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サイレンスキラー 〜動物すら殺せない転生公爵令嬢は、やがて救済の暗殺者となる【サブストーリー更新中】  作者: 八ッ坂千鶴
第1部 サブストーリー集

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第84話 大物ゲット!

 ◇◇◇ミカエラ目線◇◇◇


「よし! 釣れたーーーーー!」


 メウスが吠える。そこには大きな魚が空を舞っていた。


 ここは、養鶏場近くの湖畔。そこで私たちは釣り大会をしている真っ最中。


「さっきからメウスばっかりずるいです。僕にも当たらないかな~」


「条件は一緒のはずだけど、どうなんだろ?」


 エレンの言葉はたしかにその通りだった。


 先ほどからメウスばかりが当たりを引いていて、こちらに魚が食いつかない。


「まあまあ。気長に待てばそのうち釣れるさ」


 お父様が慰めになっていない言葉をかける。


 そう言われても、釣りを始めてから三十分ほど経っていた。


「本当に食いつかないわね。お母様。ミリアさん。そちらはどうかしら?」


 レイラが残りの二人に声をかける。二人は同時に横に振った。


 これでは釣りどころじゃない。メウス一人で楽しんでいるだけ。


 私は竿を引き上げ、車の方に移動した。


「ティア。大丈夫かな?」


 今日は本人の希望で家に置いてきた。


 ティアはブライアント公爵家が気に入ったようで……。


 ――――――――――――――――――


「あたし、暑いのはいや! ここでおるすばんする!」


「だけど、悪戯するでしょ! 一緒に来て、ティア!」


「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ! あたしおるすばんすりゅー!」


 ――――――――――――――――――


 今頃彼女は何をしているのだろうか。心配で仕方ない。


 直後、ジャババという激しい音が聞こえた。


「だ、誰か手伝ってください!」


「エレン!?」


 彼の竿を見ると、ものすごくしなっていた。私はすぐさま手助けをする。


「竿の耐久値を上昇させるよ!」


 メウスが魔法を唱える。そして、竿が銀色に輝いた。


 お父様とお母様、ミリアにレイラまで加わって、必死に引き上げようと引っ張る。


 相手もかなり強いのか、なかなか姿を見せなかった。


「これでも、最大値なんだけど……」


 メウスが疲労の声を上げる。


 彼には氷を作ってもらったり、車を運転してもらったり。魔力消費を一番している状態だ。


 いくら神でも限界があるのはわかっている。


「私なら!」


 エレンの竿を握る。全身が持っていかれる感覚。仲間もさらに力を込めた。


「メウス。あとどれくらい?」


「え、えーと……えーと……」


「メウス!」


 私が聞いたのはメウスの魔力残量だった。


 本当は私の魔力で肩代わりしてあげたい。メウスには助けてもらっているから。


 ひたすら戦闘が続く。


「自分。見えました。この魚。ものすごく疲れてます」


「ミリアさん?」


 魚が疲れている。ということは、ねらい目ということ。


 一気に引き上げる。すると、ザトウクジラくらい大きな魚が釣れた。


「でかいですね……。これどうしましょう?」


 エレンが言った。ここまで大きいと、食べるのも大変だ。


 見た目はクロマグロ。大きさはザトウクジラ。


 正直言って、美味しそうの一言では収まらない。


 むしろ、食べきれなさそうという気持ちでいっぱいだ。


「まずはメウスの魔力回復からしていきましょう。それとお昼ですね」


 そうだ。お弁当を持ってきていないんだった。


 となると、誰かが魚を捌かないといけない。


「大きい魚は私とミリアでやるわ。ミカエラとレイラは、小さい魚を捌いでもらえると助かります」


「よし。じゃあ、お姉ちゃん! 始めるよ!」


「わかった。ただし、足を引っ張らないでちょうだい」


「もちろん!」


 私は魔法で魚を浮かせる。風属性の中級下位魔法『ウィンカ』を使い、数匹同時に三枚おろし。


 この魔法は、いわゆるウィンドカッターのことらしい。


 対してレイラは、ナイフで一匹ずつ捌いていた。量をこなしているのは私の方らしい。


「ウィルドス ウィンカ トリンアクト!」


 メウスが釣り上げた魚の山。そこから、一気に三十匹ほど浮かせる。


 同時に詠唱した魔法で、捌く。今日のお昼はすごく豪華だ。


 多すぎる分は空間の中に押しやった。多分病み上がりのエレンはあまり食べないだろう。


「お母様。魚捌き終わりました」


「ありがとう」


「こっちも終わったわ。結局わたしが足を引っ張ってしまったわね」


「そんなことないよ。お姉ちゃん!」


 私は魚を焼く準備を始めた。最後に魚を食べたのは、メウスとエレンの三人で王都に向かう時以来。


 あの時のエレンは一回に数十匹食べていた。本当に食欲お化けだ。


「メウス。火の準備はできた?」


「うん。調味料の用意も終わってる。いつでもいけるよ」


 メウスはパチパチと燃える火元で、自分の血を垂らしていた。


 彼の血は可燃性。着火剤にもなる。つまり彼の血と火属性魔法、木の枝があれば完了ということ。


 ふと、お母様たちのことが気になった私は、みんなで釣り上げた魚を見に行く。


「お母様。手伝いましょうか?」


「助かるわ。この魚大きすぎて、苦戦中だったから……」


「わかりました。魔法で一気に終わらせるので、外れてください」


 私がそう伝えると、お母様とミリアが下りてきた。


ウィルディス(風の大刃よ) シャフロム(無数に) ダリス(舞え)!」


 魔法を唱えた時、暴風が吹き荒れた。


 ザトウクジラ級の魚は、綺麗に切られてメウスが用意した大皿に盛り付けられる。


「これは……一体……」


 お母様がポカンとして魚を見つめた。


「刺身ですね……。ちょっとやりすぎてしまいました……」


 薄切りになった魚の身。お母様は『刺身とは?』と問いかけてくる。


「これ、生で食べるんですよ」


「へぇー。生で食べるのって美味しいのー?」


「美味しいよ」


 毒見として、私が一枚食べる。脂の乗ったところはものすごく濃厚で、それ以外はさっぱりしていた。


 バチバチバチ。少し離れたところから音が聞こえてくる。どうやら魚を焼き始めたらしい。


「ちょっと、エレン勝手に食べないで!」


「お腹空きましたから食べているだけです……。はむッ! 美味しー!」


 早速始まってしまったようだ。エレンが焼きたてを奪い。メウスが補填するという構図ができあがっている。


 しかし、これで本当に病み上がりなのかと改めて思う。食欲は問題なさそうだけど……。


「みなふぁん食べないんでふかー?」


「口の中に入れたままで話さないで!」


 なんやかんやで完全復活のエレン。本当によかった。


 その後メウスがエレンの口を塞ぎ、なんとか人数分の焼き魚を用意する。


 そもそも、フライングしたエレンが悪いんだけど……。そんなこんなでお昼のメニューが出そろった。

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ぜひ第1話からご覧ください!!!!


次回、飯テロ連続してスミマセン……。

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― 新着の感想 ―
刺身に焼き魚と、今回も見事な飯テロでした(笑) 病み上がりなのに焼きたてをフライングして食べるエレンさんを見て、すっかり元気になったようで安心しました!
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