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婚約破棄されて捨てられた令嬢ですが、隣国の冷徹皇帝陛下がなぜか私を離してくれません!?  作者: Atelier Lotus


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206/216

第203話 新しい時代

 結婚式から数か月後。


 ヴァイスラント帝国には、かつてないほど穏やかな日々が流れていた。


 皇帝エルンストは正式に政務へ復帰し、皇宮では新たな体制のもと、国政が進められている。


 その傍らには、皇帝補佐へ就任したクラウスの姿があった。


 兄は豊かな経験をもって支え、


 弟は未来を見据えて導く。


 互いを信頼し合う兄弟は、それぞれの立場から帝国を支えていた。


 一方、暖房器具計画から生まれた火の魔法石は改良が重ねられ、帝国全土へと普及していく。


 北方の寒村。


 雪深い山間部。


 これまで厳しい寒さに耐えてきた人々の暮らしは、大きく変わり始めていた。


「今年の冬は暖かい」


「子どもたちも安心して眠れる」


「皇帝陛下と皇妃陛下のおかげだ」


 人々の笑顔は、帝国中へ広がっていく。


 宮廷では、クロエも宮廷筆頭魔導士として改革を支えていた。


 魔法石の製造技術を各地へ広め、後進の育成にも力を注ぐ。


 未来を見据えた改革は、着実に実を結び始めていた。


 ある日。


 エルンストとミアは、火の魔法石が普及した帝都の街を視察していた。


 家々の窓からは暖かな灯りが漏れ、人々の笑い声が街中に響いている。


 その光景を見つめながら、ミアは嬉しそうに微笑んだ。


「みなさん、とても幸せそうですね」


 エルンストも穏やかに頷く。


「ああ」


「これこそ、私たちが守りたかった帝国だ」


 その二人の周りを、誰にも見えないリリとアルが楽しそうに飛び回っていた。


『見て見て!』


『みんな笑ってるぞ!』


 二人は顔を見合わせ、嬉しそうに笑う。


 ミアは小さく微笑み、誰にも気付かれないようにそっと呟いた。


「ありがとう」


 その言葉は、二人の妖精だけに届く。


『えへへ!』


『まだまだ、これからだな!』


 リリとアルは元気よく頷いた。


 皇太妃クラリッサもまた、穏やかな日々を取り戻していた。


 皇宮には再び笑顔があふれ、家族が語り合う温かな時間が流れている。


 かつて帝国を揺るがせた陰謀は、すでに過去のものとなった。


 エルンストとミアが目指したのは、誰もが安心して暮らし、笑顔で未来を語れる国。


 その願いは少しずつ形となり、人々の暮らしを確かに変えていく。


 こうしてヴァイスラント帝国は復興を遂げ、新たな黄金時代への第一歩を踏み出したのである。

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