考察スレ、加熱
【速報】迷宮協会、格付け試験の受験者について「事実関係を確認中」とコメント
【迷宮協会の試験で前代未聞の事態】
1:名無しの探索者 試験の配信見てた奴いる?
2:名無しの探索者 見た。15万同接いてたやつだろ
3:名無しの探索者 いたいた。俺も見てた あのモンスター全部伏せたやつ
4:名無しの探索者 やらせだろあれ 普通に考えてやらせじゃね
5:名無しの探索者 試験官の顔見た? あれ絶対想定外の顔してたぞ
6:名無しの探索者 いや試験官は最初から淡々としてたろ
7:名無しの探索者 いや最後の方の手つき見ろ クリップボード持ち直してたあれ動揺だよ
8:名無しの探索者 あの3体が順番に伏せてくのまじかよ 訓練でできるレベルじゃねえよ
9:名無しの探索者 4体目が隅で震えてたのが1番ヤバい あれ演技じゃ無理だろ
10:名無しの探索者 いややらせでしょ 協会が用意したモンスターだし
11:名無しの探索者 協会が自分の試験台無しにして何の得があるんだよ
12:名無しの探索者 そういえば試験官が判定保留って言ったんだけど あれってどういう意味
13:名無しの探索者 要はどう判定していいか分からなかったんだろ
14:名無しの探索者 試験官もお手上げだったらしい
15:名無しの探索者 さすがにそれは草
16:名無しの探索者 やらせって言ってた奴らまだいる?
17:名無しの探索者 これもう協会公認じゃん
18:名無しの探索者 いや公認はまだ出てないだろ ただ調査対象には入ったらしい
19:名無しの探索者 調査対象って何だよ
20:名無しの探索者 つまり協会も理由わかってないってことだろ やらせとか言ってた奴ら息してる?
21:名無しの探索者 陰口叩いてた奴らどうなった?
22:名無しの探索者 映ってたよ 1番終わったあと列で固まってた
23:名無しの探索者 胸当てのやつと手袋のやつだろ 口開けたまま動かなくなってた
24:名無しの探索者 手袋の方は震えてたな さっきまでコネだのコネだの言ってたのに
25:名無しの探索者 で、2番の胸当てはどうなった?
26:名無しの探索者 出なかったよ 一歩目で足が止まった
27:名無しの探索者 えマジで?
28:名無しの探索者 マジ。2番って呼ばれたけど そこから動かなかった
29:名無しの探索者 試験官が2回呼んだの見たわ 結局次の人に飛ばされた
30:名無しの探索者 やらせとか言ってた奴が 自分の番で出られないとか草
31:名無しの探索者 結局あの2人受かったの?
32:名無しの探索者 わからん 2人の結果までは映ってなかった
33:名無しの探索者 誰かまとめてくれ 何が起きたのか全部
34:名無しの探索者 じゃあ俺が書く
35:名無しの探索者 まとめ 1番「背中の人」が試験開始 試験用モンスター4体と対峙 4体中3体がレンの手前で自発的に伏せ 残り1体は隅で震えて動かず レンは一歩も動かず攻撃も回避もなし 試験官「判定保留」 協会はレンを調査対象として上に報告する方針 2番の胸当ての男は一歩目で足が出ずそのままスキップ 手袋の男のその後は不明 試験官の表情は最後まで硬かった
36:名無しの探索者 >>35 乙
37:名無しの探索者 乙
38:名無しの探索者 乙。読みやすかった
39:名無しの探索者 背中の人の体質って何なんだよ
40:名無しの探索者 調べたけど何も出ない 協会も分かってないらしい
41:名無しの探索者 名前も顔も住所も不明 分かってるのは下の名前だけ
42:名無しの探索者 あの声で「レン」って呼ばれてたよな それだけが手がかり
43:名無しの探索者 待って
44:名無しの探索者 どうした
45:名無しの探索者 知り合いが協会にいるんだけど 次は協会のトップクラスが直々に対応するらしい
46:名無しの探索者 は?
47:名無しの探索者 マジで?
48:名無しの探索者 ソースは
49:名無しの探索者 知り合いの伝聞だから眉唾だけど 上の方から直接って話
50:名無しの探索者 協会が本気出したぞ
51:名無しの探索者 トップクラスって誰だよ
52:名無しの探索者 そこまでは聞いてない
53:名無しの探索者 背中の人、逃げるなよ
◇
その夜。
ミオはベッドの上で、スマホを握ったまま仰向けに転がった。
通知が止まらない。
ニュースアプリが1つ、上に滑った。
『迷宮協会、格付け試験の受験者について「事実関係を確認中」とコメント』
「早」
指で下へ流す。
テレビ局の番組からメールが1通。
件名に「出演のお願い」とある。
下へ流す。
ネットメディアから取材依頼が3通。
同じ文面が並んでいる。
下へ流す。
配信者からのDMが5件。
知らない名前が多い。
指が止まった。
DMが2件、未読のまま残っている。
1件目を開く。
『例の件、どう?』
送り主のアイコンに、68万の数字が見える。
去年、既読だけつけて返さなかった相手だ。
(今さらかよ)
ミオは画面を長押しした。
指が「既読」に掛かる。
掛けたまま、離さない。
2件目を開く。
『こちらの配信でのコラボ、ご検討いただけませんか』
丁寧な文面。
送り主の名前は見ない。
(忙しくなりすぎだろ)
登録者数の表示を見る。
13万6,000から24万になっている。
「24万……」
ミオは足をばたつかせた。
シーツがぐしゃりと鳴る。
足が止まる。
スマホを顔の上に掲げたまま、天井を見る。
ミオはもう一度、通知を上から見直す。
指が画面の上をすべる。
試験の切り抜きの再生数が並んでいる。
1番上のやつが48万回。
その下が21万。
まだ上がっている。
画面を横に切る。
『背中の人』の文字が青く光る。
トレンド1位。
「もう完全に社会現象じゃん……」
ミオは枕に頭を沈めた。
ミオは枕から頭を引き抜いて、跳ね起きた。
シーツが床に落ちる。
『見て! 24万!』
『トレンド1位!』
『レン起きて!』
既読はつかない。
ミオはスマホを握ったまま、布団の上に座った。
返事を待っている。
スマホが短く震えた。
レンからだった。
スクリーンショットが1枚。
送り主は迷宮協会の公式アドレスだった。
『担当者が正式にご挨拶に伺いたい』
ミオは画面を2回読み返した。
下にレンの言葉が1行。
『挨拶ってなんだよ』
ミオは画面の文字をもう1回なぞった。
(挨拶って、協会の上の人が来るってこと)
ミオは親指で打った。
『それたぶん上の人』
送る。
1秒で既読がついた。
レンから『は?』だけが返ってきた。




