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暗殺者なのに動物すら殺せない公爵令嬢ですが、神様のイタズラで勇者の護衛を任されました。魔王討伐をお願いされましたが、正直難しいです  作者: 八ッ坂千鶴
第3章 王都にて

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第23話 神殺しの剣

 セリンに案内されたのは地下通路だった。心もとない微かな光を使い、暗い道を歩く。

 

 メウスはセリンが背負っていて、明かりはシリルさんが灯してくれていた。それだけでも、とても助かる。


「セリンさんは、なぜ私たちの避難に?」


「メウスから頼まれてたんだよ」


 セリンはそう言って、真っ直ぐ進んでいく。この道はベルンライト領に繋がってるということだった。


 ベルンライト領はエレンの両親が領主をしている場所とのこと。彼も久しぶりに帰るらしいけど、今はそれどころではない。

 

 ピクリ。メウスの身体が動いた気がした。苦しそうに口を開閉して、酸素を取り込もうとしている。

 

「うぅ……」

 

「メウス! 無理すんな! 傷が開くぞ!」


「わ、わかって……いる……けど……」


 メウスは無理しているのか、言葉がはっきりしない。この事態に私は先程の違和感を並べてみた。


 一つ目は、メウスが私をアルバスの方へ行かせたこと。これはそこまで気にならなかった。


 二つ目。ここからが問題だ。シリルは早い道を知っているはずなのに、長い道を利用していた。


 三つ目。玉座の間に行くに連れて、兵士の数が減っていたこと。バルコニーに行く際は兵士一人見当たらなかった。


 四つ目。アルバスから金色の血が出たこと。金色の血は神の血。私が知っているのは一人しかいない。


 ラスト。メウスが致命傷を負っていること。きっと、メウスがアルバスの身代わりになったのかもしれない。


「メウス。もしかして……」


「う……うん……。ぼくが……アルバス王を……逃がし……」


「だから無理すんな!」


 今回は私が悪い。私がメウスに質問をしたから。メウスがぐったりとして、セリンにしがみついた。


「メウスはほんと無茶しすぎだ。いくら神で命のことを考えなくてもいいからって言って、蔑ろにしていいとは誰も言ってない」


「うぅ……」


「きっとこれは……。神殺しの剣だな……」


「神殺しの剣?」


 セリンはその剣のことを説明しだす。神殺しの剣というのは、神だけに影響を及ぼす魔剣らしい。


 これまでも、多くの無自覚神が殺されてきた、神断罪の剣でもあるとのこと。


「ここまで深刻だと、メウスの命が危ないな……。俺の工房には高濃度の聖水があるが、それだけで間に合うかすらわからん」


「ってことは……」


「早く対処しないと。難しいな……」


 セリンは少し歩くペースを上げる。辿り着いたのは壁。そこをセリンは開いて工房内部に案内した。


 メウスをベッドに寝かせる。セリンはシリルとエレンに聖水の場所を教え、傷の患部に押し当てるよう指示を出した。


「そういえば、ミカエラ嬢。お前は珍しい髪と眼をしているな……」


「珍しい? それってどういうことですか?」


「銀髪金眼。もしかすれば……」


 セリンは工房の中にある本棚から一冊の本を取り出した。それには、私にとって懐かしい文字で『勇者魔王伝説』と書かれていた。


「これは……」


「メウスが昔な。勇者と魔王。そして、勇者を支えた者たちの軌跡を書いた本らしい。神語で書かれているから、俺は読めないが……」


「神語?」


「ああ。一応解読書があるから、調べれば問題ないんだが……。さすがに、今のメウスの状況では時間がかかりすぎる」


 シリルとエレンが交互に聖水を含ませたタオルを押し当てているが、遠目から見ても彼の黒ずんだ箇所は増えていた。


「全部が黒ずむと……」


「神でも死ぬ」


「そんな……」


「助かる方法は俺でもわからねぇ……。ただ、頼りになりそうな本といえば、メウスしか読めないその本だけだ」


 そうなんだ。私は渡された本の表紙を捲った。セリンはこれが読めないと言っていたけど、前世を思い出している私には――


「私には読めます」


「本当か? ってことは、もう既に神語の勉強を……」


「してないです。してないけど――私には読めます。それにどこか懐かしい気がして……」


 この神語と呼ばれる文字は――日本語だった。そして、変な装飾のついてない、英語。今まで出会う機会がなかった文字だった。

 

「なるほどな……お前が、メウスが求めていた本物(・・)か」


「本物?」


「そうだ。ここはお前にかけるとすっか……。今のメウスを救えるのは、ミカエラだけだ……。頼むメウスを救ってくれ!」


「わかりました。では、私からも一つ聞きます。この本に白紙(・・)のページはありますか?」


 私の質問にセリンは驚いた顔をした。私の推理はこうだ。セリンとメウスは古き仲。つまりは、セリンはメウスの本を読んでいる可能性もある。


「セリンさんのこの工房には本が沢山あります。その本の大半がメウスの本。本当は全部に目を通しているのではないでしょうか」


「ま、まあ……。ほぼほぼ合ってるな……。ただその本は目が痛くなる。それなりに読んではいるが……頼りにならないと思うぞ?」

 

「それでもいいんです」


「わ、わかった……」


 幸い、この本は二冊あった。一冊をセリンが飛ばし読み。彼が白紙のページを見つけたら、私がそこを読んで詠唱句の獲得をする。


 その作業は寝る間を作ることを忘れ、夜が明けるまで続いた。だけどなんだろう。この本の解読を進めれば進めるほど、眠気が無くなっていく。


 私が全て読み終えた時には、セリンは寝落ちをしていた。


「この本に書かれていたこと……。三十年に一度本物の勇者と聖女が生まれる……。その聖女の姿は……」


 工房の中には姿見の鏡が置かれていた。それで自分の容姿を確認する。銀髪金眼。そう、さっき読んでいた本にはそう書かれていた。


「もしかして――私が……聖女?」


 そう思った時。誰かの視線を感じ取る。振り返ると、全身に黒ずみを作ったメウスが私を見つめていた。

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