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サイレンスキラー 〜動物すら殺せない転生公爵令嬢は、やがて救済の暗殺者となる【サブストーリー更新中】  作者: 八ッ坂千鶴
第1部 サブストーリー集

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第91話 真夜中のドライブ。メウス実家に帰る

 墓参りが終わり、私たちは片付けをしていた。


 ブライアント公爵家のみんなと過ごすのもこの日が最後。


 一通り終わると、車に乗り込む。運転はもちろんメウスとリザークだった。


「結局今日はリザークさんも、アダムさんも話さなかったね」


「そうですね」


 エレンはそう言って、真っ暗になった外を眺めていた。


 彼も彼で、沢山食べられたのだろう。基本的には彼は食べる専門だったかもしれない。


 私は、そんなエレンの背中を見つめていた。昨日よりも少し身長が伸びているかもしれない。


「ミカエラ。今日リザークとアダム先輩が話さなかった理由だけど……」


 私とエレンのやり取りに、メウスが割り込む。


「実は過去に二人が喧嘩をしてね。今日も少しピリピリした状態だったから、口封じをしてたんだ」


「なるほど……」


 そんなことがあっての対応だったのかと、少し理解した。


 だけど、二人はどうやら話がしたいのか、運転席に座るリザークの隣にアダムが居座っている。


「メウス。二人が話をしたいみたいなんだけど」


「うーん。喧嘩しないならいいかな?」


 すると、メウスが指で空中をはじいた。そこで、魔法が解けたらしい。


 メウスの魔法は相変わらず便利だった。なぜなら、魔法で口封じをしても食事ができるから。


「それにしても、アダムさんとリザークさんもいっぱい食べてましたね」


「そうだね……。だけど、エレンこそ食べ過ぎたんじゃない?」


「そうですか? 僕としては普通ですけど……」


 その普通がおかしい気もするが……。


「エレンの食欲はほんとすごいわ。わたしには無理よ」


「あはは。レイラさんこそ、ご飯を三杯食べてましたよね」


「まあ。昔よりは減ったわ」


 レイラは空を見上げる。そこには、満点の星空が広がっていた。


「綺麗だね……」


「そうですね……」


 もう一つの車を見る。そこでは、リザークとアダムが何かを話していた。


「メウス。自身に防音魔法をかけてもらってもいいか?」


 リザークがメウスにお願いをする。すると、メウスは『なんで?』と言った。


「それは秘密だ。早くしてもらえないか?」


 アダムも催促をする。


「わかったよ……」


 魔法を使ったようで、右手で丸を作った。


「それでよ。リザーク殿。メウスの誕生日プレゼントは何にするかは決まったか?」


「いや。まだだな……。オレ様も何に興味を示すかわからないんだ」


「そうか……。実は我も悩んでいる……ううむ……」


 どうやらメウスの誕生日プレゼントに悩んでいるらしい。


 それなら私がいいものを知っていた。


「アダムさん。リザークさん。こういうのはどうですか?」


「なんだミカエラ」


「その……。メウスが大好きなものをあげるんです」


「いや、それを考えておるのだが……」


 メウスと言えば本。なら、彼が知らないことをつづった本がいい。


 魔法書はもうすでに飽和状態にある。なら、機械系の構図本がいいかもしれない。


 魔法紙の作り方は、つい最近お父様から教わった。


 幸いにも、獣の皮は沢山あった。


「魔法紙は獣の皮からできているそうです。今から作りま……」


 突然吹いてきた強風。車は風にあおられる。


 もう少しで領地内の中央部。そろそろ道が分離する頃。


 私たちはこのままリーファ家の方へ向かう。


「あとで情報送ります。これ、私の血判が押してあるので」


「おうよ!」


「うむ」


 私はリザークとアダム、二人と魔法紙を交換した。


 会話は途中で途切れてしまったが仕方ない。


 メウスに魔法を解いていいと指示する。


「何話してたの?」


「なんでもないよ」


「あ、そ」


 領地の中心で、私たちが乗る車とリザークが運転する車は離れる。


 一緒に乗るシャーロット家の面々。私も来年の一月には十二歳になるんだ。


 一年は本当にあっという間だ。一瞬で日々が過ぎ去っていく。


 これは何度も言うかもしれない。それくらい、この人生を楽しんでいる。


「メウス」


「なに?」


 私は気になったことをメウスに聞いてみる。


「レイってもしかして……。メウスが?」


「ううん。知らない。そんな人を転生させた記憶もないし」


 やはりそうか。私はレイの前世がどういう場所なのかもっと知りたくなる。


 だけど、そのレイは車の屋根の上にいた。


「レイ。降りたら?」


「いやいい。もしものことがあったら困るのはおめぇらだからな」


 今日は朝からこの様子。加えて彼の周囲には不思議な魔力が立ち込めていた。


「家が見えた」


「もうすぐだね」


 車はどんどん速度を上げていく。小高い丘を越えて、柵の中で眠る動物たちを眺めて。


 ティアはもう寝ていたので、この景色を見せられなかったのが悔しい。


 加えて、観察期間を過ぎたミリアもいなかった。


「お姉ちゃん。今日は楽しかったね」


「そうね……」


「お姉ちゃん?」


 レイラは相変わらず空を見上げている。時折正面を見るがすぐに上を向いてしまう。


 きっと(レイ)のことが気になっているのかもしれない。


 だけど、それはもう過ぎた話。私はそう思ってほしいと思った。


「ぼくの実家についたよ」


 メウスが報告をする。リーファ家はそこまで大きくなかった。


 むしろ日本の一軒家を少し大きくしたくらい。造りはもちろん木造だ。


 この世界には、コンクリートなどが高級材料とされている。


 だから、基本的には木造建築が多かった。


「ミカエラ。聞いてきて」


「わかった」


 私は、一人でリーファ家の玄関をくぐる。明かりはついていて、まだ起きているようだった。


 ――コンコン。


「ごめんください」


 私は入口を叩いた。すると、中から男性が出てくる。


「なにかね?」


「その……。メウスさんの友人のミカエラっていう者なんですけど……。リーファ家はこちらでしょうか?」


「そうだが……。メウス……メウス……。ああ、大叔父の息子さんか」


 どうやら、メウスの実家で間違いないようだ。


「家族で来たんですけど、入っていいでしょうか?」


「もちろん。いいとも」


「ありがとうございます」


 私は家族のところへ戻る。メウスの表情は暗い。


 全員でぞろぞろ降りて、リーファ家の中へ入る。


 最後に入ったのはメウスだった。


「外見によらず広いんですね……」


「そうだな……おっと、自己紹介を忘れていた。私はアメジス・リーファ。よろしく、ミカエラ」


「よろしくお願いします、アメジスさん」


 ここでは、大体四泊する予定。急遽の変更になったけど、これもいいと思う。


 アメジスさんは、事前に私たちが寝る部屋を用意してくれたそようで、これは本当に助かる。


 部屋に着くと、レイがゆっくり入ってきた。手には拳銃が握られている。


「レイ。なんで一人だけ物騒なの」


「いや、つい癖が……。すまない……」


「大丈夫。もしかしてレイって……」


 私は彼について気が付いてしまったことがあった。


 きっと彼は、銃社会で生まれ育った人なのかもしれないと。

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主人公の活躍がみたい方は!!!!!


ぜひ第1話からご覧ください!!!!

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