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暗殺者なのに動物すら殺せない公爵令嬢ですが、神様のイタズラで勇者の護衛を任されました。魔王討伐をお願いされましたが、正直難しいです  作者: 八ッ坂千鶴
第2章 森で出会った少年

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第19話 ババ抜きでの友情

 翌朝。私が目を覚ました頃には、両サイドの寝袋が片付けられていた。私は自分の寝袋から出ると、ヘカートを取り出す。


 寝袋を片付け外に出ると、美味しそうな匂いが漂っていた。メウスが何やら料理をしている。


「おはよう。今日は早いね……」


「ミカエラおはよう。昨日の朝が怖くてね……。早起きしちゃった」


「あはは……。ところでエレンは?」


「エレンなら今素振りをしてるよ」


 テントの裏側を指差すメウスに教えられ、私は裏手に回る。そこではエレンが一人で剣に見立てた棒を振っていた。


 昨日よりもキレが上がっている。成長しているのが目に見えてわかった。


「エレン。おはよう」


「おはようございます。ミカエラさん。そろそろ朝ごはんですね」


「そうですね。もしかして、エレンも昨日の朝のあれで?」


 気になったので聞いてみる。


「はい……。あの時はすみませんでした……」


「私こそごめん」


「ミカエラ! エレンさん! できたよ!」


 メウスに呼ばれ移動すると、沢山の肉料理と魚料理が並んでいた。まずは、海賊が食べるような骨付き肉。


 そして、昨日の残りの魚を使った、焼き魚パートツーだった。飽きるだろうと思って魚を食べると、味の違いに気がつく。


 昨日はただ焼いただけだった。だけど、こっちは、香草焼きになっている。どうやって作ったのか気になって仕方ない。


「メウス。どうやって香草焼きに?」


「内緒!」


「知りたい!」


「あ、そ。じゃあぼくが書いた料理本に載ってるからあとで読んで」


 だと思った。王都にはシャーロット領よりも大きい本屋があるとの情報。そこで買うことにしよう。


 朝食でも、エレンが一番食べていた。どこに入っていくのかわからない。一日に食べる量が彼だけでいくらかかるのやら。


 先に食べ終わったメウスは一人でテントを片付けていた。出発の準備が整うと、王都に向けて移動を再開する。


「今日は天気があまり良くないですね……」


 エレンが言った。空を見上げると、薄い雲が立ち込めている。メウスが『今日は荒れそうだね』と付け加えた。


「もし雨が降ったらどうします?」


「テントを張り直して、中で待機かな?」


「私はどこか泊まれる場所を……」


「あ、そ」


 なんか嫌。でも、だんだん彼の態度に慣れ始めている自分がいる。少しずつ、少しずつ進んでいく。


 メウスに聞けば、このペースを維持できれば、あと十日ほどで着くらしい。さすがに、三十日分用意しなくても良かった気が……。


 しばらくすると、ポツポツ雨が降ってきた。移動は中断。エレンと協力してメウスが素早くテントを建てる。


 完成すると、三人で中に入った。このテントが壊れても、予備が四つあるそうなので問題ないらしい。


「雨止まないかな?」


「だね……」


 メウスとエレンが言葉を交わす。体感時間約三十分。雨が強くなってきた。


「対雷魔法かけとくね」


 メウスがそう言って外に出る。対雷魔法はたしか、避雷針と同じ効果のある魔法だ。それをかけ終えたメウスはすぐに戻ってくる。


「よし。じゃあ、ゲームをしようか」


「『ゲーム?』」


「うん。トランプがいいかな?」


 メウスはテントの大部分を占領している荷物から、トランプの入ったケースを取り出す。素早い手捌きでシャッフルし、配った。


「僕、トランプしたことがないです」


「じゃあ、教えてあげるよ」


「ありがとうございます。メウスさん」


 今回やるのはババ抜きらしい。誰でもできる安全なゲームだ。ルールはいつものでやるようで、エレンはメウスにレクチャーしながら続ける。


「あと少し……。ババだ……」


 エレンが頭を抱えながら私のカードを引く。そして私がメウスのカードを引き、メウスはエレンのカード引く。


 三人だからゲームはすぐに終わってしまう。それでも、何周も何周も繰り返した。体感時間二時間。気づけば外の雨音が消えている。


 カードを片付けてテントを仕舞うと、移動を再開。外には大きな虹がかかっていて、雨上がり直後だと知らせてくれる。


「ババ抜き。楽しかったですね」


「そうだね。エレンはもっとポーカーフェイス極めないとだめかも」


「ぽーかーふぇいす?」


「うん。表情を無にして、悟られないようにすることだよ」


 メウスの指導はまだ続いていた。たしかに、エレンは感情が丸見えだった気がする。私は、そんな二人を後ろから見て歩く。


 一昨日は私を巡って言い合いをしていたのに、今ではすっかり仲良しだ。これだけで、私はホッとした。


「メウスさん。王都まであとどれくらいですか?」


「そうだね。今かなり早いペースだから、ちょっと待って。地図確認する」


 メウスはどこからか石版を取り出した。そこから地図を表示させると、現在地と王都までの図面が出てくる。


「約百キロメートルだね」


「なんでそこまで?」


「長旅の成果だよー」


「は、はぁ……」


 私は何も言うことができなかった。どこからそのような計算ができるのかを、今すぐ知りたいくらいだ。


 まだまだ二日目。メウスの先導に従いながら。川沿いを歩き、様々な人と出会い。王都を目指す。


 そして、旅を始めてから約五日。予定より早く王都に到着した。

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次回、王都を回る

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