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サイレンスキラー 〜動物すら殺せない転生公爵令嬢は、やがて救済の暗殺者となる【サブストーリー更新中】  作者: 八ッ坂千鶴
第1部 サブストーリー集

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第87話 些細な悩み

注目度ランキング62位にランクイン!!ありがとうございます!

 お父様に呼ばれ、後ろをついていく私。今日は滞在二日目。少しは慣れたはずなのに。


「お父様。メウスから話があるっていうことだけど」


「それが私もわからないんだ。なんか寒気がしてきたぞ」


 お父様は自分の身体を抱きかかえるようにして身震いをする。


 こんなこともあるんだと、彼も少し動揺していることがわかった。


 そして、食堂の前で足を止める。そこで私は唾をゴクリと飲み込んだ。


「入ります」


 私は食堂のドアを開ける。そこには、他のメンバーが全員揃っていた。


 ゆっくり歩く、そして席につく。


「メウス。話って何?」


「う、うん……。実は、実家から……ブライアント公爵家宛てに救援要請が来たみたいで……」


「救援要請?」


「ぼくとしては帰りたくないんだけど……。みんなの意見が聞きたいんだ」


 メウスは実家にいい思い出を持っていない。だから、腰を引いてしまうのはわかっていた。


 だけど、メウスが家を出てから六十年は経っている。そもそも論、親戚はいるが親はいないはず。


 そこまで深く考える必要はないと思うけど……。


「もしかして……」


 私は気づいてしまった。メウスは動物が絶命する音を嫌う。


 命が消える音を嫌う。だから、たとえ親がいないとしても、行きたくないんだ。


 この状況をどう打開するか。私は考える。困っている人がいれば助ける、それが私とメウスの共通点。


「わたしは、個人の自由だと思うわ。だけど、顔だけは見せるべきよ」


「ちょっとレイラ!」


「何よ」


 突然言葉を並べたレイラに私は静止を促す。これはきっとメウスにとって大ダメージだ。


 案の定、メウスの表情は暗くなる。余計な発言しないでほしいものだ。


 私は彼を慰める言葉を考えてみる。しかし、当てはまりそうな言葉が浮かばない。


 隣に座るエレンも、あまりいい雰囲気ではなかった。


「メウスさん。本当に帰りたくない?」


 切り出したのはお母様だった。


「え?」


「本当に帰りたくないと思っているんですか?」


 お母様は続ける。


「精神的に帰りたくない。それなら、気持ちが変わるまで待つべきだと思います。だけど、私はミカエラからメウスさんのことをたくさん聞いています」


「……」


「メウスさんは、言い訳を持って帰りたくないと言っているのではないでしょうか。本当は、助けたいんでしょう?」


「……はい」


 さすがはお母様だった。メウスは少し俯く。そして、嗚咽にも似た声が漏れた。


 あのメウスが泣いている。彼が泣いているところを見るのは、これが初めてかもしれない。


 今はいない親だとしても、それだけ会いたかったのだろう。


「なら。私が先に入るよ」


「ミカエラ?」


「だって、絶対メウス緊張して逃げ出すでしょ。このメンバーの中では私の方が付き合い長いんだし」


「……」


「私が先に入って、メウスの気持ちがはっきりしたら出てくればいい。それだけの話だよ」


 半ば自分勝手な意見だけど仕方ない。まずはメウスの意識が明確になるのが先だ。


「じゃあ、そうさせてもらうよ。ありがとう。みんな」


「決まりだね!」


「決まりましたね!」


 先に反応する人はもちろん決まって私とエレンだった。


 出発は明後日とのこと、それまでにどう立ち回るかを決める必要がある。


 そうこうして、夕食は数十分で終わった。


 私たちはお風呂に向かい、着替えて寝室に向かう。


「メウス。大丈夫ですかね?」


「そうだね……。エレンはどう思う?」


 風呂上りの廊下。私はエレンと鉢合わせになり、お互いの不安を交換していた。


 一度は頷いた彼でも、少しモヤモヤが残っているらしい。


「僕はもう胸張ってもらうしかないと思います」


「そ、そうだよね……」


 どちらにしろ、結論は一緒。だけど、これでメウスにも自信が付けばいい。


 自分の家に帰る。だけど、今の私にはできない。


 メウスは言っていた、日本に行けるのは神だけだと。


 だからこそ、私は帰ることができない。本当は帰りたいのに……。


「とりあえず、四人で話し合いましょう。ティアもいいアイデアを出してくれるかと」


「だね」


 私とエレンは一緒に部屋へ戻った。そこでは、私の代わりにメウスがティアを磨いているところ。


 その表情はものすごく明るかった。どうして、こんな展開になったのかをこっちが知りたいくらいだ。


「あ、ミカエラ。エレン。遅かったね」


「それよりも、なんでメウスはそんなにニカニカしてるの」


「えへへ。それがね。ティアに弟ができたんだ」


「『えー!?』」


 ティアに弟ができたってどういうことなのだろうか。


 私は自分のガトリングガンを探した。たしかベッドの上に置いたはずなんだけど……。


「あれ? ない! 私のガトリング……」


「なんだよ。うるさいなぁ……」


「ッ!?」


 突然聞こえてきた、初めての声。メウスは姿見の前の方を指さした。


 そこに目をやると、ティアと同じくらいの男の子。


「うるさいのはやめにしてくれよ。マジでだるいんだけど……」


「レイ! 無駄口叩かない!」


「アネキもうるせぇー」


 どうやら彼はレイというらしい。ティアのことをアネキと呼ぶなら、本当に弟のようだ。


 髪の色と、瞳の色はあまりよく見えなかったのでわからなかった。


「あと誰だよ……。オレになんか用でもあんのか?」


「え、えーと……。私の……ガトリングガン……だよね?」


「ガトリングガン? ああ、オレの身体っておめぇのなんか」


 かなりキザというか、強いっていうか。ティアとは性格が真逆だ。


 だけど、そんな彼は私の前まで歩いてくる。


「オレはレイ。よろ」


「み、ミカエラです……。よ、よろ……」


「なーにおびえてんだよ……オレはおめぇのもんだ。好きにしやがれこの放ったらかし野郎」


「レーイー! お姉ちゃんにいじわるしないで!」


「あいあい。すんませんでしたね……。オレはもう寝るから」


 そう言って、レイは銃の姿になった。


 この日、私はなんだったんだろうと思いながらねることに。


 ティアに弟ができたのは嬉しかったけど、なんでこんなにもキャラが濃いの……。

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主人公の活躍がみたい方は!!!!!


ぜひ第1話からご覧ください!!!!

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― 新着の感想 ―
メウスが実家へ帰ることを怖がりながらも、本当は助けたいと思っていることを、お母様が見抜く場面が印象的でした!! そして、注目度ランキング62位にランクイン!!おめでとうございます!
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