第22話 深夜の違和感
今回は〝違和感〟という言葉がたくさん出てきます!
ミカエラが違和感と言ったところは、しっかり頭に入れておいてください!
「侵入者だ! 各自位置につけ!」
なんだか廊下が騒がしい。その様子に目を覚ました私は、どういう状況なのか知るため外へ出た。
廊下には多くの兵士が行き交っている。その時、私の目に玉座の間の様子が浮かび上がった。
アルバスの近くにエメラルドグリーンの髪をした騎士が立っている。会話中なのだろうか。
「そこの小娘! 何をボケっとしている」
「は、はぃい!?」
「ここは危険だ。今は国王の安全を保つのに一番力を入れていて、客人の面倒も見れない」
一人の兵士が私に話しかけ、避難を提案する。私はどこへ逃げればわからず、棒立ちになっていた。とそこへ……。
「うぅ……なになに……」
メウスが起きてくる。寝ぼけ眼を袖で擦りながら、フラフラ歩いてきた。
「メウス殿もエレン様を連れて……」
「ぼくは……それどころじゃないよぉ……。眠い……。ミカエラ。アルバス王の様子見に行って……。エレンはぼくが見るから……」
「で、ですが……メウス殿!」
「大丈夫……。もう、計算済みだから……」
メウスはそうして再びフラフラと部屋に戻る。エレンを起こしているのだろうか、彼の身体を揺らしていた。
「兵士さん。私はアルバス国王の方へ行きます。メウスの指示に従わせてください」
「わ。わかった。気をつけて……」
私は記憶を頼りに玉座の間を目指す。兵士の数は目的地に行くにつれ、異様に減っていた。
「たしか、一階だったよね。元々居た場所は三階だから、着いた!」
玉座の間には、さっき部屋で見えたエメラルドグリーンの髪の青年騎士がいた。どうやらアルバスと話をしているらしい。
高い天井からは月光が差し込んでいる。それだけで、国王と騎士の姿が映えていた。
「アルバス国王。ミカエラです」
「入ってよろしい」
「ありがとうございます」
念の為アルバスに許可をもらい、玉座の前で立つ。騎士の私に会釈をしてくれた。
「お初にお目にかかります」
「は、初めまして、騎士様……」
「き、騎士様だなんて……。ボクはシリル・ヒューストン。エレンから話は聞いています」
「あ。はい……」
シリルという男性は、私の髪を見てハッとしたような顔をした。『どうかしましたか?』と聞くと、『なんでも』と返された。
「アルバス国王陛下。そろそろ逃げないと……」
「そうだな。そうさせてもらおう」
シリルの提案にアルバスは立ち上がる。何故か彼は私と手を繋いだ。ここは普通シリルと繋ぐのが普通なんだけど……。
「ボクが案内します。国王陛下。三階からの脱出でよろしかったですか?」
「ああ」
「わかりました。早い道はこちらです」
私はアルバスを連れて、廊下を走る。ここに来る時よりも、遅い気がする。なんだか、アルバスがブレーキをかけているような……。
走っても走っても速度が上がらない。廊下にネズミ捕りが張り巡らされているかのように。
それでも、重い足を前へ出し、とにかく走った。
「シリルさん、本当に早いルートなんですか?」
「はい。この王城は時と場合に備えて構造が変化するように設計されています。エレン様もこの構造はご存知でありますので、彼に任せれば全員退避が可能かと」
「なるほどです」
シリルにこの城のことを説明してもらいながら、角を曲がり階段を登る。だけど、どうしても、違和感があった。
少し前から、殺気のようなものを感じている。私が玉座の間に着く前からシリルとアルバスが話していたとしたら、作戦があるのだろう。
私はそれに従うことしかできない。それだけが、一番の不安だった。
「シリルさん、敵の気配を感じます」
「それはどこから?」
「わかりません。ですが、先程からずっと……」
私はシリルに状況説明をした。とにかく走る。それだけ。
長い通路を通り抜け、ついにバルコニーへ到着した。シリルによれば、このバルコニーから飛び降りて、脱出するらしい。
これで退避できる。と思った時。途中の柱の裏に黒い影を見つけた。姿が消える。斬り裂く音がする。瞬間、私の身体が床へ引き摺り込まれた。
振り返ると、アルバスが倒れている。首からは血を流していた。だけど、やっぱり違和感がある。アルバスは普通の人間のはずなのに……。
――流れている血は〝金色〟だった。
「アルバス国王陛下では……なかった……」
「シリルさん。今は立ち止まってる場合じゃないです!」
「はい。そうでしたね。ボクたちだけでも逃げましょう」
私は倒れたアルバスを置いて、バルコニーの外へ身を乗り出す。すると、外の真下にワープゲートが出現した。
それでもやはり違和感がある。ワープゲートの閉じる速度が早い。きっとメウスが設置してくれたのだろうけど、それでもサイズが小さかった。
「早く行きましょう」
「わかりました」
二人でワープゲートに飛び込む。落ちた先には、獣人の男性セリンと、先に逃げていたらしいエレンたちがいた。
なのに、今日は違和感だらけだ。メウスの首に大きな傷ができている。そして、その首の周辺が黒く変色している。
「エレン。メウスどうしたの?」
「それが……」
――――――――――――――――――
「エレン。早く!」
僕はメウスを連れて、ミカエラたちが逃げる方向とは逆のバルコニーを目指していた。
「わ、わかりました」
そして、あと少しでバルコニーから飛び降りると思った時。
「おねが……!?」
「メウス!?」
メウスの首から激しく血が吹き出して、変色を始めたんだ……。
――――――――――――――――――
「そんな……」
私は、メウスの近くへ行く。傷跡が疼くのか、ものすごく苦しそうな顔をしていた。
「ミカエラ。この号外は見たか?」
セリンが私に紙を渡してくる。それは、私の顔写真が載った指名手配書。罪状はアルバス国王殺害となっていた。
「ここはまだ王都の中だ。俺ならいい場所を知っている。そこならメウスの治療も可能のはず。ついてきてくれ!」
セリンの誘いで私たち五人は王都の外を目指すことが決まる。そんな中でも、私はメウスを助けたい気持ちでいっぱいだった。
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次回、メウスの天敵




