけど。彼女さんと帰っちゃったよ」


「はぁ? 彼女さん?」


俺はこいつらが何を言ってるのか理解できない。


「湯川くんのお兄さんと彼女さん、すごく良い感じだったよ。私、こっそり写真撮っちゃった」


「そうそう、皆いるのに急に抱き合うからびっくりしたよね」


「あーあ、イケメン兄には彼女がいるのかぁ。残念だな」


「ちょっと待てよ。お前たち何を言ってんだよ。直生は一体誰と来てんだよ」


「お兄さんね、可愛い子と一緒だったよ。それにお兄さんと彼女が仲良く手を繋いで歩いているところを何人も目撃してるんだよ。間違いないね」


手を繋いでたってなんだよ。


抱き合ってたってなんだよ。


「お前ら変なこと言うなよ。ありえねーだろ」


「そんなに信じないなら双子のお兄さんと彼女さんの写真、見る?」


そう言ってクラスの女が内緒で撮ったという写真を見せてきた。


そこには直生と、直生にハグされている女が写っていた。


夏芽なのか?


顔が見えないからはっきり夏芽と断言できない。


「ほらね、湯川くんにそっくりなお兄さんでしょ」


「なんだよこれ。誰だよこの女は」


直生が誰とハグしようと構わない。


でも、相手が夏芽だったら。


俺は一気に不安に襲われた。


直生と夏芽が付き合えばいいと思ったこともあった。


でも、実際にあの2人が俺の目の前で仲良くしてたらって考えただけで胸が痛い。


いやいや、これは夏芽じゃない。


俺の知らない女だ。


「湯川くん、この子の写真なら他にもあるよ。衣装に着替えて写真撮ったの。これ・・・」


見せてくれた写真には中世のドレスを着てにっこり微笑んでいる女が写っている。




夏芽・・・。




俺はその写真を掴み取り、教室から駆け出していた。

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