↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイレンスキラー 〜動物すら殺せない転生公爵令嬢は、やがて救済の暗殺者となる  作者: 八ッ坂千鶴
第2部 サブストーリー集

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

157/165

第157話 行方不明者に救済を

 迷宮のように入り組んだ道。


 血に反応する俺の鼻を使っても、全くの無意味。


 いつのまにこんな仕掛けを用意していたなんて……。


「ダインさん……疲れました……」


 息を切らしながら歩くステラ。俺は彼女を背負い前へ進む。


 先頭は俺とステラ。そしてリクの三人。


 時詠みは目立ちたくないらしく、人群れの真ん中に隠れている。


「ここどうなってんだ……」


 鼻が利かないんじゃ意味がない。


 幸いステラくらいの重さは片手で対応可能で、空いている手を壁に触れさせる。


 迷路攻略をする際に有効な手段。これをまずは試しておきたい。


 けれども、見える景色はいつも一緒。


 壁の触った感覚も、全くの同じ。


 ここは、少し高度なやり方でやるしかないようだ。


 俺は壁に当てていた手を放し、背中のレヴェルに触れる。


 現状、レヴェルの上にステラが乗っかっているのだが……。


 指の骨が当たるくらい、刃を深く沈ませる。


 流れる大量の血で床を埋めた。


「ゼシシル ルグアスト」


 ゼシシルは殺せという意味。ルグアストは血の流れ。


 海のようになった血で、出口まで運んでもらう。


 かなり雑だが問題ない。死ぬのは警備員だけだ。


「みんな廊下が血で埋まる前に、前の人に掴まれ」


「『はい!』」


 全員が大蛇のようになり、流れ始めるのを待つ。


 この仕組みを作るのに、俺が持っている血液量の八割は消費した。


 きっとこのあと、その倍の血を求めるようになるだろう。


 それでもいい。助かるのならば、命なんか惜しまない。


「そろそろ波が来る! 全員掴まったか?」


「『はい!』」


「三……二……一……」


 後方から波が来る。俺たちの身体には当たらない。


 流動していき、大蛇は波をかき分けていく。


 俺はそのまま、血が流れる方を予測し舵を切った。


 かなりスムーズに進んでいる。このまま外に出られれば……!


「外の匂いがしてきた。もう少しだ。手が疲れているだろうが我慢してくれ」


 俺は、出口で溢れる血の量を調整する。


 市街地に流れ込めば、死者がどれくらいまで膨大になるかわからない。


 そこを踏まえると、その直前で気化させた方がいい。


「よし、設定完了」


「ダインさん。重くないんですか?」


 少し疲れが取れたらしいステラが声をかけてくる。


 俺にとってはこれくらい軽いほうだ。


 魔界でエレンやミカエラ。ライガンたちを持ち上げた時よりも数倍楽。


 というか、まるで空気を背負っているようなもんだ。


「問題ない。これくらい楽勝ってもんよ」


「ならいいんだけど……。あと、レヴェルさん。普通の鉱石じゃないんですね」


「まあな。俺の前世が作った剣だ。素材は魂石。純正だぞ」


「ふふふ。面白い。ダインさん。わたし、一生ついていきます」


「ありがとな。ステラ」


 俺は流れに身を任せる。そして、血が気化しはじめてる場所を見つけた。


 血の色を透明化させる。底には命を落とした警備員の残骸。


 この魔法はもう使わない方がいい。あまりにも残酷すぎる。


 今回この透過は俺だけにした。他の人は赤い海や川にしか見えないはず。


 出口の直前。俺はその場所を破壊する。剣ではなく、無詠唱魔法で。


 一気に押し流されていく。俺が全員を抱える。


 約二十数名。これくらいでようやく重みを感じる程度。


「よし、全員脱出できたな」


「『はい!』」


 地面に全員を降ろす。だけど、一人だけ、足りなかった。


 先頭にいたはずの鍵開け少年がいない。もう少し探すと時詠みもいなかった。


 俺は他全員に対して待機するよう伝える。


 そして、波に逆らって突き進む。


 道は分かった。血のルートは消していい。


 魔法を解除させる。嵩が低くなる。


 顔を出す死亡した警備員。そこに紛れるように、時詠みと鍵開け少年がいた。


「リク。リク! 血の量は……。問題ない。蘇生するぞ!」


 俺はまず、リクの血を取り身体に馴染ませる。


 そこから、同じ血を生成して輸血。


 心筋シートというものが日本で生まれたが、この世界にはない。


 ならば同じものを新しく作ればいい。


 俺はリクの左胸に触れる。そこから、蘇生の魔法を応用したものを使用。


 心臓の動きが弱いので、心筋シートと同じ脈の乱れ改善を行う。


「次は時詠みか……」


 時詠みにも同じことを行った。これで、息を吹き返すだろう。


 一難去ってまた一難とはこういうことか。


 第一の人生も色々あったが、第二の人生である今も、波乱万丈だ。


「ダ……イン……さん?」


「リク!」


「戻ってきて……くれたんですね……」


 リクは目を覚ました。しかし、時詠みの意識が戻らない。


 俺はリクと時詠みを両脇に抱え、外を目指した。


 もうこの収容所迷宮システムは破壊済み。


 ゼシシルには、魔法を妨害する効果もある。


「ダイン……さん。ダインさんの、魔法って」


「基本的に古代魔法だ。バルダ語って知ってるか?」


「た、たしか……イルハリナも、バルダ語……」


「そうだ」


 リクの力ない言葉。だけど、彼の呼吸が心を落ち着かせる。


 まだミカエラやエレンと同年代だ。怖いことも、もっとある。


 一度リクたちを降ろす。剣で完治したばかりの指をまた傷つけさせる。


 残り二割の内の一割を消費して、サーフボードを生成。


 再びリクと時詠みを抱えると、サーフボードが動き出した。


「このまま外へ突っ切るぞ!」


 ボードの速度は増していく。血の残り香を使用し、再び波を発生。


 外に出た時には、大勢の仲間が拍手をしていた。


「ダインさん。リクくん。おかえり」


「ただいま」


「ただいま合流しました!」


 少し落ち付くと、時詠みの蘇生を再開した。


 俺ならどんな薬でも作れる。ただ材料があればの話。


 幸い、重傷者に必要な薬はイルハリナ。つまりリュウグの球根だけで作れる。


「これを……。こうして……。ここにっと」


 すりつぶしたイルハリナに、時詠みの血を複製したものを入れる。


 これは塗り薬だ。ステラたちにも協力してもらい服を脱がせる。


 薬と上半身に塗り込み、俺の身体にも塗った。


 俺の鼓動を時詠みにつなげる。危険性は高いが、成功率も高い。


「リンク」


 俺の身体に負荷がかかる。全身が重だるくなる。


 この塗り薬の副作用として、身体の状態を交換してしまう。


 負荷がどうであれ、俺には関係ないのだが……。


「ダインさん。身体が……」


「大丈夫だ。もう少しで蘇生がかんりょ……」


 時詠みの身体は、限界を超えていたらしい。


 その限界点が、俺にもやってくる。


 肺に水が溜まる感覚。溺死寸前の状態。


 死に際って、こういうものなのだろうか。


「ダインさん! ダインさん!」


 もう少し、寝かせてくれステラ。これは、俺が抱えてきた全ての罰だ。


 全ての罪を、償わせてくれ……。

読んでくださりありがとうございます


いいねは大事にしまっておきます

リアクションも入れておきます


星は1から5どれでも大丈夫です


下の評価ボタンからぽちっとしちゃってください!


最高の励みになります!


ついでにぜひブクマもお願いします!


主人公の活躍がみたい方は!!!!!


ぜひ第1話からご覧ください!!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。