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動物すら殺せない公爵令嬢の暗殺者ですが、神様のイタズラで勇者護衛を任されました。魔王討伐をお願いされたけど、正直難しいです  作者: 八ッ坂千鶴
第3章 王都にて

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第20話 神の権限

「上級階級第三位――より命ずる」


 メウスが怒り混じりにそう言った。隣で私にしがみつくエレンは、少し驚いた顔をしている。


 せっかく王都まで歩いてきたのに、私たちは足止めを食らってしまったからだ。


 このような状況が出来上がったのには。今から数十分ほど遡る。


 

 ***数十分前***



「ついに着いたねぇ」


 メウスが嬉しそうにそう言った。通常十日はかかるのを五日で踏破したのだから、疲れもそれなりに溜まっている。


「ここまで長いようで短かったですね」 


「そうだね。エレンは疲れてない?」


「まあ……。それなりに疲れてるかな? 早くふかふかのベッドで寝たい……!」


「それぼくも同感!」


 二人は楽しそうに私の数歩前を歩く。いつの間にか二人は、互いを呼び捨てする仲になっていた。


 改めて、王都の中央を見上げる。中心には大きな城があって、真っ白で清潔感のある壮大さに満ちていた。


「じゃあ。入国手続きをしに行こうか」


「入国手続き?」


「うん。王都に入るには全員の血判が必要なんだ」


 メウスはそう言いながら、門番に話しかける。その会話はスムーズそうに見えた。見えたんだけど……。


「ミカエラを入れられないってどういう事ですか!」


「その女性には、入国拒否命令が出されていますので……。原則銀髪金眼を入れぬよう指示がされております……」


 何故か私だけが入れなくなっていた。メウスの怒りはここから始まる。だけど、門番も引き下がらなかった。


「最高指導者を呼んできて!」


「なりません……!」


「早く! 早く!」


 メウスはできることを全部してくれた。私の特徴的な銀髪は、数少ない色のようで隠しようがない。


 そして、メウスの怒りが最大値に達して……。


「こうなったら仕方ない……」


「ッ!?」


 空気が一気に変わる。エレンは私にしがみつき、彼の手の冷たさを肌で感じた。そんな状況になっているのも知らず、メウスは続ける。


「上級階級第三位、メビウス・エル・デュクスより命ずる。彼の者の天職を剥奪し、即時ミカエラの入国拒否強制撤回、及び特殊権限による入国許可を要求する。以上を神の名に則り発動す」


 その瞬間、兵士の装備が農民の服装に変わった。天職を奪われるとこうなるのかと、背筋が凍ってしまう。


 私はメウスの本当の恐ろしさを見てしまった気がした。彼がここまで怒ると、容赦のなくひれ伏せさせる。


「はい。これでよし。これ血判を押す書類ね」


「ありがとう……ございます……」


 別にそこまでしなくても良かったのに。そう思ってしまうのは何故だろうか。私とエレンはそれぞれ針を人差し指に刺す。


 書類に判を押すと、入国許可授与と表示された。もちろんメウスもするようで、同様に人差し指に針を刺したのだが……。


「メウスさんの血。金色ですね……」


 エレンが違和感を抱いたのか、メウスの血をジッと見つめている。たしか、私が貰った文通用の紙にも金色の指紋があった。


「それはね。神だからだよ」


「ミカエラさんが言ってたことって、本当だったんですね……」


「ミカエラ? ミカエラから聞いちゃったの?」


「はい」


 余計なことを、口止めしておけば良かった。だけど、そこから二人は盛り上がっていく。ついには、私との境遇まで話し始めた。


 少しして門が開き切る。私たちは門をくぐって、王都に入った。それだけで迷子になってしまいそうなくらい、店が並んでいる。


 シャーロット領とは大きく違い、様々な人種が行き交う場所。それだけで、ワクワクが止まらなかった。


「広いですね……」


「ミカエラは王都初めてだったね」


「はい。お父様から王都の勉強もするようにと言われたんだけど……。メウスさんの本でお金吹き飛んでしまって……」


 そうだ、本屋の管理人に勧められたメウスの本は金貨三十枚。そして、そもそも私は王都に関する本を見て来なかった。


 少し歩くと耳が細長い長身女性が通り過ぎる。その身長は私の二倍はあるだろう、ものすごく細くスラッとした人。


「あれはエルフ族だね。ほら、あそこにはドワーフ族がいるよ」


 メウスに説明してもらったら通り、彼が指差す方向を見る。そこにはエルフ族とは正反対の、低身長な男性が宝石を売っていた。


「ミカエラさん。ものすごく輝いてます」


「な、なにエレン?」


「いえ、なんでもないです」


 かなり気になる言葉が出てきたけど、聞き攻めするのも良くない。私たちはさらに歩く。すると、武具屋が見えてきた。


 犬の耳のようなものを生やした男性鍛冶師。これはいわゆる獣人族だろう。


 ここは何もかもが初めてのことばかり。それだけで楽しくなる。


「ねぇミカエラ。あの獣人はセリンさんっていって、ぼくの知り合いなんだ。この前見せた拳銃も彼と一緒に作ったんだよ」


「つまり共作ってことですね」


「そー。多分だけど、君のヘカートはまだ強くなる気がする。セリンさんは銃の専門家でもあるから見て貰ったらどうかな?」


 メウスに勧められて、私はセリンという男性獣人に話しかけることにした。日本には獣人なんていないので、これ自体が初体験。


 セリンは最中剣を研いでいるところで、邪魔していいのか心配になる。だけど、話しかけないと意味がない。


「あの……」

 

「ん? なんか用か? 初めて見る顔だが……」


 セリンはそう言って、私の顔をまじまじと見つめる。すると、誰かが私の肩に腕を載せた。


「ヤホーセリン!」


「メウスか……。今この小娘に……」


「ごめん。この子ぼくの大親友なんだ。ミカエラっていうんだよ。可愛いでしょ?」


「はぁ……。メウスは相変わらず人たらしだな……。どんどん他人を巻き込んできやがる……」


 どうやらセリンにとっても迷惑な存在らしいメウス。私は肩に下げたヘカートを外し、セリンに渡した。


「これ、私が使ってる銃なんですけど……」


「なるほどな……。一日預かってもいいか?」


「お願いします」


 メウスのおかげもあって、とりあえず銃を預けることができた。私たちは鍛冶屋を離れ、寝泊まりをする場所探し。


 色んな宿泊施設を回ったが、どこにも空きはなかった。と、ここでエレンが切り出す。


「僕からの提案なんだけど……。僕のおじいちゃんの家で寝るのはどうかな?」


「いいですね」


 こうして、寝る場所は決まったのだが……。エレンに案内されたのは、王都の中央に建つ王城だった。

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次回、エレンの祖父登場!

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