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暗殺者なのに動物すら殺せない公爵令嬢ですが、神様のイタズラで勇者の護衛を任されました。魔王討伐をお願いされましたが、正直難しいです  作者: 八ッ坂千鶴
第2章 森で出会った少年

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第18話 夜空の下で

 出発してから体感時間で約二時間。空は真っ暗になっていた。それぞれで光魔法のライティスを使用し、明かりとして利用する。


 会話はほとんどなかった。それだけが不安で仕方ない。だけど、こうして三人で歩くだけでも、ものすごく楽しい。


「ねぇ。ミカエラさん」


「何? エレン?」


「その……。ミカエラさん。ぺっとぼとる? だっけ、驚いてなかったみたいだけど……」


 エレンはそんなことを言いつつ、近寄ってくる。そこを邪魔するようにメウスが割り込んだ。


「エレンさん。元々ミカエラはここの世界の人じゃないんだ」


「〝ここの世界の人じゃない〟?」


「うん。日本っていう、別世界で生きていた人でね。銃でズバッうぐっ!?」


「メウス! それ以上は言わないで!」


「すみません……ミカエラ……」


 軽くメウスを怒ったところで、私たちの初野宿が始まる。メウスはテントを張るらしく、位置選びをしている最中だ。


 そして、そんな彼は薪もたくさん持ってきてくれていた。一日使う薪は三十本と決め、私は組み立て作業をする。


 できるだけ長く燃えるよう工夫して並べるのは難しかった。前世でやった思い出のキャンプファイヤー。あの時スタッフはどう組んだのだろう。


 テントを張り終えたメウスは近くの川で釣りをしていた。どうやら今日の夕食は焼き魚にするようだ。


「よし。大物が四十匹も釣れた。みんな! 夕食にするよ!」


「了解です!」


 私は返事をした後、メウスの荷物から板とナイフを取り出す。ここで、お姉ちゃんから強要された解体技術がしっかり活きると判断したから。


 お姉ちゃんは解体する時、頭を切り落としていた。私はエラの部分にナイフの刃を入れ、頭を外す。


 その次は三枚おろしだ。大振りの魚はかなり時間がかかる。この魚は約三十センチほどはある大物だ。


「ミカエラ。尻尾の方に刃を入れるんだよ」


「メウスさん、ありがとうございます!」


 メウスに言われた通り、尻尾の尾鰭がある方から刃を入れて削いでいく。少し身が骨に残ってしまったけど、上手くいった。


「じゃ、これを竹串に刺して……。焼けば……」


 私が魚を捌いているのに、呑気なメウスは勝手に焼き始める。エレンは歩き疲れたのか、ぐったりと地面に寝そべっていた。


 魚を捌きはじめて数分。だんだんコツを掴み、ペースが上がってくる。焼けた魚は大食いのエレン優先で消費。


 メウスはほどほどで問題ないらしいので、配分としては彼が少なかった。どうやらチーズナンが非常に重かったようだ。


「テント、三人用一つだけどいいよね?」


 メウスがそう言う。結局三人で寝るのかと、私は呆れてしまうが、エレンは大喜びしていた。それだけ私が好きらしい。


 火元を整理してテントに入ると、三人分の寝袋が用意されている状態。エレンとメウス双方の希望で、私が真ん中で寝ることになる。


 天井は外の風景が見えるようになっていた。魔導カンテラを消すと、綺麗な夜空がはっきり見える。


「星、たくさんあるね……」


 ボソリ、エレンが言う。


「そうだね……」


 反対側でメウスが言った。


「数え切れないね……」


 またエレンが返す。私の横から会話をしないで欲しい。それでも、二人は嬉しそうな笑みを浮かべている。


「さっき、メウスさんが、ミカエラさんのこと話してたけど。日本ってどういうところなんですか?」 


「日本はね。正直ぼくは嫌いかな? この世界よりも争いは多し技術の進歩が早いから。ここにはない核兵器っていう危険な武器もある。まだこっちの方が安全だよ」


「それは、私も同感ですね……。ここは空気も綺麗だし。私も好きです」 


 こうして三人で話すのもいい。時間は非常にゆっくりだと、少し安心する。『次はミカエラの番だよ』とメウスが言った。


「じゃ、じゃあ……。メウスはこの前、勇者のことについて話してましたよね?」


「うん話してたね」


「それって、どんな話だったんですか? 僕も知りたいです」


 私とメウスの会話にエレンが割り込む。本当のエレンはもの好きなのかもしれない。それもそれでアリだと思う。


「勇者って。どれくらいいるんですか?」


「そこは僕が教えるよ。今年度入学した勇者は僕を含めて30人。そこから、実力とかを見極めて、最強が選ばれるんだ」


「そうだね……。ぼくの時は、もっと多かったよ。たしか50人だったかな?」


 メウスは昔を思い出すような顔をする。


「メウスさんも勇者だったんですか?」


 私は思い切って聞いてみた。


「うん。三十年に一度のモノホン勇者だよ?」


「『三十年に一度?』」


「そう。六十年前に卒業したのがぼく。この世界には三十年に一度本物の実力を持つ勇者が生まれるんだ。エレンさんは卒業いつだっけ?」


「え、えーと。来年です」


「ふむふむ。ちょうど来年は前回から三十年経過の時期だね」


 メウスはそう言ったあと『もう寝る』と呟き、一瞬で夢の中に入ってしまった。起きているのが私とエレンだけになる。


「三十年に一度……。メウスさん。どれだけ強かったんだろ」


「私もわからないよ。だけど、メウスさんは抜けてるところ多いけど、頭は良いし。それなら神になれるだけの実力があるのかもね」


「神?」


「うん。メウスは神様だよ。それも、ものすごく偉い方で……」


 私がそこまで言ったところで、エレンが大きなあくびをする。そろそろ休ませてあげようと思い、先に寝てもらった。


 とうとう私一人。とても暇なので銃磨きをすることにした。ヘカートを持ってから、少し体力がついた気がする。


 ある程度磨くと眠くなってきたので、ヘカートを寝袋に入れ狭い中に身体をねじ込んだ。


 それだけで、私は一つになれる気がする。このヘカートにはそんな安心感があった。

読んでくださりありがとうございます


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次回、長旅回第2弾!

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