27.奴等を殺す毒になろう……
10月30日、全話の改稿が完了しました。
1話と2話は大きく話が変わっています。
今まで読んでいただいた方が、読み返さないで続きを読んでも、できるだけ問題ないようにと気をつけました。
設定での大きな変更として、「鑑定」は「自己鑑定」に変更しました。
今後ともよろしくお願いいたします。
俺は「蠱毒の洞穴」の入口まで来た。
相変わらず濃厚な魔の気配に満ちている……
これからやろうとしてる事は限りなく成功の可能性が低い事だ。
この洞窟の中で、俺は死ぬ可能性が高い。
死ぬのは怖くない……しかし、死ぬことでリル達の救出が成せないのは死よりも怖い。
『必ず助ける……リル、待っててくれ……』
俺は洞窟の中に一歩踏み込む。
奥の方は完全な闇になっていて、地形すら分からない。
耳をすますと奥から虫か獣か分からないが、おそらく魔物の出す音がいくつも重なり合って聞こえる。
不協和音のような音に鳥肌が立つ思いだ。……だが、進む。
入口からある程度進むと真っ暗で何も見えない。
自分が地面に立ってるのかすら分からなくなってきた。
『ここからだ……』
まず初めの一歩はここだ。
この真っ暗な闇の中、生息してる魔物は確かにいるのだ。
推測になるが、そんな魔物たちがいる以上、暗闇の中でも見ることができる「スキル」があるはずだ。
その時、ほんのわずかな音がして、何かがこちらに向かって来るような気がした。
完全に根拠のない勘だったが、その場から飛び退いた。
――――フィン!
俺が直前まで居た場所を何かが通り抜けた気がする。
暗闇で地形が見えない為に着地に失敗し、左肩を地面に擦った。
おそらく何か魔物の攻撃だろう。
不味い……見えない上に相手の攻撃の速度がかなり速い。今避けることが出来たのは、完全にマグレだ。
何かが通り過ぎた周囲を、なんとか見ようと目を凝らしていると。
『!?』
ぼんやりと……本当にぼんやりとだが白黒で洞窟の地形が見える。
おそらくまだ狙われてるから余裕は無いが、確認しておく必要がある。
周囲への注意を怠らないようにしながら、「自己鑑定」をする。
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名前:シュン
種族:ワイルドキャット
レベル:7
体力:10
魔力:9
スキル:「自動翻訳」「自己鑑定」「毒耐性(小)」「暗視(弱)」
称号:「シャスティの加護」
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よし! 暗視のスキルが手に入った。
暗視が手に入ったこともそうだが、これは今後の成功の可能性が高まることを意味するだろう。
ん? 右後方からわずかな飛翔音。
さっきより、少し余裕がある。
後方を振り向くと、こちらに向かってくる鳥? いや、コウモリか。
サイドステップで躱して、通過部分を予測して猫アッパー!
ビシッと音がして、手応えはあったが……
周囲を見回すと地面に落ちたコウモリがいて、バタバタと動いている。
飛びつき、両手で抑えつけ、噛み付きでトドメを刺す。
そして、コウモリの肉を噛み千切り飲み込む……
『不味い……』
リルの作ってくれたご飯に比べたら、酷い味だ……いや比べる対象が間違ってるな……
まあ、味はこの際どうでもいい。
俺はこの洞窟の全てを糧にする。
確か「蠱毒」は様々な毒虫を同じ容れ物に集め、互いに殺し合わせて一番強いものが最後に残る。
あとは、その中で生成された毒は凄まじい呪毒になるとかいう話だった気がする。
『この洞窟の全てを糧に、蠱毒の洞穴で「最後に残る者」になろう。この洞窟の全てを平らげ、俺が奴等を殺す「呪毒」となろう……』
奴等、暴風の蛇を倒すことができたとしても、「呪毒」となった俺はもうリルに触れることができなくなる予感がある。
だけど、そんなことは瑣末なことだ……
それに、まだ一歩踏み出したにすぎず、本当に問題なのはこれからだろう。
コウモリのように俺でも倒せる敵を倒しつつ、段々と敵が強くなっていけばいいが、いきなり歯が立たない相手にエンカウントした瞬間に終わりかねない。
俺は決意を胸に洞窟の奥へと進んでいった。
同時連載中の別作品です↓
「異世界の大家さん ~魔王様? 城ごと俺のモノですが~」
http://ncode.syosetu.com/n9911do/
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