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いつも側にいてくれたね  作者: 摘美花-ツグミカ-
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気付いた気持ち **夏芽**

遥生から好きな人の話を聞いてから私は遥生にどんな態度で接していいのか悩んでいたけど、遥生はいつもと全然変わらなかった。


私は、自分の気持ちに気付いてしまったんだ。


幼馴染だから好きなんじゃないんだって。


遥生のことを男の人として好きだって気付いたのに。




「夏芽、明日は何時ごろに遥生の学校へ行く?」


学校へ向かって歩いている隣から直生が聞いてきた。


「ん? あっ、ごめん直生。なんかボーっとしてた。そっか、明日は遥生の学校の文化祭だったね」


「夏芽、最近何か考え事が多いような気がするけど、大丈夫なの?」


直生は私のことを良く見てくれている。


直生にはなんでも相談できるし、今まで内緒のことなんてなかったのに。


初めて直生に言えない秘密ができてしまった。


「何もないよ、大丈夫。明日どうしようね。確か9時からだったよね。その時間に行ってみる?」


「了解。明日遥生は準備があるから早い時間に登校するらしいんだ。だから僕と2人でもいいかな、夏芽」


「もちろんだよ直生。私が迷子にならないように連れて行ってね」


「ははっ、じゃあ僕の側から絶対に離れないでよ」


そうだよ、明日は遥生の学校の文化祭だもん。


思いっきり楽しもう。




翌朝、窓を開けると外は雲一つない青空が広がっていた。


昨日の夜、遥生の文化祭に何を着て行こうか悩んで、髪も可愛く結びたいなって思って。


色々考えていたら眠りにつく時間が遅くなってしまい、まだ少し眠い。


開けた部屋の窓から新しい風が入ってくると「うーん」と伸びをして目を覚ました。


出掛ける準備ができるといつものように私が直生を迎えに行く。


「直生、おはよう!」


直生の家の玄関を開けながら挨拶をする。


「おはよう、夏芽。今行くからちょっと待ってて」


直生の準備が遅いのはいつものこと。


私は直生の家のリビングにお邪魔して直生の支度が終わるのを待った。


ふと見るとリビングのテーブルに学校へ提出する用紙が無造作に置いてある。


提出期限は昨日と書いてある用紙。


あれ? 私、こんな紙もらったかな。


その用紙が何についてのものなのか読もうと思って手を伸ばした時、直生がリビングに入って来た。


「夏芽、お待たせ。いつも遅くてごめんね」


「準備できた? じゃ、行こう。あ、そうだ、この提出物ってなんだっけ? 私もまだ提出してないんだけど」


「ああ、それ遥生のやつだよ。遥生、提出してないのか」


なんだ、遥生の学校の書類なら良かった。


提出忘れて来週先生に怒られるかと思って不安になったよ。


「今日の夏芽、すっごく可愛いね。向こうでナンパされないように気を付けてよ。ま、僕が守るけど」


直生に可愛いって褒められて嬉しい。


「直生、ありがとう。とっても嬉しい」


直生に向かってお礼を言いながら微笑んだ。


「なっ、夏芽。その顔はダメだよ。お願いだから僕以外には見せないで」


「は? 今、可愛いって言ってくれたじゃない。なによ、この顔のどこがダメなのよ!」


直生ひどい! なんだか遥生みたいなこと言ってる。


「いや、そうじゃないんだけど。 あーーっ!! でもやっぱりダメ」


「もう、ばか直生」


いつもは遥生にしかばかって言わないけど、直生も遥生と同じだよ。


私はさっさと靴を履いて直生の家から1人で行こうとした。


「ごめんって。僕はかわいいって意味で言ったんだ。夏芽、待ってよ」


直生は本当に私が1人で行ってしまうと思ったのか、私の手を取って引き留めた。


直生の言葉に悪口なんて入っていないのは知ってるもん。


ちょっと拗ねるふりをしただけなのに。


「もう夏芽の手は離さないよ。このまま一緒に行くから、覚悟して」


「えっ、ちょっと直生」


直生は私の手を握ったまま歩き出した。


「1人で行かないから大丈夫だって。手、手を離して、直生ってば」


「ダメ。夏芽は危なっかしいからこのままだよ。それに僕のことばかって言ったから絶対に離さない」


「なによ、その罰ゲームみたいなの。ばか」


直生に向かってまたばかって言っちゃった。


それでも本気じゃないのは伝わっているみたいで、直生は笑っていた。


その直生の笑顔を見て、私も直生とこんな風に言いあえたことが嬉しくて笑った。



遥生の学校に着くと、もうたくさんの人がいて1人では本当に迷子になりそうだった。


「遥生のクラスって何をやってるんだろうね。食べ物屋さんだったらいいな」


「あはは。まだ朝ごはん食べたばっかりなのに夏芽はもうお腹空いたの?」


「ちっ、違うよ。お昼ご飯の心配をしただけです! もう、早く遥生のクラスに行こうよ。遥生って何組なの?」


「えっと、確か1年F組だったかな。あそこにイベントの案内板があるから見に行ってみよう。おいで夏芽」


「うん」


相変わらず直生は私の手を握ったまま離さない。


本当に罰ゲームなんですけど。


私たちは手を繋いだまま案内板の前で1年F組を探す。


「あっ! 直生あったよ、F組。えっと、何やってるんだろう」


「どれ? あー、夏芽残念だね。遥生のクラスは食べ物屋さんじゃないね」


「本当だ、残念」


「あははっ、夏芽は本当に分かりやすい。いいね、その反応」


「じゃあ、食べ物屋さんは後で探すとして。遥生のクラスは仮装写真館だって。なんか面白そうだね。早く行こうよ、直生」


私たちが案内板から立ち去った後、そこにいた遥生の同級生たちが大騒ぎしていた。


『今のF組の湯川くんだよね』


『女の子と手を繋いでなかった?』


『えーーっ、なんかショックなんだけどぉ』


こうして遥生にはかわいい彼女がいると、瞬く間に噂になった。

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